2畳だけでも個室がほしい!コロナ禍で変わる、間取り意識

2畳だけでも個室がほしい!コロナ禍で変わる、間取り意識

ミサワホーム総合研究所が、コロナ禍に在宅勤務を実施したオフィスワーカーに対して意識調査を実施した。この調査結果を見ると、今後の住まいに求めることとして「2畳ほどの最小限の個室」を挙げた人が半数にのぼるなど、住まいの間取りについても意識が変わったことがうかがえる。詳しく見ていこう。【今週の住活トピック】

「新型コロナウイルス影響下における住まいの意識調査レポート」を発表/ミサワホーム総合研究所

在宅勤務の困りごとは、「仕事環境」「運動不足」「家のなかの音」

ミサワホーム総合研究所では、在宅勤務と住まいの課題を抽出するために、新型コロナウイルスの影響で在宅勤務をした一戸建て(618名)・マンション(206名)に居住する既婚者を調査対象として、緊急事態宣言解除後の6月4・5日に意識調査を実施した。

この調査で「在宅勤務での困りごと」を聞いた結果、その課題がいくつか浮かび上がった。

まず、「仕事に適した部屋がない」(28.4%)、「仕事に適した家具・設備がない(デスク、モニタ、椅子など)」(26.3%)など、“仕事環境が整わない”ことへの課題が挙げられる。次に、「運動不足・座りっぱなしによる身体疲労」(27.8%)といった“運動不足”に対して、また「家族からの話しかけ」(20.6%)、「住まいのなかの音(TVの音、調理や掃除の音、家族の話し声、換気音、機械音など)」(19.8%)といった“仕事への集中を妨げる音”に対しての課題が挙げられる。

在宅勤務での困りごと(出典/ミサワホーム総合研究所「新型コロナウイルス影響下における住まいの意識調査レポート」から転載)

在宅勤務での困りごと(出典/ミサワホーム総合研究所「新型コロナウイルス影響下における住まいの意識調査レポート」から転載)

同研究所によると、「在宅勤務した場所別でみると、リビングでは「仕事に適した場所がない」、書斎では「運動不足・座りっぱなしによる身体疲労」が最も多くなるなど、困りごとに違いがある」ことが分かったという。

今後の在宅勤務空間は、「4畳半程度」(62.4%)、「2畳程度」(50.4%)の個室がほしい

さらに「今後住まいで取り入れたい要素について」聞いた結果を見ると、【在宅勤務空間】、【家にウイルスを持ち込まない工夫】、【気分転換できる場所の拡充】それぞれで、間取りに関する興味深いニーズが見られる。

【在宅勤務空間】について見ると、仕事に集中しやすい「個室」ニーズがうかがえる。「取り入れたい」+「やや取り入れたい」の合計で「4畳半程度の個室」が62.4%と最も多いが、「2畳程度の最小限の個室」でも50.4%と過半数に達している。最小限のスペースでもいいから、仕事ができる個室がほしいということだろうか。

個室が無理でも、部屋の間仕切りをしたり、リビングの横などにカウンターを設置したりして、ワークスペースを確保したいというニーズもうかがえる。

今後住まいで取り入れたい要素について  (出典/ミサワホーム総合研究所「新型コロナウイルス影響下における住まいの意識調査レポート」から転載)

今後住まいで取り入れたい要素について (出典/ミサワホーム総合研究所「新型コロナウイルス影響下における住まいの意識調査レポート」から転載)

【家にウイルスを持ち込まない工夫】については、新しい生活様式である「手洗い」の動線確保や「玄関で上着を脱ぐ」ためのコート掛けのニーズが高い。同研究所では「ウイルス対策への意向は全体的に高い傾向だが、単体の設備よりも動線や玄関まわりで外部からの流入を防ぐ計画への意向が高いことが分かった」と分析している。

【気分転換できる場所の拡充】については、住宅の室内より「庭」や「バルコニー、屋上など」の外部スペースにニーズがある点が注目できる。

従来の間取りの考え方では、子ども部屋やリビングの充実が重視される傾向にあり、仕事用の個室や外部スペースの活用などは軽視されがちだった。この調査結果からは、在宅勤務を経験したことで、間取りに対する意識が変わってきていることがうかがえる。

仕事は「書斎」、子どもは「子ども部屋」といった意識からの転換も必要?

同研究所では、在宅型テレワークの課題に対して、次のような提案も行っている。

1:在宅勤務においても複数の仕事場所を使い分ける

2:親子そろっての在宅勤務・学習へ備える

1の「在宅勤務においても複数の仕事場所を使い分ける」については、3つの視点を提案している。

・Web会議や正確さが必要な作業などでは、気になる音や視界に入る情報を避けるよう、 個室や半個室を使う

・発想が必要な業務では、リラックスや気分転換できる良い眺めが望める部屋やバルコニーなどを使う

・情報取得や連絡の確認などの業務では、子どもの見守りや家事と並行できる家族共用ライブラリーなどを使う

そして「今後も仕事を自宅で長時間・長期間行うことが想定される方は、住まいの中でも異なる性質を持つ仕事場を選択できるようにすることが効果的」だと勧めている。

2の「親子そろっての在宅勤務・学習へ備える」については、「親子がそろって仕事や学習などをオンラインで行うシーンが増える」として、子どもの発育段階別に親子のオンラインワークを考えるのが良いと提案している。

また、「子どもの学習の場を親が見守ること、親が仕事をする様子を見せること」のメリットから、「長時間篭って学習するための子ども部屋ではなく、家族それぞれの座席があるライブラリースペースのような学習空間」も提案している。

これから夏休みに向けて、子どものオンライン授業や夏休みの宿題などで、親と子がそろって仕事や学習をする機会が増える人もいることだろう。こうした提案を参考にして、これまでの間取りの使い方から離れ、我が家なりの部屋の使い方を検討してみてはいかがだろうか。

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