「ピーマン」と「パプリカ」は同じ野菜?その違いは実は色ではなかった!
ピーマンとパプリカは、とても姿形が似ていますよね。
なんとなく緑色をしているのがピーマンで、カラフルなのがパプリカと見分けている人が多くいると思いますが、実は両者は分類上同じ野菜です。
では、どうして名前が違うのでしょうか?
そこでここでは、ピーマンとパプリカの違いについて見ていきましょう。
ピーマンもパプリカも唐辛子!
ピーマンとパプリカは同じ野菜という事は前述しましたが、意外にもトウガラシの一種に分類されています。
ピーマンとパプリカの分類
ピーマンとパプリカは、ナス科トウガラシ属トウガラシ種に分類される野菜です。
トウガラシといっても、必ずしも辛いというわけではないのですね。
辛くないトウガラシ、ピーマンとパプリカの秘密
トウガラシといえば辛い食材が多いですが、ピーマンとパプリカは辛くないですよね。
これは品種改良の結果、トウガラシの辛み成分であるカプサイシンを抑えて生まれたからです。
カプサイシンなどの辛み成分は劣性遺伝子です。
ピーマンとパプリカはその性質を活かし、栽培品種として生み出されたものなので辛くないのです。
トウガラシ特有の辛さがないことから、ピーマンとパプリカは、別名で「アマトウガラシ」と呼ばれることがあります。
ピーマンとパプリカの違い
ピーマンとパプリカが同じ野菜であることは分かりましたが、違いはどこにあるのでしょうか?
果肉の違い
ピーマンとパプリカは果肉が違います。
ピーマンの果肉は薄く、パプリカの果肉は厚いのが特徴となっています。
実際に見たり、食べ比べてみるとその違いは一目瞭然ですよね。
小さめで細長い果肉がピーマン。
大きくてふっくらした果肉がパプリカ、と覚えておけば見分けやすいかもしれません。
また、ピーマンは果肉が苦いのが特徴ですが、パプリカの果肉は甘いのが特徴となっています。
両者の違いは果肉の見た目だけではなく、味にもあるわけです。
歴史の違い
南アメリカを原産地とするトウガラシから派生して生まれたピーマンとパプリカですが、それぞれ誕生の歴史も違います。
南アメリカからヨーロッパに持ち帰られたトウガラシは、各地で品種改良が行われました。
その結果、18世紀に辛みのない品種として誕生したのがピーマンとされています。
それに対してパプリカは品種改良によりハンガリーで生まれた野菜となっています。
日本への伝来時期の違い
ピーマンは明治時代に日本に伝わりましたが、苦みが強かったこともあり、普及されませんでした。
現代のように食卓に並ぶようになったのは第二次世界大戦後になって、苦みが薄くなった品種が入ってきてからのことだといわれています。
現在では国内で広く生産され、全国各地で手に入れることができる食材の一種ですよね。
一方のパプリカは、1993年にオランダからの輸入が解禁されたことで輸入量が急速に増え、食卓でも見るようになった野菜です。
現在はオランダではなく、韓国からの輸入量が最も割合を占めているそうです。
ちなみに貿易の関係上、日本がパプリカを輸入するのは韓国・オランダ・ニュージーランド・中東のみとなっています。
語源の違い
ピーマンとパプリカは語源も違います。
ピーマンはフランス語の「piment(ピマン)」もしくは、スペイン語の「pimiento(ピメント)」が由来となっています。
どちらもトウガラシを意味する言葉だったりします。
そして、パプリカはハンガリー語で”トウガラシの仲間”を指す言葉となっています。
トウガラシもピーマンも「パプリカ」と呼ぶため、混合して考えてしまうことがあるかもしれません。
ピーマンもパプリカもトウガラシに由来があり紛らわしいですが、コショウも同一もしくは似たような言葉になっています。
特に英語だと分かりやすいですよね。
コショウが「pepper」で、トウガラシが「red pepper」、そしてピーマンは「green pepper」と色で区別されています。
なぜこのようなことになっているかというと、トウガラシをヨーロッパに普及させるきっかけになったコロンブスに原因があります。
彼はアメリカ大陸に降り立った時、そこをインドだと勘違いしていました。
そのため、刺激的な香辛料であるトウガラシを、コショウの一種と勘違いしてヨーロッパに持ち帰ったのです。
その結果、トウガラシとコショウが別物と分かる頃には、コショウと同じもしくは似たような名前として普及していたのです。
色はピーマンとパプリカの違いでは無い?
ピーマンとパプリカの大きな違いとして挙げられるのが、その特徴的な色ですよね。
しかしどうやら、ピーマンとパプリカは色に違いがあるとは言い切れないようです。
ピーマンは緑だけじゃない!
ピーマンの色といえば、緑色ですよね。
これは熟す前に収穫しています。
もし完全に熟すのを待つと、鮮やかな緑色ではなく、パプリカのように赤色やオレンジ色や黄色になります。
海外では紫色や茶色のものまであるそうですよ。
このように熟した小さなピーマンのことはパプリカと呼ばず、「カラーピーマン」と呼ぶのが一般的となっています。
「ピーマン=緑色」というイメージが定着していますが、それはあくまでも市場に出回るものであり、完熟するまで育てればパプリカのような色になるということです。
パプリカもピーマンの一種
日本の場合は、パプリカも実はカラーピーマンの一種です。
大きさの違いもあり、農林水産省の資料によっては「パプリカ(ジャンボピーマン)」と、大きいピーマンである旨が並列表記されていることもあります。
ちなみに黄色いパプリカは一番甘味が強いといわれており、オレンジ色のパプリカは甘味と酸味がバランスよく感じられ、赤色のパプリカは若干酸味が強いといわれています。
まとめ
ピーマンとパプリカは、ナス科トウガラシ属トウガラシ種に分類される野菜なので、実はトウガラシの仲間です。
そして厳密にいうとパプリカはピーマン、特にカラーピーマンと呼ばれる種のうちの一つとなっています。
ピーマンは国産のものが多く見られるのに対し、パプリカの場合はそのほとんどが輸入品という違いもあります。
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