旅の幸せがギュッと詰まった富山市へ。富山ブラックなど、富山駅周辺のグルメスポットが最高!

旅の幸せがギュッと詰まった富山市へ。富山ブラックなど、富山駅周辺のグルメスポットが最高!

ひとり旅ってじつはあんまりしたことがない。オタクなのでライブや舞台の遠征なら慣れているのだけど、遠征は「観光」とはまたちょっとジャンルの違う旅なので、夕食もササッとコンビニのおにぎりで済ませてしまったりする。だから、自分のためだけに旅先でおいしいものを食べ歩きする、みたいなことになんとなく抵抗がある。

「富山でおいしいものを食べ尽くす、という旅行をしてみませんか」と編集部から提案をいただいたときは、「あ、行きたいです」と反射的に答えてしまったのだけど、あとからだんだん不安になってきた。

私、ひとり旅って、楽しめるんだろうか?

東京駅

富山のことをまだなにも知らない

北陸新幹線

JR東京駅から北陸新幹線に乗る。JR富山駅までは約2時間10分。

家から東京駅までは通勤ラッシュの列車でもみくちゃにされてきたから、新幹線の広いシートに座るとそれだけでホッとする。

そういえば富山のことをなにも調べないままで来ちゃったな、でもこれからゆっくり知っていけばいいよね……とお見合い結婚的な気持ちでしばらく本を読んだりしていたら、トンネルを抜けた車内が突然明るくなった。

窓の外を見るとスノードームみたいな景色が広がっていて、ひとりなのに思わず「エエッ」と声を上げてしまう。冬の北陸は雪が降る、というのは考えてみれば当たり前のことなのだけれど、やっぱり一面の雪を見ると東京を離れた実感が湧いて驚く。

富山駅

いざ、雪の降る富山の街へ

富山駅で新幹線を降りると、ぴりっとした寒さで顔や手足が一気に冷たくなる。スマホで気温を確かめるとちょうど0℃だった。

富山駅前

今回は「おいしいものを食べ尽くす旅」なので、最初から贅沢なランチの予約をしている。富山地方鉄道の富山駅停留場から富山港線に乗って東岩瀬駅を目指す。車窓からは雪化粧された町並みが見える。

富山ライトレール

東岩瀬駅

レストランでの絶品ランチと「三角どらやき」

約20分で東岩瀬駅についた。徒歩10分ほどのレストラン「カーヴ・ユノキ」を目指すけれど、なかなか見つからない。寒さと焦りで若干泣きそうになりながら、細い路地に思いきってずんずん入ってみると、「Cave Yunoki」と書かれた控えめな看板があった。

カーヴ・ユノキ

お店の扉を引くと、その美しい内装に思わずため息が出た。

カーヴ・ユノキ

築100年の古い米蔵を改装したというこちらのお店、ディナーはなんと1日1組限定だという。ランチもこの日は偶然にも私ひとり。案内いただいた大きなテーブルに1名分の食事のセッティングがされているのは贅沢すぎて、なんだか映画のワンシーンみたいだった。

また、ランチ、ディナーともに完全予約制なのでご注意を。

カーヴ・ユノキのランチ

最初のアミューズ3品(前菜的な位置付けのもの)から味の想像がまったくできないお料理ばかりが出てきて興奮する。富山の名産だという白海老は、ぷりぷりしていて甘い。

蕗の薹のクロケット

クロモジの木の香りをつけた蕗の薹(ふきのとう)のクロケット(コロッケの語源になったフランス料理)はどこからどこまで食べていいのかわからず焦ったが、「クロモジの枝を持ってお召し上がりください」と言っていただけたのでホッとする。

メジマグロ

お料理、本当にすべて美味しかったのだけど、特にこのメジマグロがすばらしかった。肉厚のマグロと、人参とオレンジのピューレ、あさりの泡(!)が口の中で混ざると、これより美味しいものを私はこれからの人生で食べられるのだろうか……? という気になってくる。

お料理をいただきながら、テーブルの向こうの暖炉の火と窓から入ってくる光がゆらめいているのを見ていたら、唐突に親の顔が浮かんだ。どうやら人は本当に素敵なものを食べると、「親に食べさせたい」と思うみたいだ。

レストランを出ると雪が激しくなっている。寒さに耐えられなくなりそうだったこともあり、カーヴ・ユノキからほど近い建物に「国指定重要文化財 北前船廻船問屋 森家」の文字があるのを見つけ、えいっ、と入ってみた。

森家

中では解説員の女性が、まるで落語のような名調子でその建物と街の歴史を話してくれた。

なんでもこのあたりの「岩瀬の大町通り」には、江戸期から明治期にかけて北前船による交易で財を成した名家が軒を連ねているらしい。それを聞いて、なるほど、さっきのカーヴ・ユノキの米蔵もかつては廻船問屋群の一部だったんだろうな、と想像する。

現在は資料館として、廻船問屋群の中で唯一建物を開放しているという森家は、明治期にはものすごいお金持ちだった、という話をその方がしてくれた。もしかしてご子孫の方ですか、と聞くと、「や~だあたしは赤の他人よ」とのこと。

「森家」で茶室や中庭を熱心に眺めていた男性がいたので声をかけると、建築を勉強している大学生だという。彼も廻船問屋群を中心にこのあたりを観光する予定だというので、迷惑かなと思いつつ「近くまで散策しませんか」と提案すると、乗ってくれた。

大塚屋

大雪の中、大学生・Kくんとともに、岩瀬の大町通り沿いにある和菓子屋さん、大塚屋に入る。岩瀬名物の「三角どらやき」(2個入:税込190円)を買って、お店でいただいた。

大塚屋 三角どらやき

封を開けたら本当に三角だった。つぶ餡をどらやきの皮でぐるっと巻いたものなのだけれど、皮が薄くて餡がたっぷりなので、普通のどらやきよりもお得な気がしてうれしい。

店を出て、再び岩瀬の大町通りを散策する。廻船問屋の町家が並ぶ通りのちょうど真ん中あたりに大きな杉玉の下がった、岩瀬の名酒・満寿泉を造っている桝田酒造店があった。付近にはお酒の販売店や試飲のできるお店もあり、短い通りなのに歩いていて飽きない。

桝田酒造店

道路の真ん中には定期的に水が吹き出てくる蛇口のようなものが等間隔で並んでいたのだけれど、これは雪国で道路が凍結しないために設置されているものなのだとKくんが教えてくれた(急に水が出るので忘れて歩いているとけっこう怖い)。

少し散策したあと、行きと同じく富山港線で東岩瀬駅から富山駅まで戻り、Kくんと別れた。こういうささやかな出会いがあるのも旅の醍醐味だなあ、と思う。

グランドプラザ前停留場

真っ黒スープの「富山ブラックラーメン」

本日泊まる富山駅の近くのホテルに一旦チェックイン。少し休憩。

ランチで身に余る贅沢をしてしまったこともあり、夜はちょっとジャンキーなものが食べたかった。富山地方鉄道の富山市内軌道線富山駅停留場から14分ほど、グランドプラザ前停留場で降りて徒歩約2分、「西町大喜 西町本店」に向かう。

富山ブラックといわれる富山名物のラーメン(メニュー名:中華そば)をいただいた。ひと口目からちょっとびっくりしてしまうくらいパンチの効いたスープの濃さ。でも、塩っ辛いメンマがだんだん癖になってくる。

富山ブラック

食べ終わったあと、店主さんに「大丈夫でしたか?」と聞かれて思わず笑ってしまう。びっくりしたけど、大丈夫でした。白いごはんと一緒に食べる人が多いのだそう。

この日はたくさん食べてたくさん歩いたので、早めに休むことに。ホテルに戻り、ぐっすり眠った。

koffe our roastery

最高のカフェで朝コーヒーを

2日目、せっかく旅行に来たのだから※モーニングコーヒーが飲みたい、と思い、ホテルから歩いて「koffe our roastery」を目指す。富山駅からは徒歩で15分ほど。

※編集部注:土日は10時〜、平日は12時〜の営業。
また、新型コロナウイルスの影響により、しばらくの間焼き菓子などの販売のみの営業となり、喫茶は休業しています。

コーヒー 柑橘のタルト

オリジナルブレンドの「青空」(税込550円)と、季節によってフルーツが変わるという柑橘のタルト(税込528円)を注文。「青空」はすっきりと爽やかな風味で飲みやすい。あまりに美味しくて感激しながらタルトをひと口食べたら、こちらも美味しすぎて「うっ」と言ってしまう。どこを切っても柔らかくてみずみずしく、甘い。

koffe our roastery

すっごく美味しいです、と店主ご夫婦に言ったら、「ふふ、他のケーキもすっごく美味しいんですよ~」と言われて笑顔になってしまった。雰囲気も和やかで、また富山に来たら絶対に寄りたいお店だ、と思った。

東岩瀬駅

スローフードのお店でカレーランチ

富山駅まで歩いて戻り、昨日も乗った富山港線で東岩瀬駅へ。駅から徒歩6分ほどで、「MUROYA」に到着(位置的には昨日歩いた岩瀬の大町通りのすぐそば)。

キーマカレー

食べてばっかりだな、と思われたかもしれないけれど、何度も言うように食べるための旅行なのでそれを楽しんでいる。

注文したキーマカレーは辛すぎず、トマトと玉ねぎの甘みが感じられる絶品だった。こちらのお店は「安心して口にできる美味しいもの」を出すことをコンセプトにしているそうで、カレーも「子どもが食べられる味」を意識されているとのこと。

名物のひとつ、富山の豚肉「悠牧豚」を使った「悠牧豚ランチ」も次に来たときはいただいてみたい。

西町停留場

旅を締めくくるスイーツを

遅めのランチのあとは、この美味しいもの旅を締めくくるデザートを食べたい、と思った。私は甘いものが本当に好きで、甘いものなら冗談抜きでいくらでも食べられる。

富山市内軌道線

富山港線で富山駅に戻り、そこから富山市内軌道線に乗り換えて7分ほどで西町停留場に。昨日から列車移動していて思うのだけど、富山市内は観光エリアがコンパクトにまとまっているのでどこへでも行きやすくてありがたい。移動手段の富山地方鉄道は路面電車なので、車窓から外を眺めているだけで楽しめる。

停留場から徒歩2分の「ブルチャート」でクレマ・カタラーナをいただく。クレマ・カタラーナとは、フランス語で言うところの「クレームブリュレ」。卵と砂糖と生クリームでできたとろとろの素材の表面を、カラメル状に焦がしたスイーツだ。

クレマ・カタラーナ

「ブルチャート」はクレマ・カタラーナの専門店というめずらしいお店なのだけれど、専門店だけあってその素材にはとてもこだわっているようだった。私は奥飛騨の名産であるドラゴンフルーツ、「奥飛騨ドラゴン」を使ったクレマ・カタラーナ(写真右/税込484円)と、木苺とチョコレートのクレマ・カタラーナ(写真左/税込418円)を注文。

奥飛騨ドラゴンはドラゴンフルーツ特有のもったり感がクリームと合わさって、すごく濃厚だった。木苺とチョコレートはごろごろ入った甘酸っぱい木苺がアクセントになっていて、どちらもとても美味しい。それぞれあと5個ずつくらい食べられそうだった。

富山駅

日本酒をお土産に、帰京

富山駅

再び富山市内軌道線で富山駅停留場に戻るともう夕方になっていた。

富山駅の広いお土産屋さんで、昨日も酒造店で見かけた日本酒「大吟醸 満寿泉」(税込2,970円)を自分へのお土産に買って新幹線に乗る。行きと同じく、2時間10分ほどで東京駅についた。

大吟醸 満寿泉

本当に正直に言うと、お魚の美味しい県くらいのイメージしかなかった富山、今回行ってみて大好きになってしまった。

いただいた料理がすべて美味しかったのもその理由なのだけど、なんていうか、出会った富山の人みなさんが自然体で、無理やり人をもてなそう、という気負いを感じなかったのが個人的にとてもホッとした。私が訪れた日は久々に雪が降ったタイミングだったようで、「このくらいの天気でちょうどいいんですよ、富山の冬は」とみんな口を揃えて言っていたのが印象的だった。

今度は桜が咲いたころに、富山、また遊びにいきます。

東京駅

掲載情報は2020年3月30日配信時のものです。現在の内容と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。

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びゅうたび

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