『ロードス島戦記-ディードリット・イン・ワンダーラビリンス』レビュー:30年ぶりに会った初恋の君との冒険はまさしく夢心地!

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『ロードス島戦記-ディードリット・イン・ワンダーラビリンス(以下ワンダーラビリンス)』アーリーアクセス版をプレイした1時間は、まさしく夢心地だった。

原作となった傑作ファンタジー『ロードス島戦記』のインパクト!

『ワンダーラビリンス』は、あの『ロードス島戦記』を原作とするPC向けのメトロイドヴァニア型アクションゲーム。現在はアーリーアクセス版として発売されている。アーリーアクセス版というのは、ゲームがまだ未完成の状態で先行発売するバージョンのことで要するに有料β版。こうすることで、開発側は実際のプレイヤーの意見を参考にゲームの調整が行える。一方、プレイヤー側のメリットはいち早くゲームが楽しめることと、価格面。アーリーアクセス版は本格リリース時よりも安価な価格で提供されるのだ。

本作の内容に触れる前に、まずは本作の原作である『ロードス島戦記』について触れておきたい。というのも、夢心地であるとお伝えした理由のひとつが、『ロードス島戦記』という作品の魅力にあるからだ。

『ロードス島戦記』は、TRPG、小説、アニメなど、様々なメディアで展開されたファンタジー作品。中心にあるのは1988年に刊行された水野了氏による小説である。この年はファミコン版『ドラゴンクエストIII』が発売されたのと同じ年だ。筆者と同じ40代のゲーマーであれば、当時、『ドラクエIII』によって日本で一気にRPGが認知されたのを覚えているのではないだろうか? もちろん、『ドラクエ』『ドラクエII』も高い人気を博していたし、それ以外にも多くのRPGがリリースされていた。しかし、『ドラクエIII』の盛り上がりは異常ともいえるほど。ゲームを購入するための行列や「ドラクエ狩り」とも言われたソフトを脅し取る犯罪行為などがニュースで報道され、社会問題といえるほどだったのだ。

『ドラクエIII』と『ロードス島戦記』に何の関係があるのか?と思ったかもしれない。しかし、これが大アリ。なぜなら、『ドラクエIII』フィーバーによって、周りのほとんどの友達が、RPGを初めて認識したのだ。中にはちらほら、RPGの元祖である「テーブルトークRPG」といったものに興味を持つ友達も出てくる。また、ゲーム以外のメディア、小説などでRPGを探す友達も出てくる。そんな中、遅かれ早かれ友達から「『ロードス島戦記』ってのがあるらしいぞ!」という声を聞くことになるのは、時代の必然と言えただろう。

筆者の友人が発見したときには、『ドラクエIII』発売から時間も経過し、小説版の『ロードス島戦記』だけでなく、TRPGをプレイするための『ロードス島戦記 コンパニオン』も発売されていた。もちろん皆、小説とセットで『コンパニオン』を購入し、TRPGを楽しんだのだが、そんなことよりも重要なのが、ディードリットだ!

ディードリットというのは、小説版『ロードス島戦記』において、ヒロイン的なエルフのキャラクター。エルフと言えば長命で耳が長いという特徴を持っているが、この耳が長いというイメージを作り上げたのがディードリットなのだ。で、筆者が人生において初めて二次元のキャラクターに恋をしたのもディードリット。

『ロードス島戦記 コンパニオン』には冒頭数ページがカラーになっており、小説版のシーンを描いたイラストレーションが掲載されていた。そのひとつが、妖精界を訪れたディードリットのイラスト! これが筆者には衝撃だった。あのイラストを覚えている人だったら分かってくれるだろう。とはいえかれこれ30年も昔。なので改めて書いておくと、妖精界では服を着ていないので、ディードリットは裸身なのだ。これが美しい! 衝撃的な美しさだった。そんなこんなで筆者にとってディードリットは初恋の人といえる。というか、筆者と同世代なら、ディードリットが初恋の相手という人は少なくないだろう。いや、いい。手を上げ名乗らなくともいい。我らは同士だ!

話を本作に戻すと、本作は『ディードリット・イン・ワンダーラビリンス』ということで、主人公はディードリット! 30年のときを隔てた初恋の人は、今もなお変わらぬ美しさで我々の前に姿を現した。当然だ、ディードリットは長命の種族、ハイエルフなのだから。しかしそのインパクトに、夢心地にならずにいられようか?

ここはどこ?夢とも現ともつかぬ空間で繰り広げられる冒険

思わず夢心地になってしまう理由は、他にもある。それは、本作の世界観だ。本作は、2019年8月に発売された新作小説『ロードス島戦記 誓約の宝冠』に至るまでの空白の期間を描いている。

舞台となる場所は、どこだかわからない。ディードリットは見知らぬ場所で目を覚ます。そこは現実の場所のようにも思えるし、妖精界など、別次元の空間のようにも思える。探索を進める内に、パーンや、スレイン、ギムといった仲間たちが姿を現すが、どうにも話がかみ合わない。ディードリットもプレイヤーも頭に「?」マークを抱えたまま、探索を続けることになる。このため、まるで夢の中でもがいているような感覚を受けるのだ。

戦闘・探索の両面で本作を特徴づけるアクション! 精霊の使役

ゲームシステム面に目を向けると、本作は正統派のメトロイドヴァニア型アクションゲームだ。サイドビューで描かれるマップを探索し、敵を倒しながらアイテムやディードリットの能力を獲得していく。アイテムや能力を得ることでマップ内の新たな場所へと進めるようになり、行動範囲が拡大。これを繰り返して攻略を進めていく。

ディードリットがとれるアクションは移動のほか、武器による攻撃、ジャンプ、バックダッシュ、スライディング、精霊魔法、弓攻撃、精霊の使役といったもの。この内、本作のゲーム性を特徴づけているのが「弓」と「精霊の使役」だ。

弓攻撃は、敵との戦闘よりパズルがメインの用途になる。縄や歯車などに矢を当てることでギミックを作動させ、道を切り開くのだ。このときポイントになるのが、跳弾。矢は金属にぶつかるとビリヤードの玉のように跳ね返る。これを利用して矢を反射させ、目的の場所まで導いてやる…というわけ。この弓を使ったパズルが、本作の謎解きのメインといっていいだろう。

また、探索と戦闘の両面で本作の特徴となっているのが精霊の使役。マップ上には、スピリットウォールと呼ばれる壁でふさがれた場所がある。スピリットウォールは、そのまま通り抜けようとするとダメージを受け、跳ね飛ばされてしまう。しかし、対応する精霊を使役していると、ノーダメージで通過できる。

このほかにも、精霊ごとの特殊能力が探索のカギになる。たとえば、風の精霊シルフを使役しているとディードリットのジャンプ能力が強化され、より高い所へ到達したり、ホバリングしたりといったアクションが可能に。また、炎の精霊サラマンダーを使役していると、火薬の入った樽を壊せるようになる。つまり、マップの隅々まで探索するためには、臨機応変に使役する精霊を切り替える必要があるのだ。

精霊の切り替えは、戦闘面でも重要。使役している精霊によって、攻撃や防御の属性が変化するためだ。敵が苦手とする属性の精霊を使役すればより大きなダメージを与えられるし、敵の攻撃と同じ属性の精霊に切り替えれば、ダメージを無効化することもできる。

精霊を使った戦闘を最も堪能できるのが、本作のボスの一人、ピロテースとの戦闘。ピロテースの魔法攻撃は強力だが、上手に精霊を切り替えると、なんと無効化できてしまう。ピロテースに限らず本作のボス戦は、パターン化が可能になっているので、パターンを覚えてしまえばノーダメージクリアも不可能じゃない。美しいディードリットを華麗に操作し、ノーダメージで勝利する…この快感は、たまらないものがある。これもまた夢心地だ!

もっと遊びたい! 完成に期待の持てるメトロイドヴァニア型アクション

本作は未完成のアーリーアクセス版ということで、ピロテースを倒すとそこでゲームは終了となる。プレイ時間は1時間弱くらい。正直なところ、物足りない! もっと精霊を使ったアクションが楽しみたいし、この場所はどこなのかが、超気になるし、もっともっと『ロードス島戦記』のキャラを見ていたい…! しかし、それは本格リリースまでのお預け。

逆に言えば、それくらい本作は楽しかった。思い入れや懐かしさもあるが、純粋にゲームとして楽しい。なので、メトロイドヴァニア型アクションが好きという人なら、『ロードス島戦記』を知らずとも、本作を楽しめるはずだ。本作をきっかけとして『ロードス島戦記』の小説やアニメに触れるというのもいいだろう。

しかし誰よりも本作を堪能できるのは、やはりなんといっても当時からの『ロードス島戦記』ファン。中でもディードリットに恋をしてしまった人たちに違いない。同士よ、ぜひプレイしてもらいたい!

Steam:ロードス島戦記ーディードリット・イン・ワンダーラビリンスー:
https://store.steampowered.com/app/1203630/[リンク]

取材・文/田中一広

(執筆者: ガジェット通信ゲーム班)

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