女性が年齢に関係なく子供を作れる日も近い?
この記事は神無久さんのブログ『サイエンスあれこれ』からご寄稿いただきました。
女性が年齢に関係なく子供を作れる日も近い?
男性の精子の元になる精原細胞が、一生を通して分裂し続け、歳をとっても新鮮な精子を供給できるのに対し、女性の卵子の元になる卵原細胞は、出生前にその分裂を終了し、そこで一生の間に生産できる卵子の数が決まってしまうため、歳をとるほど時間のたった古い卵子が供給されることになります。
これが、女性の妊娠年齢に制限がかかってしまう理由だとこれまでは考えられていました。しかし、米・マサチューセッツ総合病院のDori Woods氏らが、卵原細胞の増殖・分化に関する最近の報告をまとめ、7月26日付けの『PLoS Genetics』誌に発表した総説(購読無料)*1によると、卵原細胞も一生を通して分裂する可能性が高いことが分かってきたのです。
*1:「Oocyte Family Trees: Old Branches or New Stems?」2012年7月『PLoS Genetics』
http://www.plosgenetics.org/article/info%3Adoi%2F10.1371%2Fjournal.pgen.1002848
では、なぜ年齢制限があるのでしょう。それは、恐らく卵原細胞自身ではなく、卵原細胞を分裂させ続ける環境が何らかの原因で年齢と共に悪化するからのようです。というのも、年寄りのマウスから取り出した卵原細胞を、若いマウスの卵巣へ移植すると、再び分裂を開始するという報告(購読無料)*2があるからです。
*2:「Aged mouse ovaries possess rare premeiotic germ cells that can generate oocytes following transplantation into a young host environment」2009年12月12日『NCBI』
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2815754/?tool=pubmed
歳をとっても、いつまでも新鮮な卵子を作り出せる環境さえ分かれば、そのうち女性も男性のようにいくつになっても子供を作れる日が来るかもしれません。
執筆: この記事は神無久さんのブログ『サイエンスあれこれ』からご寄稿いただきました。
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