エッジAIのエイシング、約3億円を調達。累計調達額約5億円に

エッジAIに独自のAIアルゴリズム「ディープ・バイナリー・ツリー(以下、DBT)」を提供する株式会社エイシングは、第三者割当増資による約3億円の資金調達を実施。これにより、累計調達額は約5億円なった。

エッジAI領域でのワンストップソリューションを目指す

これまで、AIの情報処理はクラウド上で行われるのが一般的であったが、近年ドローンや自動運転などリアルタイムな判断処理が必要なシーンの増加や第四次産業革命により、情報処理をデバイスで実行するエッジAIに注目が集まっている。同社は、エッジAIにおいて、クラウドを介さずにデバイス単位でリアルタイムに自律学習・予測することを可能にする独自のAIアルゴリズムDBTを提供しているのだ。

同社はこのたび、三井住友海上キャピタル株式会社が運営する「MSIVC2018V投資事業有限責任組合」を引受先とし、第三者割当増資にて総額約3億円の資金調達を実施。2017年に調達した約2億円と合わせ、累計調達額は約5億円となった。

今回の資金は、DBTをはじめとするAiiR技術(独自開発のエッジAI向けAIアルゴリズム技術)の研究開発や、顧客のシステム実装までを技術的にカバーする体制づくりに充てられるようだ。エッジAI領域でのワンストップのソリューションを提供できる体制を強化し、顧客の先進的ニーズに応えたいとのこと。

エッジAIのアルゴリズムDBT

エッジAIは、リアルタイムで高精度の処理ができるため、自動運転車や産業機械への導入に特に適しており、モビリティ業界や製造業界への実装化が期待されている。また、IoT、ビッグデータ、AI、ロボットの4つをキーワードとする第四次産業革命の推進にも一役買いそうだ。

同社の提供するDBTは高精度、軽量かつオンライン学習を特徴とするAIアルゴリズムである。関連するアルゴリズムとして、マイクロ秒単位での高速動作が特徴の「DBT-HS(High Speed)」と、「DBT-HS」に比べ、精度を最大50%まで向上させた高精度が特徴の「DBT-HQ(High Quality)」をリリースしている。速度と精度に特徴を持つ2つのアルゴリズムにより、顧客のニーズに合わせたソリューションを提供できるという。

同社は、2016年12月に機械制御とAIに関する研究成果を基に設立された岩手大学発のベンチャー企業である。2018年8月「大学発ベンチャー表彰2018~Award for Academic Startups~」にて経済産業大臣賞を受賞するなど、これまで数多くのベンチャーアワードを受賞してきた。同社の生み出す技術が、今後ますます需要が高まるであろうエッジAIをさらに進化させることを期待したい。

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