世界が注目する黒沢清監督が最新作『旅のおわり世界のはじまり』初めて挑んだ事とは? 染谷将太「あらためて監督のファンになりました」
国内外で圧倒的評価と人気を誇る映画監督・黒沢清さんが、主演に前田敦子さん、共演に加瀬亮さん、染谷将太さん、柄本時生さんを迎え、シルクロードを舞台に描く、日本とウズベキスタン初の合作映画『旅のおわり世界のはじまり』が6月14日より公開となります。
国内外で圧倒的評価と人気を誇る、映画作家・黒沢清。猟奇的殺人事件の犯人を追う刑事の姿を描いたサイコ・サスペンス『CURE』(97)で世界的な注目を集め、『回路』(01)では第54回カンヌ国際映画祭国際批評家連盟賞を受賞。その後も『トウキョウソナタ』(08)で第61回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門審査員賞を、『岸辺の旅』(15)で第68回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門監督賞を受賞。ホラー、サスペンス、SFからメロドラマまでさまざまなジャンルを手掛け、常に高い評価を受け続ける黒沢監督の監督作品数はなんと60本を超え、西島秀俊、長谷川博己…といった役者をはじめとした世界中の映画ファンを魅了し続けています。そんな黒沢監督の最新作は、ウズベキスタンで1ヶ月におよぶオールロケで撮影された映画『旅のおわり世界のはじまり』。
“舞台で歌う”という夢への情熱を胸に秘めたテレビリポーターの主人公(前田敦子)が、番組のクルー(加瀬亮、染谷将太、柄本時生)と取材のためにウズベキスタンを訪れ、異国での様々な出会いによって成長していく姿を描いた本作は、黒沢監督のオリジナル脚本。黒沢監督は、執筆にあたり<主人公一人だけを描く>ことを決めていたそう。「今回は徹頭徹尾、主人公一人だけを描いてみようと。このルールはかなり早い段階で決めていました。要は、すべてのシーンで主人公が出ずっぱり。彼女の目の届かない“一方その頃”というサブプロットは、観客に一切明かさない。そうやって視点を限定すると、客観的にはささいな出来事がものすごく重大な事件に思えてくるんですね。こういう語り方は小説などではよくありますが、今回これに初めて挑戦してみました」。
情熱を心の底に押し込めて、目の前の仕事を懸命にこなす主人公の葉子を演じた前田さんは脚本を読んだ当初「シンプルなお話」で「ささやかな物語が、一体どんなふうに大きな世界に繋がっていくのか。実際に現場で撮影してみないと分からない気がしました」といい、「もしかしたら黒沢監督にとっても、まったく新しい映画になるんじゃないかなって。脚本を読んで、そんな予感がしたんです」と語っています。
番組の取れ高ばかりを気にするディレクター・吉岡役の染谷さんは完成した作品を観て「絶妙な空気感と、不思議な美しさと、笑いどころ。全体がとてつもないバランスで成り立っている新たな黒沢映画だと思いました。全身をくすぐられるような心地よい映画体験で、あらためて黒沢清監督のファンになりました(笑)」と出演者としてはもちろん、一映画ファンとしても魅了されたことを明かしています。
本作で黒沢監督作に初参加となる、心優しいAD・佐々木役の柄本さんは、「あっちゃん(前田敦子)が演じる主人公を追いかけていくだけで、事件らしい事件も出てこない。ところが完成した映画を観ると、ものすごく面白いんですよね。これって実は、とてつもないことだと思います」といい「たまらなく引き込まれました」と感服したよう。
映画評論家・蓮實重彥が「新しい、まったく新しい黒沢清を発見できて、幸福でした」とコメントを寄せるほど、これまでの作品とは違ってフレッシュさを感じずにはいられない一作となった映画『旅のおわり世界のはじまり』。6月14日より公開です。
『旅のおわり世界のはじまり』
https://tabisekamovie.com
(C)2019「旅のおわり世界のはじまり」製作委員会/UZBEKKINO
- ガジェット通信編集部への情報提供はこちら
- 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。