野球やサッカーのスタジアムではどうすれば写真や動画を上手く撮影できるだろうか。 その研究成果を発表します。
この半年間、私は野球やサッカー等のスタジアムで 「どうすれば上手く写真や動画を撮影できるのか」 をテーマに特訓するべくヤフオクドームに通いました。
野球は元々好きなので、野球観戦も楽しめて充実していました。
その成果を本記事で発表しようと思います。
本記事では主に、スタジアム撮影に適したカメラやレンズ選び、持っていると便利なカメラアイテム、そして実際の撮影方法や撮影で注意すべき点を順に紹介しますので、今シーズンからスタジアム撮影に取り組もうと考えている方の参考になれば幸いです。
まず始めにに断っておきますが、私はプロのカメラマンではなく、また、写真・映像を職業としているわけでもありません。
ただの素人カメラ愛好者です。
その為、記事の中には常識外れの説明や、理論上は間違っている説明があると考えられるので、記事の内容はあくまでも個人的な体験談として受け止めてください。
本記事を公開している理由は、スタジアム撮影では思わぬところで様々なミスをしてしまい、何も準備せずに撮影していては失敗作を量産しかねないからです。
スタジアムに行くことは滅多になく。
せっかくのスポーツ観戦の機会にバッチリ撮影できるようにと思い、私の経験を紹介することにしました。
私が特訓の場所に選んだのはレベルファイブスタジアムとヤフオクドームです。
その中でも一番通ったのはヤフオクドームなので、記事中の撮影場所や作例はヤフオクドームで撮影したものを使用します。
■ カメラ選びスタジアムでいい写真や動画を撮影したければプロ向けの機材を使用するのが理想的です。
しかし、撮影場所はあくまでも観客席・スタンドで、報道関係者向けのスペースに入ることは無理。
スペースの制限が厳しいのもありますが、そもそもプロ用のカメラ機材を揃えようとすれば数十万単位での出費となるので、もはや現実的な選択肢ではありません。
選択肢となりうるカメラの種類としては、フルサイズ機、APS-C 機、マイクロフォーサーズ機、コンデジもしくはネオ一眼、ビデオカメラ、スマホカメラがあります。
レンズ交換式の一眼カメラ以外を使用することは本記事の趣旨にそぐわないと思いますので、今回は敢えて除外します。
つまり、選択肢は、フルサイズ機、APS-C 機、マイクロフォーサーズ機です。
一応、私はフルサイズ機(EOS R)、APS-C 機(EOS Kiss M)、マイクロフォーサーズ機(LUMIX GX7 mk3)を使ってテストや特訓を行いました(当然、修行は今後も続きます)。
画質や画作り・表現の自由度、カメラやレンズの性能を重視するなら選択肢は自然とフルサイズ機になると思いますが、特訓を経て、「取り回しのしやすさ」や「周囲への配慮」、「コスト」もカメラ自体の性能と同じくらいに重視すべきだと実感したので、私はフルサイズ機に拘るべきではないと考えています。
と言いますのも、スタジアムでは基本的に望遠レンズを使用すると思いますが、フルサイズ機向けの望遠レンズはかなり長くて重たい。
ボディのサイズや重量も大きくなりますので、カメラを長時間構えていると体に相当の負担がかかります。
また、隣の観客の視界を極力遮らない、前の座席の人の頭にレンズを当てないなど、周囲にも十分に配慮するべきで、レンズを含む大きさや重さは出来る限りコンパクトな方が良いという結論に至りました。
もちろん既にカメラを持っている方は今お使いのカメラを使用しても何も問題ありません。
カメラはスタジアム以外でもよく使用しますし、専門のカメラマンじゃない限り、スタジアム撮影の為にボディやレンズを選ぶのは馬鹿らしいですよね。
先程の説明では、「周りへの配慮」も重要だとしていますが、この言葉の中にはシャッター音も含まれています。
スタジアムへよく行かれる方なら経験あると思いますが、試合を観戦していると、時々、カシャカシャとどこかで鳴っていますよね。
人によってはそれが気になることもあります。
一眼カメラにシャッターは付き物なので、音がどうあるべきかを意識しても仕方ないものの、スタジアムでは周囲への配慮も気にした方が良いでしょう。
カメラの原理上、マイクロフォーサーズ機のシャッターはフルサイズ機・APS-C 機よりも小さいので、その分、音も小さい場合が殆どです(例外もあります)。
それでも、サイレントモードや電子シャッターを使わない限り、メカシャッターの作動音をなくすことはできないので悩ましいところです。
こうした課題を考慮すると、やはりスタジアムではマイクロフォーサーズ機が最適だと私は考えます。
個人的な意見ですけどね・・・。
当然、マイクロフォーサーズ機を選んでもメリットばかりではありません。
デメリットもあります。
主たるデメリットとしては 「ボケ味」 と 「暗所性能」 がフルサイズ機や APS-C 機に劣る点です。
ただ、スタジアムにはたくさんの照明が設置されており十分明るいので、上記の暗所性能は撮影にそれほど影響してきませんし、ボケ味についても明るくてそこそこ良いレンズを使用すれば、ある程度までは改善できフルサイズ機や APS-C 機と遜色ない仕上がりを期待できるので、なんとかなる話です。
ちなみに私は、「LUMIX GX7 mk3」をボディに、レンズは、「LEICA DG 12-60mm F2.8-4」と「LUMIX G VARIO 100-300mm F4-5.6」を選びました。
この組み合わせだと、ボディ + レンズのサイズはフルサイズ機の約 5~7 割、重さは 1kg 未満です。
フルサイズ機の場合、望遠レンズだけで 1kg を超えることが当たり前なので、重さについてはフルサイズ機の半分以下と思って良いでしょう。
マイクロフォーサーズ機にするメリットは他にもあり、例えば、イメージセンサーのサイズが小さいことから、レンズの焦点距離は 35m 判換算で約 2 倍となり、例えば、100-300mm レンズの画角は 200-600mm 相当になります。
コンパクトな望遠レンズですが被写体にかなり寄れるのでおすすめです。
次の写真でフルサイズ機(70-300mm レンズ)とマイクロフォーサーズ機(35mm 判換算 200-600mm レンズ)。
のサイズ差を確認できますが、全然違いますよね。
しかもマイクロフォーサーズ機はこの組み合わせでフルサイズ機よりも被写体に寄ることができます。
また、マイクロフォーサーズ機でレンズ類を揃えるとコストもだいぶ下げることができます。
もちろん高価なレンズはいくつもありますが、高くてもせいぜい 10 万円台です。
レンズだけでうん十万という状況ではありません。
とりあえず私はマイクロフォーサーズ機を推しますが、実際のカメラ選びではメーカーや機種で決める場合が殆どでしょうから、何も欲しくないカメラで妥協する必要はありません。
欲しいカメラを購入するべきです。
もし欲しいカメラがマイクロフォーサーズ機なら、「スタジアム撮影にも適してますよ」」と言える程度ですね。
■ カメラやレンズ以外に必要なアイテムスタジアムに入ると 2~3 時間はそこにいますよね。
長い時間にわたって頻繁に連写していると思います。
なので、大抵の場合は途中でバッテリー切れとなります。
予備バッテリーはもはや必須です。
私はいつも 2 個の予備バッテリーを持ち歩くようにしています。
最近のデジタルカメラの多くには USB で充電する機能が備わっているので、予備バッテリーが無くてもモバイルバッテリーで充電できればバッテリー切れは起きませんが、カメラの中には USB で充電している間はカメラの電源を切らなければならない機種もありますので、カメラによっては USB 充電では間に合わないことも生じてきます。
結局、予備バッテリーは準備しておくと無難です。
次に、予備の記録媒体は必要かどうかについてお話します。
撮影するのが写真だけなら、その日の撮影で消費する容量は数 GB ですので不要と思いますが、動画も撮影する場合は数十 GB を消費するので準備しておくと無難です。
私は一日の撮影で 20~30GB 分は消費しています。
出かける前に 50GB 前後もあれば十分と判断して予備は持ち出しもすらしないです。
ただ、稀に SD カードのエラーが発生し、カードの抜き差しとか何をしても解決できず交換するしかない状況にも遭遇します。
その為、可能であれば予備を 1 枚は持っておくと良いでしょう。
全く撮影できないのは一番困りますからね。
続いて 「三脚」 や 「一脚」 の必要性です。
三脚があればカメラを固定できるので、手ブレやカメラブレを大幅に減らすことができます。
撮影スペースが広くて周囲の迷惑にならなければ使用したいと思っていますが、スタジアムの一般席にそんなスペースを確保できる席種は限られており、三脚については持っていても使えないものだと考えています。
なので今では持ち出すことはありません。
一方、一脚は脚を短くして座席のシート部分に接地させることができ、殆どの一般席で一脚は邪魔にならないので必ず持っていくようにしています。
一脚があるとカメラを手で支えなくて良いので手がプルプルしてくることが無くとても重宝しています。
私にとっては必須アイテムですね。
通常、一脚の底部は床またはシートに置くと思いますが、個人的には自分の太ももや足の付根付近に置くことも有効だと思います。
どこに置くのかは色々試して決めるのが良いでしょう。
一眼カメラ用のジンバル(電動スタビライザー)は所有していないので必要性を論じることはできませんが、たぶん全体が重たくなり過ぎて、結局は一脚で十分だと思うようになると推測します。
上記の他、私が普段持ち歩いているアイテムはホットシュー用の三脚マウント(自由雲台付きが好ましい)です。
私はカメラの上にサブのカメラを乗せてデュアル撮影しており、このアイテムは私の中ではかなり重要です。
サブカメラとしてよく用いるのは GoPro、Insta360 One X、ブラック・マジックのポケットシネマカメラです。
あと、カメラレンズ用の偏光レンズと ND フィルターについてですが、少なくともドーム型スタジアムの場合、私はどちらも不要だと考えています。
しかし、天井の無い開放型スタジアムでは太陽の日差しが強くて大幅に絞らないと適正な露出を保てない場合に限り、ND フィルターを使用しています。
特に動画ではシャッタースピードをあまり上げられないので使用する機会は多いだろうと思います。
偏光レンズについては、スタジアムの種類を問わずさほど効果を得られないので私は使用しません。
わざわざ購入する必要はないと思います。
それよりもレンズ用フードをちゃんと装着することを心がける方が良いでしょう。
■ 撮影の仕方や注意点いよいよここから実際にスタジアムへ行き、写真や動画を撮影する際のレンズ選び、撮影の仕方、事前に心得ておくべきカメラ機能や画角、失敗例と失敗の原因についてお話していきます。
まず、一括りに 「スタジアム撮影」 といっても、スポーツの種類や座席の位置によって適した焦点距離やシャッタースピード等の数値的な部分にはそれぞれ違いが出てきます。
でもそれは単純に設定を変えればいいだけの話であって難しいことはありません。
なので本記事では、バックネットの存在や内野席・外野席の距離差を考慮しなければならないなど、スタジアム撮影の中でも難しい野球観戦を例にして話を進めていくことにします。
サッカーやラグビー、陸上競技等の屋外スポーツ、バレーボールやバスケットボール、フットサル等の室内スポーツにもそれぞれに作法はあるでしょうけど、これらのスポーツでは基本的に構図と焦点距離を決めてシャッターを切るだけなので、以降に紹介する野球観戦の場合を参考にしてもらえれば、ある程度は応用が利くはずです。
野球観戦では、被写体との距離が座席によってだいぶ変わってきます。
なので用意すべきレンズは 35mm 判換算で 100mm 前後の標準域をカバーするものと 100mm を超える望遠レンズの少なくとも 2 つは必要です。
私は単焦点レンズを使わない派なので、本記事で紹介する 「レンズ」 というのは全てズームレンズになります。
単焦点レンズは一切登場しません。
レンズの中でも望遠レンズの使用機会がダントツで多いと思いますが、ここで一つの疑問です。
「スタジアム撮影で望遠レンズが必要なのは理解できるけど、一体どの程度まで焦点距離があれば十分なの?」 です。
その答えとして個人的には 35mm 判換算で 300 ~ 400mm もあれば 「場所にもよるけど、まぁ、これで十分かな」 と思いますが、「いやまてよ。
できれば 600mm は欲しいかな」 とも思っています。
焦点距離が長ければそれだけ広い範囲で被写体に寄ることができます。
しかし、300mm よりも長い焦点距離が必要になるのは、被写体を画面全体で捉えたい場合、内野席から外野選手を、外野席から内野の選手を顔が判別できる程度まで寄って撮影したい時だけです。
もし、バックネット裏や内野席に陣取り、ピッチャーやバッター、ランナー、ベンチ付近を撮影したいのであれば 200mm 前後の焦点距離で十分まかなえます。
野球では内野よりも内側を撮影することが多いので、300mm 以上の望遠はもしかすると不要かもしれません。
そこでちょうど良いが中望遠レンズの代名詞とも言える 70-200mm レンズです。
このレンズは主にスポーツシーンで多用されており、インナーズームを採用している製品が多い為、楽にズーム操作ができます。
ズーム操作でのカメラブレを最小限に抑えることができ動画撮影にも重宝します。
また、一部の製品に限りますが、最短合焦距離を長い距離に変更できるものもあるため座席によっては AF でバックネットのメッシュ部分を回避することができます。
野球観戦では便利ではありますが、座席がスタンドの後方だったり外野席だと内野方向へ十分寄れないので全ての座席で威力を発揮するとは言えません。
他のスタジアムより広い野球場は特に顕著なのですが、スタンドの位置によっては標準レンズで十分まかなえることがあります。
例えば、スタンドの最前列に近い座席では 100mm 前後でかなり寄れます。
スタンドにおける座席の位置でも使用レンズが変える場合があるので、レンズは複数持って行った方がいいですね。
その為にもカメラバッグはレンズが複数本入るものを選択するべきです。
野球場にはバックネットや一・三塁ベース後方のサイドネットというオートフォーカスの邪魔になって仕方ない 「大敵」 が待ち構えているので、撮影を始める前には入念にネット越しの AF をテストすべきです。
なぜかというとネット越しに AF が上手く作動することはそもそも期待できず、マニュアルフォーカスを使用せざるを得ない状況になることも十分考えられるからです。
撮影場所が外野席だとネット問題に悩まされることはありませんが、内野を見つめる目線の先にネットがあれば AF で頑張るのか MF にするのか事前に決めておくと良いでしょう。
その意味で MF が重要になってきます。
幸いも野球の場合は定位置でプレーしていることが多いので、どの距離でピントが合うのかを把握しておけばシャッター毎にフォーカスリングを回すことなく撮影を続けることができます。
意外と楽ですね。
MF を使用する際に便利な MF ピーキングやプレビュー画面の拡大/縮小機能を事前にテストしておくことも併せておすすめします。
次の注意点は画角・・・、つまり寄り過ぎないことです。
たとえ望遠レンズで被写体に十分寄れたとしても、撮影者はカメラを手持ちしているか、完全には固定されない一脚上で撮影しています。
思わぬところでカメラブレが発生してしまい、自宅に帰って写真をチェックしたところ、選手等がフレームアウトした写真ばかりだったことに愕然とすることがあります。
このような事態を避ける為に撮影時の画角は後から写真をクロップすることを前提に少し引いて撮影するか、現場では寄ったショットだけでなく、少し引いたショットも併せて撮影しておくように心がけておくと良いです。
しかし個人的に、全ての写真を少し引いて撮影するのは好みません。
なぜなら背景の圧縮効果を損ないたくないからです。
望遠気味で人物を撮影すると背景が圧縮されたように写り、被写体が強調されます。
背景ぼかしとは少し違ったボケ感を演出できるので、安全のために引いて撮影するとこの圧縮効果も相対的に減少します。
写真についての説明は以上です。
レンズのチョイス、画角とピント性能の事前チェックが失敗を避ける為に必要になってくる知識ではないかと思います。
ここまで長々と写真撮影についての体験談を紹介してきましたが、実は私、写真よりも動画の方を重視しています。
誤解されないように断っておきたいのですが、動画をよく撮影しているといってもプレーそのものは一切撮影しません(放送権利等のトラブルが生じかねないので)。
私が撮影しているのは、チアやマスコットのダンス、ラッキーセブン、セレモニーといったプレートは関係無いシーンのみです。
動画撮影時の重要ポイントは、写真撮影のセクションで紹介したことがそのまま当てはまるのですが、ピント合わせや手ブレ・カメラブレは写真撮影の時よりもっと注意する必要がありますし、動画では露出の設定内容や白飛びといった部分にも気を配る必要があります。
ピンぼけや色が飛んだシーン、フレームアウトしたシーン、ブレまくっている動画は殆ど使い物になりませんからね(後処理で補正しても十分に修正できないこともあります)。
私は今でもこれらの事に悩まされており、もっと修行が必要だと痛感しています。
動画を撮影する方法として、プログラム AE やシーンインテリジェントモードといった完全カメラまかせのモードで撮影しても良いとは思いますが、白飛びしてしまうと悲惨な映像になってしまいますので、できれば収録前にヒストグラムを見て露出を調節しておいたほうが失敗を防止できます。
白飛びするよりも黒つぶれの方がマシなので、露出はアンダー気味で収録すると良いでしょう。
具体的な見方を紹介しますと、例えば ヒストグラムが右よりなら EV -0.3 から EV -1 に下げるとかです。
しかしこれはあくまでも通常のダイナミックレンジで収録した場合の話で、ダイナミックレンジを広く取れる Log で収録する場合には当てはまりません。
Log は通常モードより良い画質で収録できるほか、ガンマカーブと色域プリセットのチョイスだったり、輝度・彩度・シャープネスといった画質調整パラメータのカスタマイズによって、グレーディング作業を含む)好みの色合いや雰囲気を出すことができます。
ただ、 Log 収録ではグレーディング作業がほぼ必須となり高度な知識や経験が求められてきます。
その為、もし通常モード(Log ではないモード)でうまく適正露出が保てるようであれば、私は Log を利用しません。
露出補正が難しいと感じた時や敢えて Log で収録したい時に Log で収録しています(日常的に Log で収録している方はスタジアムでも Log を使用すると思いますけどね・・・)。
次は動画の露出モードのお話です。
私はいつもマニュアルモードで収録しています。
理由はいつもそうしているからなのですが、特にスタジアムでは照明があらゆる方向から降り注ぐので、カメラの向きを変えるたびに露出が変わってしまい、映像が明るくなったり暗くなったりするからです。
また、スタンド内を移動している他の観客がカメラに映り込んでしまうだけでも明るさが変化します。
これを避ける為にマニュアルモードを使用するようにしています。
露出設定についてもっと具体的に。
あくまでも私の場合ですが、カメラの絞りはとりあえず開放、シャッタースピードはフレームレートに応じて 30fps なら 1/50 ~ 1/100 秒、60fps なら 1/100 ~ 1/160 秒、ISO 感度は極力下げるか、基準感度が分かっていればその何倍、もしくは何分の一の値に設定します。
とりあえずでも露出が設定できたらヒストグラムで露出を確認し微調整します。
以上が基本的な露出設定作業フローです。
露出設定を微調整する場合、私なら絞りと ISO 感度を変更してみます。
映像が明るすぎれば ISO 感度を下げる、それが無理そうなら次に F 値を上げて絞ってみます。
逆に、もし映像が暗すぎるなら F 値を下げて絞りを開くか、ISO 感度を上げてみます。
ドーム球場なら以上の絞りやシャッタースピードの設定だったとしても ISO 感度は 320 や 400 という低い値で適正露出となるので、動画撮影でよく用いられる ND フィルターを使用することはありません。
しかし、サッカースタジアムや開放型の球場でのデイゲームだと ISO 感度を最低まで下げても露出オーバーになることがあります。
その時はまず F を上げて絞ってみますが、個人的には絞りすぎたくないので F 値の調節だけでは無理そうだと判断したら ND フィルターを装着します。
ND フィルターを使う時もあるので、私はいつも可変式の ND フィルター(ND2 ~ 32)を持ち歩いています。
スタジアムで実際に動画を撮影する場合、カメラブレには細心の注意を払う必要があります。
手ブレだけなら動画編集ソフトである程度修正できますが、カメラブレはどうにもならないことが多いです。
編集ソフトのスタビライザーを適用すると映像は補正に伴い拡大するので適度な補正で止める必要があります。
このような事情もあり、映像のブレは撮影の段階で極力減らしておくべきです。
は三脚を使用すれば、手ブレ・カメラブレの問題はほぼ解消しますが、必要アイテムのセクションで触れたようにスタジアムで三脚は使えないアイテムです。
動画撮影時には一脚を使用するべきでしょう。
それでも望遠レンズで被写体に寄りすぎると画角が狭くなるので些細な振動や手の動きでカメラブレが発生します。
望遠レンズの場合には極力動かさない、ズームリングを触らない、ゆっくりゆっくりと向きを変えることを意識しなければなりません。
望遠レンズでの動画撮影には特にブレを気にしないといけないので、ブレで映像を失敗作にしないよう被写体に寄りすぎず少し引いて収録することを心得ておくと良いでしょう。
面倒ですけどこれを行うと 2 つの効果を得ることができます。
その一つは引くことでカメラブレそのものを抑えられる。
もう一つは編集ソフトを使った後処理でスタビライザーを適用する際に、映像がクロップされにくいことです。
安全のために少し引いて収録すると、その分被写体は小さく映り、意図した構図にならない、背景の圧縮効果も得づらくなりますが、映像が乱れまくって使い物にならないよりかは、画的にイマイチだったとしてもしっかりと映せた方がマシだと思います。
その時カメラブレが起こりうる状況なら、私は少し引いて撮影しますね。
寄って撮影したい気持ちは分かりますがそこをグッと堪えます。
望遠レンズでは引くか寄ったままかで悩むことがありますが、この時、4K サイズで収録しておくと後で編集ソフトを使い拡大(引き伸ばす)しサイズを調整することができます。
この時、画質は元サイズの状態から劣化しますが、映像のコントラストを上げるなどの色補正により、引き伸ばしたことに伴う画質劣化を目立たなくすることができます。
「4K はファイルサイズも大きいし、SD カードの性能要件も厳しいから、フル HD で無難に撮影する」 という考え持つ方は多いと思います。
私自身も時々、ファイルサイズを気にしてフル HD で数録することもあります。
しかし 4K で収録しておくと、フル HD で書き出すなら縦と横をそれぞれ 200% まで拡大しても大丈夫なので(画質は悪くなりますが、ピクセル数で言えば 200% まで拡大可能ということです)、私は少し引いた状態のまま 4K で撮影し 編集ソフトを使って少し(140% くらい)拡大するということをよくやります。
この時、「4K 機能は重要だな〜」と思うのです。
ただ、大半のカメラは 4K@30fps までにしか対応していないので、60fps で収録できない点が悩ましいところですね。
パナソニックの GH5 など、一部のカメラは 4K@60fps にも対応していますが、カメラはスタジアム以外でも使用するので、4K@60fps のニーズだけでカメラを選定するのはあまり好ましくないと思います。
動画についてのお話は以上となります。
今までのスタジアム撮影を通じて、それが思ったよりはるかに難しい作業だと実感し、それと同時にプロのカメラマンさんを更にリスペクトするようになりました。
また、「(動画撮影を軸にするなら)結局のところ、ビデオカメラが無難?」とも思うこともありました。
ビデオカメラは動画を撮影する機材なので、動画撮影に適しているのは当たり前なのですが、一眼カメラでの特訓を経て改めてビデオカメラの価値を知ることになったのです。
(ホーム)ビデオカメラは片手で楽に持てるほどコンパクトで軽く、取り回しがし容易です。
また、長年に渡り手ブレやカメラブレを抑制する機能が改良され続けています。
典型的なデザインのビデオカメラなら容量拡張バッテリーを使ってバッテリー切れをなくせますし、おまけ的な機能ですが写真撮影も可能です。
写真を軸にするなら、やはり一眼カメラですね。
これもごく当たり前の話です。
結局、私は何を学んだのでしょう。
それは、写真は一眼カメラ、動画はビデオカメラを使うべきであって、どちらか一方で両方を上手くこなすのは難しいことです(スタジアム撮影に限れば)。
一眼カメラなら画質の面でビデオカメラを凌駕できると思いますが、それを実行するには相当の腕が必要になり、私のような素人が生半可な知識と経験でその領域に達することは困難。
このことを学んだ気がしています。
つまり、現実を知ったのです。
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