『ルイスと不思議の時計』佐藤二朗インタビュー「“変”が“魅力”になることもあると子供達に知ってほしい」

両親を亡くした読書好きのルイスは伯父ジョナサンと暮らすことになり、古い屋敷を訪ねると、そこには無数の時計がかけてあり、不可思議な現象が次々に……。実はジョナサンは魔法使いだったのだ! 映画『ルイスと不思議の時計』が大ヒット公開中です。

ちょっとポンコツだけど憎めないジョナサンおじさんと、ちょっと生意気だけど賢いルイスによるワクワクドキドキの魔法ファンタジーはハロウィンシーズンにもぴったり。子供から大人まで楽しめるエンターテイメントに仕上がっています。

本作でジャック・ブラック演じるジョナサンの日本語吹替を担当したのは、俳優の佐藤二朗さん。実写の吹替は初という二朗さんがアフレコで感じたこととは? 「ガジェット通信」スタッフの子供達が考えた”理想の魔法”についてもコメントをいただきました!

苦労した実写吹替……でも「これ佐藤二朗の声だっけ」って思える瞬間もあった

――映画大変楽しく拝見させていただきました! 実写の吹き替えに初挑戦されていかがだったでしょうか。

佐藤:難しかったですねえ。実写なので、人間の息遣い、例えば「ハーッ」とか、セリフの前に入ってくる「スーッ」と息を吸う音の指示まで台本に書いてあるので、そういうった所がなかなか慣れなくて。でも、そのことばかりとらわれて、ジョナサンの心情を失ってしまってはダメだと思うので、ジョナサンの気持ちはしっかり考えてから取り組みました。だから、本当にプロの声優さんってすごいですよね。改めて尊敬します。

――ジョナサン役をジャック・ブラックさんが演じているわけですが、ジャック・ブラック作品はご覧になったことはありましたか?

佐藤:もちろん。『スクール・オブ・ロック』で大好きな俳優だったので、今回のお話は非常に光栄だなと思いました。しかも、同い年なんですよ。本作でもコメディな愉快な演技をしながら、温かみのある優しい演技をされていたので素敵だなあと。

――二朗さんの声のお芝居もそんなジョナサンにぴったりで素敵でした。

佐藤:ありがとうございます。最初は俺の声でジョナサンでってどうなんだろうって心配もあったんだけど、映画が終わる頃には、手前味噌ですけど自分でも「これ佐藤二朗の声だっけ」って思える瞬間もあったので。

――映画全編を通して二朗さんが本作で楽しかった・印象に残っているシーンはどこですか?

佐藤:申し訳ないのですが、僕はもともとファンタジー作品ってあまり観た事がなくて。でも『ルイスと不思議な時計』は、ちょっと戦争の時代背景があったりして、黒魔術で世界を滅ぼそうとする「アイザック」がなぜこうなってしまったかというストーリーでは、なるほど、と思う事もあって。子供が楽しめる華やかなファンタジーでありながら、大人も楽しめる絶妙なバランスだなと思って拝見しました。

――確かに、ルイスとジョナサンの関係も、単なる「子供と大人」じゃなくて仲間というか。子供を一人の人間として描いているところが好きでした。

佐藤:それは感じましたね。僕自身が子供のとき、大人に「ボク、どうしたのー?」とか、子供言葉で話されるのがすごく嫌だったんですね。なんでこんな、必要以上に自分のところに下りてくるんだって違和感で。なので今は撮影現場でも、子役さんとも対等に接するようにしているんです。僕の精神年齢が低いっていうのもあるかもしれませんけど(笑)。 だから、ジョナサンとルイスを見ていても、もしかして、ちょっとルイスのほうが大人なんじゃないか、と思うようなところが、たくさんあるじゃないですか。そんな関係ってすごく良いなと思いました。

二朗さんに子供達が考えた“理想の魔法”を見てもらったよ!

――『ルイスと不思議な時計』にたくさん魔法が出てくるということで、ガジェット通信編集部の子供たちに”理想の魔法”を考えてもらったのですが、見ていただいてもよいでしょうか?

佐藤:はいはい、どれどれ。「歩くとドンドン痩せるクツ」(11歳男子)ね。これって最終的に自分がなくなっちゃうんじゃない? でも自分で歩こうとしてるのは偉いです。

佐藤:「好きなときに友達を呼び出せる魔法」(8歳女子)、これは友達が迷惑だよね(笑)。風呂入ってる時とかさ。「きれいな面が打てる竹刀」(8歳女子)、「相手の動きが分かって勝手に動いてくれる胴」(8歳女子)…あっ、この子は剣道に相当ハマってるのね。こういうのいいですよね、素直でかわいい。

佐藤:でもやっぱり「世界中の人たちが病気にならない魔法の薬」(11歳男子)、これが一番素晴らしいんじゃないですか。これってよくよく考えると、地球の人口がやばいことになりそうな気もするんだけど……。でも自分のことより人のことを考えるって素晴らしいじゃないですか。うん。ちょっと家でも息子に聞いてみたいと思いました。

――本作はルイスの成長物語でもありますが、二朗さんは息子さんにどんな人になってほしいですか?

佐藤:それが、結構取材で聞かれるんですけど、別に特別なポリシーみたいなのはないんです。一生懸命愛して、一生懸命育てることぐらいしかないですかね。溺愛はするけど甘やかさない、とか。どこの親御さんも一緒だと思うんです。この映画で、ルイスはちょっと変わり者の男の子だと思うんだけど、でも「変」が「力」や「魅力」になることもある。「他の人と違ってもいいんだよ」って。そういう大切なことは嫁と相談しながら、教えていって。あとは本当に素直に。とにかく素直に育ってほしいと思っていますね。

――二朗さんがTwitterに書き込む息子さんのつぶやきは、いつも大きな反響となりますが、ぜひ映画の感想も聞いてみたいです。今日は楽しいお話をどうもありがとうございました!

『ルイスと不思議な時計』ストーリー
主人公は10歳の少年、ルイス。
不慮の事故で両親を亡くした彼は、伯父のジョナサンに引き取られる。初めて会った伯父さんは、やさしそうだけど、ちょっぴり変な感じ。伯父さんが一人で暮らす古い屋敷には、なぜかたくさんの時計が置かれ、怪しげなムードが漂っている。しかも隣に住むツィマーマン夫人も、なんだか奇妙……。
じつはこの二人、魔法使いだった!しかもジョナサンはポンコツの魔法使い。ツィマーマン夫人は一流の魔女!? ジョナサンの屋敷に隠された魔法の時計をめぐり、ルイスと二人の魔法使いが、信じがたい世界の扉を開く!

https://lewis-movie.jp

(C)2018 UNIVERSAL STUDIOS AND STORYTELLER DISTRIBUTION CO.,LLC

撮影:オサダコウジ

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藤本エリ

映画・アニメ・美容が好きなライターです。

ウェブサイト: https://twitter.com/ZOKU_F

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