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眠れぬ夜の経済効果☆最新・慢性不眠症ガイドラインの一押しはCBT-I☆(株式会社心陽)

今回は『株式会社心陽』の心陽コラムからご寄稿いただきました。

眠れぬ夜の経済効果☆最新・慢性不眠症ガイドラインの一押しはCBT-I☆(株式会社心陽)

The American College of Physicians (ACP) の最新ガイドラインです。

米国成人の6~10%が診断基準に合致

不眠症は健康上の大きな問題となっており,米国では成人の約6~10%が不眠症の診断基準に合致すると推定されています。

不眠症の診断には、AIS(アテネ不眠尺度)*1 やPSQI(ピッツバーグ睡眠質問票)*2 を用いるのが一般的です。

*1:「アテネ不眠尺度(AIS)(PDF)」『作業療法士のブログ』
http://ndtot.up.seesaa.net/image/E382A2E38386E3838DE4B88DE79CA0E5B0BAE5BAA6EFBC88AISEFBC89.pdf

*2:「ピッツバーグ睡眠質問票」『国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所精神生理研究部』
http://www.sleepmed.jp/q/meq/psqi_form.php

まず、「アテネ不眠尺度」を用いた日本の研究を二つ紹介します。

結果のPDFがどちらの研究もステキなので、ぜひご参照ください。
私の診察を受けたことがある人は、②の分布図を元に自分の位置をプロットされた経験があることでしょう。

「眠れない」の訴えにいきなり睡眠薬、なんていう診療は下手するとレセプト病名に「うつ病」とまで書かれています。
AISをやっても、「6点ですね」と言うだけじゃ、なんのことやらわかりません。
山のどの辺にいるのか、4,000人中何位なのか、ということを示すと、皆さん、非常に納得します。

(1)2014年8月にMSDが、20~79歳男女7,827名の調査対象者に行った研究では、38.1%が「不眠症の疑いがある」(6点以上)、18.4%が「不眠症の疑いが少しある」(4~5点)と判定されました。
「0代~70代の男女7,827名に聞く「不眠に関する意識と実態調査」調査結果概要(PDF)」『快眠ジャパン』
http://www.kaimin-japan.jp/static/pdf/mechanism-data.pdf

(2)また2011年に報告された、ファイザーが4,000名の調査対象者に行った研究では、42.2%が「不眠症の疑いがある」(6点以上)、20.7%が「不眠症の疑いが少しある」(4~5点)と判定されました。
「全国4,000名を対象にした『不眠に関する意識調査』(PDF) 」『ファイザー株式会社』
https://www.pfizer.co.jp/pfizer/company/press/2011/documents/110901.pdf

(3)資料がイマイチなのでおまけですが、厚生労働省による2007年の「国民健康・栄養調査結果の概要について」では、睡眠で十分休養がとれているかと質問したところ、5人に1人が「あまりとれていない」「まったくとれていない」と回答した
「平成19年国民健康・栄養調査結果の概要について」2008年12月『厚生労働省』
https://www.mhlw.go.jp/houdou/2008/12/h1225-5.html

まあ、すべてをざっと見ると、40%くらいが危険なんじゃないの? というところですね。
5人に2人ですよ!
100人の企業なら40人です。。。

麻酔科専門医ですし、不眠とはお友達ですし、師と仰ぐハーバードのKales先生の専門も睡眠です。
そして社員たちから睡眠に割ける時間についての話は毎日のように聞いています。
睡眠の経済効果は私にとって、どんぴしゃで興味のある話題です。

米国における年間の不眠症関連支出は300億~1,070億ドル,生産性の損失などの経済的影響は632億ドルに達すると試算されています。

日本の不眠損失は3.5兆円

日本での不眠の経済損失については、は2006年日本大学医学部の内山真教授(精神神経医学)がまとめた、不眠症や睡眠不足によって国内で生じる経済損失が年間3兆4693億円余に上るという試算が有名です。

化学メーカーの従業員約5,000人(回答率76.77% 有効回答率)を対象に睡眠時間などをアンケート調査し、給与、交通事故の損害費用などのデータを基に推計したものです。

日本で詳細なデータを基に睡眠の問題による経済損失額が算出されたのは初めてでした。

主な質問内容は以下の4項目です。
(1)性別、年齢、職種など回答者の「基本情報」
(2)睡眠時間や寝付きの良さなど「睡眠の状態に関する情報」
(3)勤務中の眠気の頻度、眠気による欠勤、遅刻、早退、作業効率などの「生産性に関する情報」
(4)交通事故の有無などの「交通事故に関する情報」

その結果、「寝付きが悪い」「深夜、早朝に目が覚めてしまう」などの問題がある人は、問題がない人に比べ、男性で月に平均2.3回、女性で2.1回多く眠気に襲われることが分かり、眠気がある時の作業効率は、眠気のない時に比べ男性で40.1%、女性で37.0%低下することが判明しました。

ここから先はよくある仮想算出の方法で、睡眠に問題がある人とない人の「眠気の頻度の差」に、眠気がある場合の「作業効率の低下率」と公的調査で判明している「年間給与」を乗じ、1人当たりの年間生産損失額を計算しますと、男性が255,600円、女性は137,000円と推定されました。

アブセンティーイズムでは、欠勤731億円、遅刻810億円、早退75億円ですが、前回、ノロウィルスで示した比を取ると、少なく見積もってもプレゼンティーイズムでは1兆円になる見込みですが、今回の計算法では2兆6千億円、近かったわけです。

また、不眠、寝不足による交通事故の損失は、睡眠不足が原因となった事故の頻度に物的、人的それぞれの損害費用を乗じ、合計2,413億円としました。

睡眠に問題がある労働者全体では、約3兆665億円の損失です。

米国と単純比較すると半額程度にも見えますが、医療制度が違うので、納得しすぎないでくださいね。

「不眠」がもたらすリスクは生活習慣病まで及ぶ

スタンフォード大の研究チームは、睡眠不足が食欲をあげ、結果的に肥満を引き起こすことを明らかにしています。
また別の研究では、寝つきが悪い人、途中覚醒がある人では、健常者に比べ高血圧を発症するリスクも2倍になることが報告されています。

高血圧発症リスク
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