きっかけは、店の経営難に陥った父との会話。「総合口コミサイト」創業・五十嵐の原体験
日用品や食品の総合口コミサイトとして、株式会社Smarpriseは2017年12月に「ReviYou(レビュー)」をスタートしました。このサービスに込められているのは、代表取締役・五十嵐健の「あまり知られていない、こだわりの逸品にスポットを当てたい」という想い。その根底には、五十嵐の“ある原体験”があったのです。
※本記事は、「PR Table」より転載・改編したものです。
イチ経営者である祖父や父の背中を見続けた学生時代
▲ReviYouの原点である五十嵐の実家のクレープ店ReviYouの原点は、五十嵐の幼少期にあります。
五十嵐は、東京都杉並区で自営業を営んでいる家庭で育ちました。五十嵐の父は、一度は銀行員として就職したものの、「自分でビジネスを起こしたい」という想いから、五十嵐が生まれるのと同時に銀行を退職。もともと五十嵐の祖父母は豆腐店を営んでいましたが、父は新たにクレープ店を始めました。クレープを選んだ理由は、近所に学校が多く、多くの子どもたちが買ってくれるのでは?という考えから。
五十嵐 手前味噌ながら父のつくるクレープはとても美味しく、立地の良さも後押ししてくれ、学生さんから人気が出て連日大盛況でした。
ところが、五十嵐が高校生になったころ、ピンチが訪れます。
クレープ屋に来てくれるお客様の大半は学生。彼らが通う学校はすべてが線路を挟んだ向こう側だったのですが、なんとその近辺に、安価な価格で提供する大手ファーストフード店ができたのです。
当時はデフレの真っ只中。安いものが支持される時代で、学生たちは安さと距離の近さから、五十嵐の父が営むクレープ屋にはなかなか足を運んでくれなくなってしまいました。経営状態が厳しくなりながらもお店を続けてきましたが、五十嵐が社会人になると同時にクレープ屋を閉じることになってしまうのです。
大規模チェーンには、どんなにいいものをつくっても勝てないーー
そんな悔しい想いが五十嵐の頭の片隅には残っていました。
きっかけは父との会話から
▲孫にクレープを焼いている五十嵐の父。父のつくるクレープはおいしいと評判だったインターネットの普及に伴い、グルメの口コミサイトがインフラとなってきた2012年ごろ。五十嵐は、父との会話で、“ある言葉”を聞きました。
——もし口コミサイトが、当時あったらな……。
本当に味には自信があった父のクレープ店。五十嵐にとっては、まさに“日本一のクレープ”といっても過言ではありません。 五十嵐は、今でも実家のクレープ以上においしいクレープを食べたことがないと振り返ります。
もし当時、グルメの口コミサイトがあったならば「東京 ✕ クレープ」「東京 ✕ スイーツ」「クレープ」などと検索を通じて遠方から訪れてくれたお客様は少なからずいただろう。高校時代に感じた悔しい気持ちが、さらに強まることになったのです。
月日は流れ2015年、五十嵐は株式会社Smartpriseを創業しました。そして、既存事業が軌道に乗ってきた2016年冬、さらに会社を成長させるために次の新規事業を考えることになったのです。創業当初から抱いている“世の中に驚きと感動を”という想いを胸に、どんな事業にしようかを考える日々が続きました。
やるからには、世の中のインフラとなるぐらい、“でっかいこと”をやりたい――そこで、一度目の前にある日常から離れ、自分と向き合ってみようと、五十嵐はひとりで合宿を行なうことにしたのです。
五十嵐 新規事業を考えるうえでも、既存の延長線では出ないアイディアを出すために、ひとりで“新規事業合宿”と題し、泊まり込みで新規事業を考え抜く時間をつくりました。
合宿中、煮詰まってしまった五十嵐は、気分転換にアイスを買うことに。そのアイスを見ているうちに、高価だけど人気のあるアイスを、よくTwitterやインスタグラムなどのSNSで知人が投稿をしているのを思い出しました。
そこで、父とのあの会話が蘇ってきたのです。
——もし口コミサイトが、当時あったらな……。
五十嵐はこの瞬間、新規事業のヒントを得たのです。
サービス化に向けた着想。ところが、大きな壁が立ちはだかる
▲武石氏(左)と五十嵐(右)。武石氏はReviYouの開発にとって欠かせない存在だった日本には、食べログを代表とした飲食店をレビューするサービスは多々あっても、日用品や食品をレビューするサービスはないのでは……
ピンときた五十嵐は、早速サービス化に向けて“深掘り”を始めました。課題は日用品・食品が世の中にあふれるほど多くあること。ユーザーが調べたい、ユーザーがレビューしたい商品とのマッチングができるか、ということでした。
五十嵐 そこで、私が着目したのが“バーコード”。これは一つひとつの商品に付与されているバーコードをデータベース化でき、それをカメラで読み込むだけで商品とマッチングができたら、サービスのコアバリューになりうるかもしれないと考えたんです。
しかし、そのサービスを実現するには、エンジニアの存在が必要不可欠。当時のSmarpriseにはエンジニアがいませんでした。
ところが、ここで助け舟が。五十嵐が新卒で入社したサイバーエージェントの同期であり、「アメーバブログ(現 Ameba)」などの開発に携わった武石幸之助氏が、アイディアを思いついた数日後に当社に営業に来ていたのです。
五十嵐 彼は私よりも先に起業しており、彼の会社もまた新規事業として、ベトナム拠点を使ったオフショア開発事業を新しく始めたという話をしていたんです。彼ならば間違いなく信頼できるし、システム開発を委託するオフショアならば、コストダウンもできる。
こうして無事に開発が進み、2017年12月、「ReviYou」をリリースしました。
ReviYouは、食料品や洗剤、薬など、あらゆる商品が登録されているレビューサイト。ユーザーは商品を買う前にこのサイトで実際のレビューを見ることで、より自分にぴったりの商品や地方の隠れた銘品を知ることができるのです。
2018年1月現在、商品点数300万点以上の日用品・食品が登録されています。
良いものは認められる――世の中のインフラとなりうるReviYouの未来
(https://youtu.be/Zo0mkRgpWB0)
▲ReviYou紹介動画。将来的には世の中のインフラになることを目指している
自営業を営む家系で生まれ育った五十嵐。
1990年代、地域密着型の自営業だと経済圏はせいぜい半径3kmでした。しかしインターネットの普及により「口コミサイト」が誕生し、これまで注目されてこなかったような地域密着型の飲食店も注目を集めるようになりました。五十嵐は、「ReviYou」の口コミを通して、地方の企業や中小企業が丹精込めてつくった商品が注目されるような世界を目指しています。
五十嵐 例えば、「しょうゆ」ひとつとっても、魂を注いで製造されているメーカーさんは数多く存在します。ただ、どうしてもスーパーなどに行くと、なじみの商品、いつも買っている商品を多くの消費者が買っているのが現状です。これをわれわれがつくるReviYou内で最も支持されている商品がわかったら、プロモーション予算などの資金力がなくとも、こだわりを持って取り組んでいる企業や商品が、正当に評価されるのではないかなと思うんです。
街の片隅にある小さな店舗でも、料理のクオリティ次第で全国各地からお客様が来るようになったように、ReviYouによって、日用品や食品も消費者の行動を変えていくことができると思うのです。そして、口コミで支持されている商品が本当に良い商品であれば、自然とユーザーの数は増え、いつしか人々の生活にとって必要不可欠なものになるはずです。
五十嵐 日本のモノづくり文化が大好きです。日本国内でつくっているまだまだ知られていない商品にスポットライトを当て、本当に良い商品を発信していく。そうすることで、世の中をよりよく変えていきたいと強く願っています。
まだまだ事業は立ち上がったばかり。ですが、日本のモノづくり文化のインフラにもなれる可能性を信じて、これからも思いっきり挑戦していきたいです。
会社説明会では語られない“ストーリー“が集まる場所「PR Table」
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