仕事は自分でやるのが一番早いと考える人は「デキる人」OR「デキない人」?
「仕事はチームワーク」と言われますが、人に仕事を頼むことを躊躇したり、苦手だと感じている人は案外多いようです。あなたはお願いすることに抵抗感を持っていませんか?自分でやった方が早いからと、何でも自分一人で仕事をこなしていては、大きな仕事や、やりがいのある仕事を逃すことになるかもしれません。仕事で活躍する人は、総じて甘え上手という特徴を持っています。そこで今回は広告代理店勤務時代に3,000人以上のVIPと交流し、彼らの効果的な仕事の頼み方を研究している気配りのプロフェッショナル・後田良輔さんに「お願い上手が知っている『お願いの配慮』」について話を伺いました。
プロフィール
後田良輔氏/ビジネス書作家・コラムニスト
1972年生まれ。大手3大広告代理店に勤務し、「誰でも使える気配り術」を駆使する気配りのプロフェッショナル。これまで応対したVIPは、東証一部上場社長、世界企業のCEO、政治家、医者、弁護士、大学教授、大物俳優・女優、ミリオンセラー作家、世界No.1クリエイターなど総勢3000名を超える。この特別丁寧に接しなければならない顧客との交流で磨かれたスキルと「東京・名古屋・大阪」の現場勤務で身につけたリアルな経験を組み合わせた、独自の「誰でも使える気配り術」に定評がある。著書に、『気配りの正解』(ダイヤモンド社)『<落ちこぼれでも3秒で社内エースに変わる!>ぶっちぎり理論38』(ダイヤモンド社)、『逆境を活かす! 就活面接「エモロジカル理論」2015年度版』(実務教育出版)『1秒内定面接術」』(インプレス)など。これらの実績を買われ全国の大学や企業から講演・研修依頼が殺到。新聞・雑誌などメディア露出は50回以上。「世界からキャリアの悩みをなくすこと」をミッションとする。
お願い上手は「しょうがないな」を上手く引き出す
私が接してきた3000人のVIPの特徴は、とにかく甘え上手のひと言につきました。自分がやりたい仕事や、どうしても自分でしかできない仕事以外は、極力周りの人に頼むくらいのスタンス。すぐに人にお願いする癖を持っている方ばかりで、本当に何でも人に頼り、良い意味で人に助けられ、そしてそんな仲間と良好なチームワークを築いて大きな仕事をこなしていました。そんな彼らの行動やしぐさを観察すると、共通の答えに行きつきました。それは「相手の『しょうがないな』を引き出している」ということです。人はお願いされると大なり小なり「面倒くさい」と思うものです。つまり基本的に、人は他人からお願いされたくないと思っています。でも甘え上手は、その基本に例外があることを知っています。その例外とは「指名」です。人は「あなただからお願いしたい」という指名には弱いと私は思います。「誰でもいいわけではない。あなただからお願いしたい」というニュアンスをお願いの仕方にすると、相手は「しょうがないな」と思い、ついつい相手のお願いにOKしてしまいます。お願い上手はこの「しょうがないな」をうまく引き出す行動や物の言い方を駆使し、お願いしていたのです。ちょっとしたお願いの配慮の有無で、相手の反応が180度変わる場合もあります。では次からそんなお願いの仕方の配慮について具体的に見ていきましょう。
×「相手のデスクの前で」 〇「別の場所(会議室などの個室)で」
お願い上手は、お願いする場所やシチュエーションに気を付けています。情報の機密性が重要視される時代だからこそ、お願いの場所に気を配ってみましょう。どこで誰が見ているか(聞いているか)わからない相手のデスク前ではなく、個室に移動し、きちんとお願いした方が、「あなたは重要だ」という印象も演出でき、話がまとまりやすい場合が多いものです。
×「〇〇してください」 〇「〇〇していただけると嬉しいです」
相手が遠方にいたり、時間の制約があって「メール」でお願いする場合があります。そんなときは「〇〇してください」と書くよりも、「〇〇してくれると嬉しいです」「〇〇してくれると助かります」と書いてみましょう。顔が見えないメールだからこそ、人柄や気持ちを文面に忍ばせるのがお願い上手の特徴です。
×「会ってすぐに」お願いした 〇「先日のお礼を述べてから」お願いした
お願い上手は、自分より目下の人に対しても礼儀の心を持っています。部下や後輩などにお願いをするときでも、「会ってすぐに」お願いするのは無作法です。「先日はありがとう」「いつも力になってくれて助かっているよ」など、相手への日ごろの感謝を伝えてからお願いごとを切り出した方が、相手も応援してあげようと思うものです。
×「ゆっくり丁寧にお願いした」 〇「紙にまとめてお願いした」
込み入ったお願いをする際は、お願いしたい内容を「A4サイズの紙1枚」にまとめて見せるのがお願い上手の工夫です。どんなにゆっくり丁寧に説明されても、人は忘れるものです。その前提に立ち、相手に負担なくお願いを記憶してもらう姿勢が、相手の協力を引き寄せます。
×「ちょっと時間をください」 〇「15分だけ時間をください」
自分の感覚の「ちょっと」と、相手の感覚の「ちょっと」は必ずしも同じではありません。15分や30分など、時間を限定することで「あなたの大切な時間を奪いません」という姿勢が演出できます。また時間を区切れば、自分も相手も集中力が増すプラスの効果も期待できます。あいまいなお願いの仕方は、相手の時間を奪うことになり、嫌われやすくなるものです。
×「休日前に」お願いした 〇「休日明けに」お願いした
休みの前は、大なり小なり疲れが溜まっているもの。そんな疲れた休日の前にお願いすると、「また仕事が増えるのか」という印象を相手に与えることになりかねません。また休日前のお願いは、忘れられる可能性もあります。お願いごとは相手がリフレッシュした休日明けの方が、気持ちよく対応してもらえる確率が高いものです。
×「もうひとつあるのですが」 〇「厚かましくて恐縮ですが」
お願いごとの話の最中に、もうひとつお願いごとを思い出すことがあります。そんなときは「もうひとつあるのですが」といきなりお願いするのは不作法です。相手は「お願いごとはひとつだけ」と思っているかもしれません。複数のお願いをするときは、一度、「厚かましくて恐縮ですが」と断りを入れると受け取る相手の印象も変わるかもしれません。
×「何度もリマインドする」 〇「お礼がてらリマインドする」
お願いごとを失念されないように、何度もみっちりリマインドする人がいますが、嫌われる原因になるかもしれません。もしリマインドしたいなら、お願いを聞いてもらった「お礼」の意味でメールや手紙を書き、同時に依頼内容をリマインドするのがうまい方法です。
×「〇〇してください」と言った 〇「私はAをやるので、Bをお願いできますか」と言った
一方的にお願いする人は嫌われる可能性があります。「ギブ&テイク」の精神を忘れず、お互いが役割を分担すれば、大抵のお願いは引き受けてもらえるものです。
まとめ
同じお願いごとでも、言い方や頼み方次第で180度相手の反応が変わることがあります。どうせなら気持ちよくお願いを引き受けてもらい、空いた時間であなたしかできない仕事に集中してみませんか。15分かかる仕事を人に頼められれば、5日間で75分、4週間で300分。それが1年間続けば3,600分も時間を創出できるようになります。うまく人にお願いし、自分が本来集中すべき仕事に取り組むべきだと私は思います。あなたの人生はお願いの仕方で変わることもありえるのです。
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