アメコミヒーローをロボに乗せるのは日本の伝統!? 映画『ニンジャバットマン』ガジェット裏話も!中島かずき×水﨑淳平インタビュー

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水﨑:「土はいい」ってセリフが割りと打ち合わせの初期に出てきて、中島さんがずっと気にかけているシーンだということを目の当たりにしてきていたので、あのパートのためのお膳立てを前後でするくらい、大事にしなきゃいけないと思いました。いろいろなスタッフから、工数や作画の量で切れ切れと言われている中で、「ここは切っちゃダメ」と鉄壁の守りを続けました(笑)。

中島:確かに長いんですよね。でもやりたかったんですよ(笑)。不安でもあったんですけど、アメリカで上映したときに、あのパートが面白いと言ってくれる人も多くて、ホッとしましたね。

水﨑:評判良いですね。Amazing!って大体あのパートのこと言ってますもん。

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――あの百姓パートは見た目のテイストもガラリと変わりますが、その構成は最初からあったアイデアだったんですか?

水﨑:『トムとジェリー』とかって、日本で無理やり30分番組の枠に収めて放送していたときに、真ん中に『トムとジェリー』じゃない実験的な作品が入ってたんですよね。『真ん中作品』と呼ばれているのですが、スパイスが効いていて子どもながらに好きで。あれがあって『トムとジェリー』が面白くて、でも『トムとジェリー』があるから、その『真ん中作品』が面白いという、おにぎりの真ん中の梅干しみたいな。あと『まんが日本昔ばなし』も、2話構成で前半は割りと子ども向けアニメしているんですけど、後半は『もちもちの木』みたいなおどろおどろしい話も出てきて、でも子どもながらに意外とそっちの方が覚えていたりする。

だから、「これだ!」と。そういう異なるものが間に入ってきても、意外と日本人は見慣れている。このスタイルは大丈夫だという自信はありました。

――百姓パートの評判が良いというお話もでましたが、海外での反応は?

中島:賛も否も、ふざけるな!って反応があって。平均点は5点なんだけど、10点か1点ばかりで5点はない。狙い通りです。

水﨑:アナハイムがお客さんにフルで見せた最初の場で心配だったんですけど、(お客さんから)生卵が飛んでこなかったのが意外でした。

中島:シュワルツネッガーが生卵をぶつけられたときに「ベーコン持ってこい」と言ったと聞いたので、僕らは生卵をぶつけられたら「ごはんを持ってこい」って言って、醤油をかけて目の前で食べてやろう、と。そうすれば、「こんなやつらが作ってるんだったらしょうがない」って諦められるだろうと話していたんですけどね。卵は飛んでこなかった。けっこう狙っている通りに笑って欲しいところで笑ってもらえて良かったです。

日本人がアメコミのヒーローをロボに乗せるのは伝統

――映像も浮世絵っぽい色合いだったりモチーフがふんだんに取り入れられていて、「これ絶対外国人好きだろうな~!」と感じたんですが、意識して作った部分はありますか?

水﨑:普段、他のお仕事でアニメーションを作るときって、今回のような色合いは使わないですよね。ちょっと過剰に日本を前に押していった部分はあります。よくハリウッド映画に出てくる日本描写ってちょっと間違っているじゃないですか。あれは面白いと思っているんですけど、それをさらに拡大解釈して僕らが発信することで日本が誤解されていったら面白いな、というくらい、少し過剰に表現しました。あなたは日本をこう思っているでしょ?と自虐しているというか。

中島:君たちの誤解は間違っている、本当の日本人が日本人を誤解するとはこういうことだ、というのを示そうという気持ちでしたね。

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