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「小心者」こそが優れたリーダーになる!~小心さ、繊細さをプラスに活かす方法

世界最大のタイヤメーカーであるブリヂストン。同社の元CEOであり、現相談役の荒川詔四氏は、「名実ともに世界ナンバーワン企業としての基盤を築く」を旗印に、独自のグローバル・マネージメント・システムを導入するなどアグレッシブな経営を展開、世界約14万人の従業員を率いてこられました。

そんな「日本を代表するビジネスリーダー」が先ごろ、『優れたリーダーはみな小心者である。』との著書を出版したことで、話題を集めています。誰もが「そんなはずないだろう」と突っ込んでしまいそうなタイトルですが、荒川氏は「ブリヂストンに身を置き、40余年にわたってグローバル・ビジネスの最前線で戦った経験を振り返り、そう確信している」と断言します。

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「小心さ」「繊細さ」を束ねて、「強靭なリーダー」になる

「優れたリーダー」と聞くと、周囲を威圧するようなオーラを放ち、普通の人にはできないような決断をして、それを大胆にやってのける「図太い人物」を思い浮かべる人が多いと思います。

しかし荒川氏は「単に神経が図太いだけでは、真の意味で優れたリーダーにはなれない。むしろ逆」と言います。実際、氏が今まで接してきた一流のリーダーはみな「小心さ」「繊細さ」を持ち合わせていたそうです。

周囲の人々に細やかに気を配り、常にリスペクトの気持ちを忘れない。心配性だからこそ細部まで徹底的に自分の頭で考え抜き、臆病だからこそあらゆるリスクに備えて万全の準備を怠らない。だからこそ、いざという時に決然とした意思決定を下すことができるのだそう。

いわば「細やかな神経」を束ねて「図太い神経」を作ることが、真に強靭なリーダーになる秘訣。つまり「小心さ」「繊細さ」は短所ではなく長所であり、これらを「武器」として生かすことができる人が優れたリーダーに育つのだと言います。

そんな氏が勧める、「小心さや繊細さをプラスに活かしてリーダーシップを磨く方法」を一部抜粋し、ご紹介しましょう。

「トラブルが起きているから順調だ」と思うことで、トラブル対応力が付く

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ビジネスにおけるトラブルを解決するのは、リーダーの重要な役割の一つ。40余年の中でさまざまなトラブルを経験してきた荒川氏は、「トラブルを解決するうえで威力を発揮するのが“繊細さ”」だと断言します。

トラブル対応で最悪なのは、たとえ自分たちに非がないトラブルだったとしても、相手のことを考えず、一方的にこちらの主張を押し通そうとすること。しかし、相手には相手の事情や考え方があり、それを真摯に受け止めなければ対話は成立しません。

一方で、相手の立場、利害、感情を細やかに察知する「繊細さ」は、信頼回復の大きな武器になります。相手の言い分に真摯に耳を傾け、その真意を正確に理解する。そのうえで、相手に対するリスペクトをもって謝罪すべき点は謝罪し、譲れない点があればそれを率直に伝える。お互いが納得できる解決策を見出すために、誠実に努力する姿勢を徹底すれば、必ず「この人は人として信頼できそうだ」と思ってもらえます。

つまり、むやみに好戦的な人、自信家な人よりも、「繊細な人」のほうがトラブルには強いということ。一見リーダーっぽく見える前者ではなく、後者の方がリーダーとしての役割をこなせる人物といえるのです。

とはいえ、予期せぬトラブルに見舞われたら、誰だって心臓がどきどきするもの。小心者なら、なおさらでしょう。そんなときは、「トラブルが起きているから順調なのだ」と自分に言い聞かせるといい、とのこと。

ビジネスにはさまざまな立場の人が関わります。自分がどんなに完璧を期したとしても、見込み通りに仕事が進むとは限りません。ましてや新しいことを始めるときは初めからうまくいくはずもなく、必ずトラブルは起きます。「順調に行っているときが例外。やっぱりトラブルが起きたか。順調だな」と思うようにすれば、気持ちが落ち着き、冷静に対応策を考えることができるようになるものなのです。

苦行ではなく「面白いこと」をする中で、真のリーダーシップが育つ

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リーダーシップはさまざまな苦行、逆境を経験する中で鍛えられるもの。しかし、繊細で小心な人はそれらに耐えられないのでは…という印象があります。

しかし、荒川氏は「苦行、逆境を経験するよりも、『面白いことをする』ことがリーダーシップを育てる最善の方法」と力説しています。

もちろん、リーダーの仕事に苦行、逆境はつきものではありますが、「それが単なる苦行であってはならない」というのが荒川氏の考え方。「苦行=辛さに耐えて仕事をする、というスタンスには、リーダーシップの原点である『主体性』がかけらも存在しない」と言うのがその理由。

「主体性」が発揮されるのは、心の底から面白いと思えることをするときであり、面白いからこそ誰かに指図されるまでもなく率先してチャレンジするのだ、と。

もちろん「面白い」ことを実現する過程では、壁にぶつかったり、痛い思いもするものです。ときには挫折することもあるでしょう。しかし、この苦しみは決して苦行ではなく、面白いことを実現するためにしているから辛くはないはず。そして、この逆境を乗り越えて物事を実現する過程でこそ、「真のリーダーシップ」が鍛えられると言います。

ただ、仕事は「面白いこと」ばかりとは限りません。自分が興味を持ち、「面白い」と思えることを実行するには、上司を説得し、ハンコを押してもらわねばなりません。

「上司を説得する」というと、繊細で小心者の人は怖気づくかもしれませんが、「度胸など不要」と荒川氏。経営者の視点で、次のようにアドバイスします。

「経営陣が策定した企業戦略に資するアイディアかどうか。問題はこれだけです。なぜなら、戦略に資する提案であれば、却下する理由がないからです。『会社の天井』などたいしたものではありません。どんどん『穴』を開けて、仕事を面白くしたほうがいいのです」

「小心者でなかったら、生き残れなかった」

荒川氏は、自らも繊細で小心であり、かつてはそれにコンプレックスを感じていたとのこと。しかし、さまざまな経験を通して、繊細さ、小心さこそが武器になると実感し、今では「小心者でなかったら、この変化の大きいグローバル市場で生き残ることはできなかった」と実感しておられます。

本書ではこのほか、「小心な楽観主義者こそが、最強のリーダーである」「臆病さを笑う者は必ず失敗する」「心配性だから先見の明が育つ」など、小心だからこそ最強チームが作れる理由を「25の鉄則」にまとめて紹介しています。単に豪胆なリーダーは本物ではなく、むしろ内向的で繊細な人物のほうがすぐれたリーダーになる可能性がある…とさまざまな経験、エピソードをもとに、具体的に解説されています。

「自分は小心者だから」「内向的だから」とリーダーに就くことを不安に感じていた人、上に立つことを諦めていた人は、手に取ってみてはいかがでしょうか?小心さ、繊細さをプラスに活かすヒントに出会え、今よりもっと自分に自信が持てるようになるはずですよ。

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▲参考書籍:『優れたリーダーはみな小心者である。』/荒川詔四/ダイヤモンド社

EDIT&WRITING:伊藤理子

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