あなたは大丈夫?箸のマナーとタブー|Pacomaマナー道場
毎日の食事で何気なく使っている箸。宴席など人の目のある場所で和食をいただく時に自分の箸の使い方が気になることはありませんか? 実は、箸の使い方には意外なタブーがあるのです。いざという時に恥をかかないために箸のマナーを知っておきましょう。
やってはいけない箸のタブー
© PIXTA一緒に食事をしている人を不快にさせたり、不潔と思われるような箸の使い方を昔から「嫌い箸」や「忌み箸」といって、マナー違反とされています。
そんな箸のタブーを知っておけば、いざという時に恥をかかずにすみ、また、自然と正しい箸の使い方が身につくことにもなります。
ついやってしまいがちな箸のタブー
【洗い箸】
箸を汁物などで洗うようなこと
【受け箸】
箸を持ったまま、おかわりをすること
【移り箸】
一度箸をつけたけど食べずにそのまま別の料理に箸をつけること
【拝み箸】
箸を両手ではさんで拝むような持ち方
【押しこみ箸】
料理を箸で口の中に押し込むこと
【かき箸】
茶碗や器の縁に直接口を当てて料理を箸でかき込むように食べること
【重ね箸】
いろいろ料理があるのに一つの料理ばかりに手をつけること
【噛み箸】
箸の先を噛むこと
【くわえ箸】
箸を口にくわえること
【探り箸】
お椀の底に具が残っていないかと、探るように箸でお椀の中をかき回すこと
【刺し箸】
料理に箸を串のように突き刺して食べること
【すかし箸】
骨付き魚の上側を食べた後、骨越しに裏側の身をつついて食べること
【せせり箸】
箸を爪楊枝代わりにして箸先で歯の間を掃除すること
【揃え箸】
箸先を膳の上や皿などの食器で揃えたり、舌や唇で揃えたりすること
【涙箸】
箸で取った食べ物からポタポタと汁を滴らせながら食べること
【迷い箸】
どの料理を食べようかと迷って料理の上で箸を動かすこと
【振り上げ箸】
食事中に箸を振り上げながら話をすること
【ほじり箸】
器の底のほうにある料理をほじり出すこと
【もぎ箸】
箸についたご飯粒などを口でもぎ取ること
【指差し箸】
食事中に箸で人や物を指し示すこと
【横箸】
箸を二本揃えてスプーンのようにして、すくって食べること
【寄せ箸】
箸を使って食器を引き寄せること
【渡し箸】
箸休めのときに箸を食器の上で横にして置くこと
複数人で食べる時の箸のタブー
パーティや会食など、複数人で大皿や鍋から取り分けるような食事形式の場合は、取り箸でいったん取り皿に載せて、取り箸を大皿に戻してから料理をいただくのが基本マナーです。
親しい仲でも次のようなタブーを侵さぬように気をつけましょう。
直箸(じかばし)
取り箸を使わずに自分の箸で直に取り分けること
(ただし、中国、台湾、韓国などでは、逆に直箸が「心を許し合うもてなし」の意味となり、基本的に取り箸を使わないため、日本独自のタブーといえます。国際的な会食の場合は注意が必要です)
返し箸(逆さ箸)
料理を取り分ける時に箸を上下逆さにして箸頭(はしがしら)を使うこと
(返し箸は気遣いが感じられるので厳密なマナー違反ではありませんが、人によって不快に思われることがあります。返し箸をする場合は、口をつけた箸先を向けることは失礼なので、箸先をティッシュなどで拭き取るようにしましょう)
美しく見える箸のマナー
© PIXTA友達や異性の方と食事をしている時、相手の箸の持ち方や使い方に「あら?」と思うようなことはありませんか。そして、もしかしたら自分も? と。
子供の時からの癖をそのままにしていることもあり、今さら他人に聞くことも注意することもできないのが箸のマナーです。
人前で恥ずかしい思いをしないように美しく見える箸のマナーを知っておきましょう。
【マナー1】口をつけるのは箸先3cmまで!
「箸先五分、長くて一寸」といわれるように、箸先1.5〜3cmのところを使うようにし、口奥まで入れすぎないようにするのがマナー。
できるだけ箸先を汚さないように箸を使うことで自然と美しく見えるのです。
思いがけず汚しすぎてしまった時は、不快に思われることもあるので、懐紙やナプキンなどでそっと拭くようにしましょう。
【マナー2】椀や小鉢は箸を持たないほうの手で
椀や小鉢を取る際は、一度箸を置くのがマナー。
その際、椀や小鉢などを取るときにも美しく見える手順があります。
次に紹介するのは、お吸い物が入った椀を取るときの作法です。
指先を揃えて両手でお椀を取り、左手で椀の底を支えて持って右手を離します。
器を持つ時は縁を持たないようにしましょう。
箸置きから右手で箸を取って、椀を持った左手の人差し指と中指の間に箸先をはさみ、箸を正しく持ち直して料理をいただきます。
椀の汁物などを食べ終えた後は、先に箸を箸置きに置いてから、椀を両手で持って膳に戻します。
【マナー3】箸置きを使う
箸休めの時についタブーの「渡し箸」をやってしまいがちですが、食事中に箸を置く時は、箸置きを使うのが正しいマナーです。箸は箸先3cmほどを外に出して置きましょう。
懐石など、箸置きがない時は、膳の左側の縁を箸置き代わりにします。
または、箸先を平皿の縁にかけて置きます。
割り箸などで箸袋がある場合は、箸袋を折って箸置き代わりにしましょう。
【マナー4】割り箸を縦に持って割るのはNG!
お店などで割り箸を使う場合、縦に持って割るとはずみで隣の人に肘がぶつかることがあるので避けて。
割り箸を横にし、上に向かって静かに割るようにしましょう。
食べ物の上に木屑が落ちることがあるので、膳の上では割らないようにしましょう。
割った箸は、いったん箸置きに戻してから使います。
割ってからそのまま料理を取るのはやめましょう。
【マナー5】おもてなしには白木の箸
お祝いの宴席やお正月には、柳箸など白木の箸を使います。
お客様を自宅にお招きする時は、何度も洗って使用する塗り箸はお客様に失礼となるため、一度しか使わない割り箸をお出しするのがおすすめです。
上部が斜めにカットされている高級割り箸の「天削箸」が良いでしょう。
しかし、婚礼などでは割り箸は「割る」「別れる」を連想させ、ふさわしくないとされていますので、結婚が決まって結納や顔合わせの食事会などを行う際には避けましょう。
ついやってしまいがちな箸のタブー。
恥ずかしい思いをしないよう、箸を持つ時には、家でも外でも日常的に箸のマナーを気にかけておきたいですね。
監修:小倉朋子
株式会社トータルフード代表取締役/フードプロデューサー/亜細亜大学講師/メンタルダイエットカウンセラー/ダイエットコンサルタント/日本箸文化協会代表/千葉県農政審議会委員。
食事作法、伝統食、トレンド、食育、箸、食文化、ダイエット、地球食環境といったグローバルな専門知見で飲食店のコンサルティング、メニュー、戦略開発などのほか、諸外国の食事マナー&総合的に食を学び広い視野で強く美しく生きる教室「食輝塾」を主宰。多数の著書を執筆し、講演活動やテレビ・ラジオ・新聞・雑誌などで活躍中。小倉朋子さんオフィシャルサイト
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