VOL38. 松本卓也監督×梅村結衣さん×勝俣州和さん×雛形あきこさん
シネマート新宿でレイトショー上映中の映画『ミス ムーンライト』。地元の観光PRビデオの平凡さに納得のいかなかった一人の女子高生が、新たな映像を撮影しようと決意! 総勢60人以上のキャストで贈る青春群像劇の本作は、コメディドラマとしては新しいPOV形式(一人称視点)で撮影されたことでも話題に。そんな本作の監督である松本卓也さん、出演されている梅村結衣さん、勝俣州和さん、雛形あきこさんにインタビュー!
***
──脚本を読まれての第一印象はいかがでしたか?
梅村結衣さん(以下、敬称略):最初に台本を読んだ時は正直内容がよく分かりませんでした(笑)! 三つの物語があってそれが混ざりあっていたり、幽霊の世界観とかもあって文字だけの状態だと混乱していました。映像を観て初めて、自分の中で繋がった感じです!
勝俣州和さん(以下、敬称略):主人公の父親という役だったので、もうそんな年齢になったんだと、しみじみしました。
雛形あきこさん(以下、敬称略):変わった設定だけど、ちょっといい話。私は主人公のお母さん役でしたが、登場時間が短いなかでも娘への愛情を感じられる脚本だなと思いました。
主演の梅村結衣さんと、主人公の母役の雛形あきこさん──実際に完成した本作を鑑賞した時の感想をお聞かせください。
松本卓也監督(以下、敬称略):脚本制作時にガチャガチャと人物と物語をスクラップ&ビルドしていたので、完成したものを観て「思ったよりまとまっているじゃないか!」と自画自賛しつつ、撮影時の記憶も入り混じって感動しましたね。
雛形:脚本を読んだ時より、映像の方が何倍も膨らんだ印象でした。
梅村:すごいめちゃくちゃで、はちゃめちゃではあるんですが、そこにどこか優しさだったり、人と人との繋がりが描かれていて、今までにない映画だと思いました! 映像を見るまでどんな風になっているのかまったく想像つかなかったので、鑑賞した時はすごいわくわくして観ていました。
勝俣:監督の繊細さを感じましたね。
──演じた役柄と、ご自身との共通点があればお聞かせください。
勝俣:ポジティブで、日々楽しんで生きようという心です。
雛形:同じ思春期の娘を持つ母親として、どう娘の背中を押してあげられるか。それは、かなり重なる部分ではありました。
梅村:私が演じた樋口マキは、やると決めたら最後までやらないと気が済まない性格。そこは私も同じだなって思いました。私も一つのことにすごく集中しちゃうので。長所でも短所でもあるんですが…。
──新潟新発田市オールロケでの撮影はいかがでしたか? 印象に残ったエピソードなどあればお聞かせください。
松本:新発田市は、日本全国の多くの皆さまが自分の故郷と重ねることができるような「ザ・地方都市」だと思います。同市の隠れた名所の一つである桜並木が永遠に続く道では、一年で一瞬しかチャンスのないような、桜と親子のシーンが撮影できました。
雛形:桜が咲いていなかったら、どうしようかなと心配でしたが、綺麗に咲いていて本当に良かったです。
勝俣:泊りがけの撮影でしたが、夜になると真っ暗だったのが印象に残っています。自分としてはお化けが出そうで怖かった……!(笑)
梅村:新潟で約1ヶ月半の撮影だったんですが、やっぱり1番印象に残っているのは雪桜ですね。春の桜が咲く頃に雪が積もる景色は、初めて見ました! 新潟の方に聞いてもなかなかないとおっしゃっていたので、いい時期に撮影ができたなと思いました。寒かったんですが、それを忘れるくらいはしゃぎました(笑)。
撮影時の松本卓也監督──POV方式の撮影ならではのハプニングはありましたか?
雛形:私は順調だったと思います(笑)。
梅村:実際に映画の役で使われているカメラの視点のみを重ね合わせた映像でつくられているので、一つのシーンを視点を変えてたくさん撮影しました。カメラを持っている役が多い分、どの子の視点で撮影していたのか、混乱してたのを覚えています(笑)。
勝俣:僕は監督の言われた通りにやるだけだったので、逆に楽しめました!
松本:「これは今誰のカメラ(設定)だっけ?」とか「どっちから撮影してたっけ?」なんてスタッフ、キャストと確認しあってました。慣れてきた頃には、みんなでPOV形式を楽しんでましたね。
──ところでみなさんは映画を観るのは好きですか? 最近観たオススメの映画や好きな作品があれば教えてください。
松本:『カンフー・パンダ3』が思ったよりガツンときました。他にも韓国映画の『ベテラン』や『FAKE』(2016年)も、観ていると笑えて元気がでます。
梅村:最近観た映画で1番面白かったのは『新感染』という韓国の作品でゾンビ映画です。ゾンビ映画は怖くて苦手だったんですが、この映画はストーリーがすごく素敵! 家族愛だったり、鬼気迫る時の人間の醜さだったり。良くあるお涙ちょうだい的なわざとらしい感じではなく、自然に入り込めてしまうナチュラルなラスト。2時間、すごくドキドキしながら観た映画でした!
勝俣:最近鑑賞したのは『アウトレイジ 最終章』ですね。僕のオススメ映画は『長靴をはいたねこ』(アニメ)です。
雛形:ちょっと前の作品ですが『はなちゃんのみそ汁』という映画が好きですね。本まで買っちゃいました。
──最後に本作を楽しみにされている方にメッセージをお願いします。
勝俣:久しぶりに、甘く切ない気持ちになりました。自分にとって今、なにが一番大切かを改めて確認し、そのものに対して愛をそそいでいこうと思わせてくれた作品です。
雛形:楽に観ていただければ、一人ひとりのキャラクターも楽しいので、若い子たちのパワーをもらえると思います!
梅村:物語もすごく面白味があってなかなかない作品だと思います。「え!なんでここそうなったの!?」と思う部分がたくさんあるんですが、どれも一つひとつに中身があって、最後にはすべてが繋がる。ぜひこの映画をみて何か感じていただけたら嬉しいです!!
松本:大作映画とインディペンデント映画、どっちも大好きな自分が、壁をぶっ壊して作った冒険作です! オーバーに言えば、この “革命”にお付き合いいただければ幸いです!
(取材・文/トキエス)
***
『ミス ムーンライト』
監督・脚本・編集:松本卓也
出演:梅村結衣、田中あさみ、浦野由衣、松本卓也、雛形あきこ、勝俣州和 ほか
配給:ベストプロデュース
2017/日本映画/119分
公式サイト:http://miss-moonlight.weebly.com
©2017「ミス ムーンライト」製作委員会
◆2017年11月4日(土)~10日(金)
シネマート新宿レイトショー
http://shineken-yotei.seesaa.net/article/453753170.html
※毎日イベント開催予定
◆2017年11月11日(土)~24日(金) イオンシネマ 和歌山
http://shineken-yotei.seesaa.net/article/453753717.html
[STORY]
マキは地方に住む高校生で映像部に所属している。部の仲間たちと地元の観光PRビデオを撮影したが、マキ自身平凡な仕上がりに納得していなかった。ある日、マキは新たな企画案を思いつく。仲間と顧問の先生を強引に説得し、春休みの合宿で再度撮影を行うこととなる。マキの従妹でアイドル活動をしているミサコや、先生から紹介された元映像ディレクターの博和など、東京からの助っ人も加わり、合宿はスタートする。しかし、ミサコと博和にはそれぞれ秘密があった。
■関連記事
【タランティーノやコーエン兄弟の作品にインスパイア!? ワンシチュエーションのショートコメディ『BOURBON TALK』】VOL.37 沖正人さん&海老澤憲一さん&雑賀克郎さん
【「不可能を可能にしろ」。自分自身にも、すごく響いた台詞。】VOL.36 清野菜名さん
【自分自身が好きになった桜良ちゃん、かわいいな、愛らしいなと感じた桜良ちゃんを表現できるように。】VOL.35 浜辺美波さん
- ガジェット通信編集部への情報提供はこちら
- 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。