体験を伝える―『ガジェット通信』の考え方

面白いものを探しにいこう 本物を体験し体感しよう 会いたい人に会いに行こう 見たことのないものを見に行こう そしてそれをやわらかくみんなに伝えよう [→ガジェ通についてもっと詳しく] [→ガジェット通信フロアについて]

Interview with Mogwai about『Every Counry’s Sun』

mogwai new 2  by Brian Sweeney

モグワイの3年ぶり9作目となるニュー・アルバム『エヴリ・カントリーズ・サン』は、ずばり、かれらの「ロック・バンド」としての本領が発揮された一枚。アナログ・シンセが多用された前作『レイヴ・テープス』(2014年)、アンビエントな音作りに傾倒したサウンドトラック『アトミック』(2016年)とは一転、持ち味のラウドなギター・サウンドが際立つハードコアな仕上がりを見せている。今回、名盤『ロック・アクション』(2001年)以来16年ぶりのタッグとなるデイヴ・フリッドマンをプロデューサーに招聘。『エヴリ・カントリーズ・サン』はモグワイ・サウンドの新たなスタンダードを築き上げたアルバム、と言えるだろう。そんな現在のモードを象徴するように、圧巻のライヴ・パフォーマンスを披露した〈ホステス・クラブ・オールナイター〉のステージの翌日。都内のオフィスでスチュアート・ブレイスウェイト(ギター)とドミニク・アイチソン(ベース)に話を聞いた。

——〈ホステス・クラブ・オールナイター〉のライヴ、めちゃくちゃ音がデカかったですね。

スチュワート「いろんな人から言われてるよ(笑)。今回、いつもサウンドを担当してくれてるエンジニアが別のバンドのツアーで参加できなくて、前に一回くらいしか組んだことのないエンジニアが担当してくれてるんだけど、いつも一緒にツアーに出てるエンジニアから『とにかく爆音で』って指示を受けたらしくて、それを忠実に守ってくれてるみたいだね(笑)」

——ニュー・アルバム『エヴリ・カントリーズ・サン』の1曲目“クールヴェリン”でライヴが始まったので、「もしかして日本でもアルバム再現ライヴやる!?」と期待してしまいました。

スチュワート「いや、さすがにそれは(笑)。今回、新作から5曲演奏してるけど、それだって多いくらいだよな」

ドミニク「そう、こっちも大変だし、お客さんにとっても今まで一度も聴いたことのない曲をアルバムと同じようにフルで聴かされたら相当キツいんじゃないかな」

スチュワート「あと、静かな曲が多いし、出演時間が夜遅かったから、お客さんが途中で寝ちゃうんじゃないかっていう心配もあったし(笑)」

——あの再現ライヴをやったのはアルバムのリリース前(※6月、スペインのプリマヴェーラ・フェスティヴァルで)でしたよね。やってみてどうでしたか?

スチュワート「緊張したよね」

ドミニク「新曲をライヴでやるのって、毎回ものすごく緊張するんだよ。ライヴでやってるうちに、自然と身体に馴染んできて、楽に演奏できるようになるんだけど、まだその域に達してないからね」

——今回の『エヴリ・カントリーズ・サン』は、ライヴで演奏することを意識して作ったアルバムだそうですね。「全曲ライヴで演奏できるアルバムは初めてかも」と先日バリー(ギター、キーボードetc)に話を聞いたら言ってましたけど。

ドミニク「前回のアルバム(※『レイヴ・テープス』、2014年)のときに、ライヴではどうしても再現するのが無理な曲が何曲かあって。もともと、曲を作ってるときにはライヴでどう再現するかってことは一切考えないんだけど。だから、ライヴ向けにリハーサルする段階になって、ステージでどうやって再現したらいいんだろうって初めて考える感じなんだよね。ただ、アルバムの曲を忠実に再現したいからというので、そのためだけにバッキング・トラックとかは使いたくないし、誰かしらが確実にメロディを弾いているってことにこだわっていきたいんだ。でまあ、たしかにね(笑)、せっかく新作を作ったのに、ライヴで披露できるのはそのうちの何曲かだけっていうんじゃ寂しいよね(笑)。でも全曲フルで演奏できる初めてのアルバムというのは違う気がする(笑)。バリーは無理だと思ってるのかもしれないけど(笑)」

——今回のレコーディングについて教えてもらえますか。

ドミニク「とりあえず、今回はデイヴ・フリッドマンに一切を委ねてみようということで。今回、デイヴのスタジオに行った初日に、デイヴにとりあえず全曲聴かせてって言われて、目の前で演奏したんだけど、デイヴが横でメモを取りながら聴いていて、きっとそのときからどういう音にしたいか全部頭の中でイメージができてたんだと思うよ」

スチュワート「そうだね、とりあえず最高のサウンドに仕上げてくれれば何だっていいっていう感じで(笑)。デイヴのミックスの仕方って、すべてのサウンドをマックスに上げて、フル・サウンドを作り上げていくという。それがまさにデイヴの持ち味だし、今回の曲に合ってると思ったんだよね」

——そのデイヴ・フリッドマンとレコーディングするのは、3rdアルバム『ロック・アクション』(2001年)以来、じつに15、16年ぶりということで。プロデューサーとしてデイヴの信頼の置けるポイントとなると、どういったところになるのでしょうか。

スチュワート「前に一緒に仕事をして、ものすごく楽しかったからね。しかも、最高のプロデューサーだし、お互いにすごく良い信頼関係にある。僕達のことを全面的に信頼してくれてるし、僕達もデイヴのことを全面的に信頼してる。毎回すごくスムースに作業できるんだよ。しかも今までデイヴが関わってくれた作品はどれもいい作品ばっかりだしさ。あと、単純にグラスゴーから離れてレコーディングしたかったのもあったんだ。それまでずっとグラスゴーでレコーディングしてたから、ちょっとした変化を求めてたというか」

ドミニク「グラスゴーって寒いし、しかも地元だから、夕飯を食べに家に帰ったりもできるし、それで作業が中断したりとかもしょっちゅうあるからね。今回、デイヴと一緒にレコーディングしたスタジオがまさに何もない僻地みたいなところで、他にやることがないから必然的に作業に集中するしかなかったし、それもプラスに働いたよね」

——前作の『レイヴ・テープス』からこの3年の間に、2本のサウンドトラック(『アトミック』/『ビフォア・ザ・フラッド』)を制作されてますよね。どちらもアンビエント寄りの作品でしたが、今回のニュー・アルバムではとりわけギター・サウンドがラウドなのは、その反動もあるのかな?と。

スチュワート「それはあるかもね。アンビエントものに関しては映画のサウンドで出し尽くしたから、今回はその反動でむしろロック色が強くなってるような気がする」

1 2 3 4 5 6次のページ
NeoL/ネオエルの記事一覧をみる
  • 誤字を発見した方はこちらからご連絡ください。
  • ガジェット通信編集部への情報提供はこちらから
  • 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。