「超人手不足」解消のためにできることは
「人手不足」は大手企業さえ抱えている共通課題
有効求人倍率が1.52倍となりました。この数字は、バブル期の最高値である1990年7月の1.46倍を超え、1974年2月以来43年5ケ月ぶりだというのですから、驚きます。確かに、どこの会社に行っても「人が足りない、人が採れない」と経営者、人事担当者は悲鳴を上げています。中小企業だけかと思いきや、大手企業でも営業職などは人が集まらないと嘆いているのですから、日本は今本当に人手不足なのでしょう。
特に、新卒をはじめとする若年労働者の確保に、企業は頭を痛めているようです。7月、私が非常勤をしている工業高校には、毎日複数の会社が求人票を持って来校していました。2、3年前までは、求人票を郵送で送ってくる会社がほとんどでしたが、今年は、採用担当者が直接、進路担当教員に生徒を紹介してくれるよう依頼に来ていたのです。
「働けるが働けない人」に今こそ注目しては?
一方で、進路未定で卒業する生徒がいることも事実です。何社採用試験を受けても受からない生徒もいますが。就職もしたくない、進学もしたくない、所謂フリーター、ニート予備軍が多くいる高校も存在します。
また、仕事ができる環境にあるにもかかわらず、あえて働こうとしない女性も多くいます。今の若い世代は夫婦共働きが当たり前ですが、私の世代の女性の多くは、結婚して出産すると一度は専業主婦になるのが当たり前でした。経済的に困っていなければ、今さら働きに出る必要はなく、趣味を楽しむなどしていたほうがいいからです。
他にも働けるのに仕事に就いていない人はたくさんいます。例えば、日本に住む外国人です。私は、今年度、厚生労働省の「定住外国人就労・定着支援事業」で、日本で仕事をする意志を持った外国人の就職支援に携わっています。日本人の配偶者と結婚して来日した女性はもちろんですが、日本人女性と結婚して来日した男性も多くいます。英語はもちろん数か国語に堪能で、知識レベルも高く人格も優れている外国人が、今日本国内に増えています。彼らの多くが、日本語力が足りないという理由だけで、本来の力を発揮できずにいます。
そして、高齢者です。先月、60歳以上のシニア従業員の研修を担当する機会がありました。体が元気なだけではなくて、頭も柔軟で高校生でも解けない人がいるような問題が簡単にできた人も多くいました。
今の「超人手不足」を解消するための方策としてすぐに挙げられるのは、「働くことに抵抗がある若い人の就労意欲の向上」「働いていない女性の仕事復帰」「外国人の多様な分野での活用」「心身ともに元気な高齢者の活用」です。そのためには、企業側も今までの就労環境を見直して、多様な人材を受け入れる体制を整える必要があるでしょう。
(小倉 越子/社会保険労務士)
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