「字が汚い」と悩む五十路男性がたどる”美文字”への道のりとは?
パソコンやスマホが普及し、デジタル化が進んだといえ、事あるごとに書かなければならない”手書き文字”。しかしいざ書いてみると、自らの文字の汚さに愕然とする……といった経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
本書『字が汚い!』の著者である、編集者&ライター・新保信長さんもそんな一人。ここぞという場面で手書きの手紙をしたためようと筆を執ったところ……。
「いや、自分の字が汚いのは先刻承知だし、もちろんそれなりに丁寧に書いているので読めないわけじゃない。が、何というか、筆跡そのものが子供っぽくて拙いのだ。とても五十路を迎えた分別ある大人の字には見えない(中略)この字はないわー」(本書より)
そこで新保さんは意を決し、書店に並ぶ”ペン字練習帳”を購入。そして、新保さん曰く”字の汚さには定評のあるコラムニスト”の石原壮一郎さんや、”デッサン力で字を書く画家”の山口晃さんをはじめ、特徴的な文字を書く著名人たちに取材を敢行。色々な字があることを知ったうえで、ペン字教室にも足を運ぶことに。自らの字がどう変化していったのかを分析するなど、字を巡っての新保さんの悪戦苦闘ぶり、発見の数々が本書では綴られていきます。
手書き文字を巡る発見—-著名人たちの字を眺めていくうち、新保さんは、”野球がうまい人は字も結構うまいのではないか”と感じたといいます。
一般的には、あまり字が上手いというイメージを持たれることは少ないプロ野球選手。しかし、本書によれば、新保さんがファンである「阪神タイガースの公式サイトではここ数年、新入団選手や注目の若手選手直筆による自己紹介を公開」しており、その字を見ていくと、若手選手15人のうち「『確実にオレよりひどい』と思ったのは3人だけで、あとの12人は正直、自分より大人っぽい」字だと感じたのだそう。
そこで新保さんは、野球選手たちの手書き文字をネットで色々と検索。すると、ロッテ選手の全体的なレベルの高さ、そして広島東洋カープの石井琢朗コーチの美文字に感嘆することに。さらに、まだ断言はできないものの、それぞれの選手の文字とプレースタイルとのあいだには、何かしらの関係性があるのではないかとの興味深い視点も提示しています。
様々な発見や試みを通して、新保さんの自ら”子供っぽくて拙い”と評する字は”大人っぽくいい感じの字”に変わることができたのか。気になるその変化ぶりは、本書に載せられた実際の新保さんの文字で是非ご確認を。
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