正しく発音できれば英語を聞き取ることができるようになるワケ
何年英語を勉強しても聞き取ることができない日本人は多い
いきなりですが、こんな経験はありませんか?
●英語の電話会議で、相手が何を言っているのか聴き取れず、冷や汗の連続
●突然外国人に話しかけられて、おそらく道を聞いているのだと大体はわかるが
確信出来ないので、「ソーリー」と後ずさりしてしまう
●外国人のスピーチで、後からスクリプト(原稿)を見ると全部わかるのに、実際には聞き取れない
●簡単な英文なのに、外国人に話しかけると何度も聞き返される
●英語のニュースを毎日聞いているのに、リスニング力が上達したようには思えない
これは全部、私が経験したことです。
そして、私のスクールの生徒さんの共通するお悩みでもありました。
この悩みを解決する方法に出会うまで、中学で初めて英語に触れてからそれこそ何十年も「聞き取れない」ことで失敗を重ねてきました。
そもそも「なぜ、何年も何年も英語を勉強してきたのに、簡単な英語すら聞き取れない」ということが起こるのでしょうか?
英語力があるのに聞き取れない原因は発音にあり
「英語が聞き取れない」ことの原因は大きく3つあります。
1.語彙の不足
2.文法の不慣れ
3.発音
1と2については、要するに英語力の不足です。
それは日本語で考えると理解しやすいと思うのですが、相手が使う言葉、表現を全く知らなければ「聞き取る」ことは出来ませんし、基本的な文法(主語の後には動詞がくる、など)に不慣れだと、意味をつかむことは難しいでしょう。
しかしながら、語彙はある、文法もわかる、話された言葉のスクリプト(文字に書き起こしたもの)を読むと全部理解できる、つまり「英語力には問題ないのに、聞き取れない」という方が数多くいらっしゃいます。
こういうケースでは、聞き取れない原因は3の発音にあります。
え?リスニング(耳)の問題なのに、どうして発音(口)が原因なの?
その理由は、日本語で使われる「音」と英語で使われる「音」ではあまりにもかけ離れているからなのです。
そして、私たちはその「英語の正しい音」を学んでこなかったので、その音を聞き取ることが出来ないのです。
英語を聞いているとすぐ疲れるのはなぜ?
自分が発音できない音は、基本的に聴き取ることは出来ないと言われています。
私たちの脳には知らない音を聞いた時に、知っている音に無意識に置き換えてしまう性質があります。
つまり多くの日本人は、英語を聞いた時に、知っている日本語の音(カタカナ)に置き換えて聞いているのです。
日本語の母音はたったの5つですが、英語は全部で20個も母音があります(学者により諸説あります)。
子音は全部で24個もあります。
でも正しい音を知らなければ、英語が聞こえてくると頭の中で知っている音に置き換えた「空耳アワー」が起こります。
それを知識や文脈から類推して「こう言ったんだろう」という置き換え作業を、猛スピードでしているのです。
これは複雑で集中力が要求されます。
だから「英語を聞いているとすぐ疲れる!」のです。
そんなに長い時間、集中力は続かないので、1つ2つわからない単語が出てきただけで、集中が途切れてあとはさっぱりわからない、なんてことが起きるのです。(以前の私がまさにそうでした。ちなみにテレビの「空耳アワー」は大好きです。)
「聞き取れるようになりたい!」と思ったら、普通はテキストの音声教材でまず聴く練習を始めますよね?
その時、「空耳アワー」が頭の中で渦を巻いて、知っているカタカナ発音に置き換えたまま聞き続けていれば、どうなるでしょう?
頭の中は修正作業の連続。疲れるはずです。
正しく発音できることで結果的に聞き取ることができるように
これを解決する方法はたった一つ。
「正しい音を知ること」です。
そして「正しい音を知る」とは自分で「正しい音を出せる=正しく発音できる」ことです。
こういう言葉があります。
「耳から聞こえてくる言葉を全て発音できるとは限らないが、発音できる言葉は全て聞き取ることが出来る。」
LとRをすべてラ行に置き換えて発音してきた人は「ROCK」も「LOCK」も「ロック」としか聞き取れませんが、LとRの正しい発音が出来るようになったあとは「ROCK」は「ROCK」としか聞こえなくなります。
THをすべてサ行やザ行で置き換えている人は、「SOME」も「THUMB」も「サム」としか聞こえませんが、口から正しく出せるようになれば「この二つは全然違って聞こえる!」ようになります。当然です。全く違う音なのですから。
音と音のつながりや音が消えたりするルールを知ることも重要
また、「正しい発音」と言っても、LやRの区別をつける、という音素の問題だけではありません。
英語は、隣り合った音と音がつながったり、消えたりして発音されます。
その発音上の「音声変化」のルールを知り、正しく発音することが出来るようになることが、聞き取る上で重要な要素です。
そもそも、ネイティヴは、私たち日本人が中学校で教わった通りになど発音していないのです。
例えば、you は話す文章の中では「ユウ」と発音されることの方が少ないのです。
andは「アンド」なんて発音されることの方が少ないのです。(あえてカタカナ表記にしてあります。)
例えば
What do you want?
この文章の中で、 do とyou は通常「弱形」という短く、弱く、あいまいな形で発音されます。
一方、What と want は長く、はっきりと発音されます。
ちょっと口に出して発音してみて下さい。
長く発音される単語、短く発音される単語、これが英語のリズムを作っています。
これは「弱化」という発音ルールを学べば、誰でも出来るようになりますし、このルールを練習してから、リスニングをすると、「あ、確かに、聞き取れる!」と実感します。
私が発音を勉強して一番驚いたのがこの部分ですし、スクールの生徒さんたちが口をそろえて「こんな風に発音するんだ?!知らなかった!」「聞き取れなかったのではなくて、そもそもこの音は発音されてなかったんだ!」「これじゃあ、聞き取れないのは当たり前だった」とおっしゃるのもこのパートです。
文章の中で、音は消えたり、つながったり、違う音に変化したりして発音されます。
この英語の音声変化が英語のリズムや抑揚にも大きく関わり、結果的に聞き取る上で重要な要素になるのです。
早すぎて聞き取れないなどのスピードの問題も発音で解決
最後に、「早すぎて聞き取れない」という問題。
これも、「発音」で解決できます。
え???それは無理でしょう?という声が聞こえてきそうですが、もう一度思い出して下さい。
「発音出来る言葉は全て聞き取れる」
ネイティヴのナチュラルスピードが早すぎる、と感じる人は、「自分の音読の速度が遅すぎる」のです。
「正しく早く」発音出来るようになれば、そのスピードの言葉は全て聞き取れます。
早く読むためには、発音上のルールを再現しなければなりません。
前述した「弱化」のルール以外にも、音が消えたり、つながったり、長短のリズムをつけたり。
しかし、これも前述した通り、練習で誰でも出来るようになります。
つまり誰でも早く読めるようになるのです。
早く読めるようになった生徒さんに、あらためて「音声教材」のお手本を聞いてもらうと、必ずこうおっしゃいます。
「あれ?ゆっくりに聞こえる。しかもはっきり聞こえる。全部わかる!!」
この練習を続けて、全ての文章で発音上のルールが定着すれば、早すぎて聞き取れないということから解放されるわけです。
発音できる言葉は全て聞き取ることが出来る!
聞き取れるようになるためには、正しく発音出来るようになることです。
決して「聞く」だけでは聞き取れるようになりません。
繰り返しになりますが、正しく発音出来るように練習さえすれば、誰でも聞き取れるようになります。
私はこの解決方法に出会って、実際に楽に聞き取れるようになりました。
この方法を聞き取れない、と悩むたくさんの方々にぜひ知っていただきたい。
楽に英語が聞き取れて、きちんと通じる世界に来ていただきたい。
そして、英語が聞き取れないせいであきらめていたことに挑戦し、実現してほしいなあと強く願い、日々生徒さんとトレーニングに向き合っています。
(阿久澤 淳子/英語発音トレーナー)
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