大人になった犬でも躾のためのトレーニングをすることは可能か?
年齢に関係なく犬をトレーニングすることは可能か
犬と暮らす上で大切なことは、彼らが人間社会で困らずに生活できるように、怖いものを減らして自信をつけさせ、人間社会のルールを教えてあげることです。
そのために必要なのは、飼い主である人間が、犬が私達に何を望んでいるかを知る努力をすることと、私達が望んでいることを犬にわかりやすく伝える努力をすること。
そしてそれによって犬とコミュニケーションをとれるようにする事です。
それを飼い主である人間が身につければ、犬の年齢は関係なくトレーニングをすることは可能です。
食べ物をトレーニングに使ってみる
私が行っている報酬ベースのトレーニングによく使うのは食べ物です。
食べたいという欲求は犬が元気でいる限りいくつになっても持ち続けるものですから、食欲があるかぎり老犬でも新しい事を教える事ができます。
私のお客様の中にも10歳以上のシニア犬もいますし、繫殖場からレスキューされ、歩くこともままならず、オスワリもフセもできなかった白内障の9歳のトイプードルも、フセを覚え、ハウスで待機することもできるようになりました。
犬の自発行動を待つ事が重要
報酬ベースのトレーニングは、基本的に犬の自発行動を待つ事を重要視し、ネガティブな感情にならないように配慮して進めるため、犬は積極的に学習するようになります。
また、生活上のルールを教えるのに、訓練のような高度なトレーニングは必要なく、簡単な事をシンプルに伝えるだけですから、飼い主さんがその原理をきちんと学んでいただければ誰にでもできます。
ただし、大人の犬の場合それまでの歴史があり、いままで身につけてきた習慣に対してルール変更をすることになれば、やはり子犬よりは時間がかかることもありますし、子犬よりもより丁寧に根気よく進めなければいけない場合もあります。
また、社会化不足などで怖いものが多い子の場合は、まず苦手なものや怖いものなどを克服するトレーニングから始めなければいけない場合もありますし、犬の自然な欲求を満たしてあげない生活(狭いサークル管理、お散歩なし、匂い取りさせない、など)をさせて、日常的に強いストレスを感じるようになっていると、学習の妨げになり、新しい事を教えにくくなります。(このことは年齢とは関係ありません)
保護犬で大人の犬を迎えた時は、その子が環境にどれだけ馴染んできたかを見計らい、怖がってまだあまり自発的に動くことが少ない時はしばらくなにもせず、新しい環境に馴染むのを待って、簡単な事からトレーニングを始めることが大切です。
トレーニングではできるだけ失敗させないように進める
そして子犬、大人の犬に限らず、すべてのトレーニングで大切なのは「できるだけ失敗をさせないように進めること」です。
成功を積み重ね、自信をつけさせ、粘り強さが出てきてから少しずつ難易度を上げ、試行錯誤させるのが、やる気を持続させ、犬が積極的に学習するようになるために大切なポイントです。
(洲崎 ゆかり/ドッグトレーナー)
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