大学の野球チームからドラフト指名された心臓病と闘う少年にドナー出現 SNSとクラウドファンディングで広がる「希望のこだま」
「政治家になって欲しい」「プロ野球選手になって欲しい」等々、親は子供に勝手な希望を抱くものです。往々にして子供は親の希望通りにはならなかったりします。「健康でいてくれればそれでよし」と言う親御さんも多いことでしょう。特にボストン郊外のストーという町に住むエリカとマイク・シュルツ夫妻にとっては。
エリカ&マイク夫妻には野球やバスケットボールが大好きな5才のアリ君という男の子がいます。アリ君は2012年2月16日に先天性心不全と共に生まれてきました。母親のエリカさんの子宮にいるときから大動脈狭窄と診断され、2回の子宮内心臓手術に成功した世界で最初の赤ちゃんでした。現在もアリ君はうっ血性心不全という、心臓のポンプ機能が不十分なため呼吸困難などを引き起こす心臓病と闘っています。小さな体には負担の大きい直視下心臓手術を、生まれてからこれまでに3回も乗り越えてきました。その都度、何回も入退院を繰り返してきました。去年の12月からはボストン小児病院に再入院しています。
今月、移植手術のため211日もの間待ち続けたドナーからの心臓提供があり、3日に移植手術が行われました。父親のマイクさんから「新しい心臓が見つかったよ」という報告を受けた時の様子が動画で公開されています。「見つけてくれたの?」「これで明日お家に帰れるの?」と喜び一杯の様子が話題となり、ニューヨーク・ポスト、地元TV局のWCVB、FOXニュース、ピープル、CBSボストンなどで取り上げられました。
Ari, 5 Years Old, Learns He’s Getting a New Heart(YouTube)
https://youtu.be/1FjqFt3j2Oo
ご両親のエリカさんとマイクさんもアリ君と共に闘っています。『Echo of Hope(希望のこだま)』という名称のウェブサイトや『Facebook』で、アリ君との歩みを公開しています。ご両親が公開した情報からアリ君の存在を知った人々の支援の輪も広がっています。2015年には難病と闘う子供の夢の実現を手伝う“メイク・ア・ウィッシュ”という日本にも支部があるNPO団体の協力を得て、アリ君の「屋外のバスケットボールコートが欲しい」というリクエストを叶えました。このプロジェクトにはアリ君が大ファンである地元のNBAチーム、ボストン・セルティックスも理解を示し、コートにセルティックスのチームロゴが入るという粋な計らいもされました。
2016年の9月には、心臓病の子供とその家族を支えるための募金活動を行うリンドバーグ財団と協力してチャリティーゴルフトーナメントを主催。11月には大学のスポーツチームと連携して生命を脅かす難病と闘う子供たちのサポートを行ってもらうという活動をしているTeam IMPACTというNPO団体の協力を得て、マサチューセッツ州ウースターのアサンプション大学の野球チームがアリ君をドラフト指名しました。今年に入ってからも、今月11日に地元の消防団と学校が連携し、アリ君を称える献血運動及び募金活動を行っています。
Dream come true for 4-year-old boy drafted by college baseball team(YouTube)
https://youtu.be/ibOs-eFzUeo
アメリカの医療費は日本とは比較にならない位高額なため、『gofundme』というクラウドファンディングで募金活動を行っています。目標金額は50万ドル(およそ5574万円)に設定されていて、記事執筆時点では27万ドルが集まっています。
移植手術後、アリ君の小さな体は新しい心臓に対する拒絶反応を見せています。病院でアリ君にずっと付き添っていて3か月以上留守にしていたシュルツ家の自宅は雨漏りが原因のかびだらけと状態になってしまい、取り壊すことになってしまいました。「Homeless But Not Hopeless」という英語の言い回しがあります。ホームレス(homeless)であってもホープレス(hopeless)でなければ道は開けるという意味です。アリ君をはじめ、エリカさん、マイクさん、そしてボストン小児病院の医師たちは希望を失ってはいません。希望が残されていれば生きる力になります。
『Echo of Hope(希望のこだま)』から発信された情報が文字通り反響して希望の輪がますます広がっていき、シュルツ家の希望が現実のものとなって欲しいと切に希望します。
※ソース引用:
https://echoofhope.org/
https://www.facebook.com/dangerschultz/
https://www.gofundme.com/AriDangersNewHeart
―― 見たことのないものを見に行こう 『ガジェット通信』
(執筆者: 6PAC) ※あなたもガジェット通信で文章を執筆してみませんか
- ガジェット通信編集部への情報提供はこちら
- 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。