なぜ中年女性は嵐が好きか
「なぜ中年女性は嵐が好きか」―― 何を隠そう私も立派な中年女性。学生時代にジャニーズにはまる気持ちが全く分からずここまで生きてきましたが、どうして今さら嵐にはまってしまったのか。分析してみたいと思います。
嵐のメンバーは大きく分けて、“ギャップ王子”と“まんま王子”に分かれます。 ギャップ王子は大野・櫻井、まんま王子は相葉・松本・二宮。中年女性は誰のことをも好きになる可能性があります。それは、その人の生きてきた人生に大きく影響されます。
ギャップ王子とは
大野、櫻井の山コンビはまさにこれです。普段は置物のようにぼーと座っていて、気の利いたこと一つ言えない大野ですが歌い踊りだすと別人のようなキレとさえを見せ、一方櫻井は気配り上手の知性派で売ってはいるものの、実は長男坊で私生活では気が利かない感じがありあり。
頼れるお兄ちゃんと言われて育ってきた男子特有の、実は頼れないへたれぶり、逆境にはめちゃ弱い実態が伝わってきます。いや、若い女子には見破れないかもしれませんが、中年女性にはよくわかります。よくいました。ああいう元彼。
まんま王子とは
相葉、松本、二宮はこのカテゴリです。つまり、癒し系相葉、俺様だけど甘えん坊松本、扱いにくそうだけど多分本人は単純な二宮。彼らは多分、このイメージのまんま。
若い女子はまあ、このイメージで好みが分かれるでしょうが、中年女性はこのイメージを“求める”のではなくイメージに“すがる”のです。この“まんま”な彼らのイメージによって、現在の人生に欠けている要素を埋めようとします。
それぞれの理由で誰担になるかが分かれていく
櫻井担当の中年女性
櫻井担当の中年女性は、ほとんどが既婚。子どもがいないか、またはいても女子。男子の母が櫻井担当になることは少ない。なぜなら、理想の息子的な彼の担当になることは、自分の息子をほぼ否定してしまうことになるから。そして、中年女性特有の櫻井担当の理由は、「男の人って結局弱いのよ、そうなのよ完璧じゃないの」と知っているから。よく、若い女の子の掲示板などで「ショウ君て完璧よね」と書かれていますが、「そうじゃないのよ、多分家に帰って泣き言言ってるわよ」と容易く想像できるのが我々中年女性。ちなみに独身の中年女性に櫻井担はほぼいません。
もし中年女性で独身で櫻井担当だとすれば、その女性は心の中は全く中年ではないと言えるでしょう。
むしろまだ現役バリバリの婚活まっしぐら、心は“お嬢さん”です。既婚の櫻井担も、比較的、いつまでも少女のような部分を持ち続けている人が多いです。
櫻井君が息子だったら、と中年女性は妄想します。ご近所の方に「よくできた息子さんねぇ」と褒められ、世間的には鼻高々で、その息子が時々「もうだめかも」と自分の作ったオムライスを食べながら弱音を吐く。「大丈夫よ、翔君はできる子よ」と励ます自分。最高です。家柄も学歴も完璧な櫻井君の、おそらく実生活では非常な努力家で気の小さいギャップを、中年女性は愛でるのです。
「ちゃんと布団で寝なさい」と何度も言っているのに、またしても今夜も妄想の中でソファで寝てしまった翔君に、我々中年女性は「寝顔は赤ちゃんの頃と変わらないわ」とつぶやき、毛布をかけてあげます。赤ちゃんの寝顔までさかのぼると同時に、何十年後かの翔君メインの報道番組を櫻井担は夢見ます。翔君を愛することは、輝かしい未来への期待もおまけでついてくるのです。
相葉担当の中年女性
相葉担当の中年女性。既婚と独身率では、独身率がやや高い。独身で、しかももう既に結婚への夢も幻想も持っていない女性が典型的相葉担です。不倫や、煮え切らない男との腐れ縁経験者率も高いです。相葉ちゃんの天然な笑顔やコメントに、ドロドロした男女関係のつらさや男のずるさを忘れようとします。
テレビでの相葉ちゃんの見当違いな発言や、何とも言えない軽さに癒されます。それでいて黙って立っていれば、嵐一番の“大人の男”の匂いがする彼に、生々しい感情を抱いたりします。
相葉担の中年女性は、過去に男性からの言葉で傷付いた率高し。だからこそ、相葉ちゃんの相手に合わせているようで、実は全然相手の話を聞いていないスタンスが好きなのです。
嵐のメンバーは、全体的に“普通度”の高い男の子で構成されています。かつての少年隊のヒガシや、元NEWSの山Pのように、一人だけ抜きんでた美貌とスター性を持つ子がいないのが特徴です。
逆に言えば、それが中年女性の心をとらえ、最初は○○だけ好きだったけど、結局五人でわちゃわちゃしてるのが一番いいのよねぇぇと言わせてしまうのです。
中でも相葉君は、スタイルはいいものの、それは相対評価(嵐は全体的に小柄)によるものであって、“近所のコンビニで立ち読みしてそうな男の子”率が最も高いです。その、隣のお兄さん的親しみやすさを、中年女性は喜びます。
相葉担当の中年女性は、かつての恋愛での、役職の高かった不倫相手やら、顔だけは圧倒的に良くて浮気の絶えなかった恋人の苦い記憶がトラウマとなっているので、あえて男性に対し、能力も美貌も求めていなかったりするのです。
中年女性がアイドルを愛するときに、若いお嬢さんと決定的に違うところは、自分の好みがそのままアイドルに反映するのではなくむしろ、自身の人生と重ね合わせたときに、逆タイプ、あるいは出会っていなかったタイプを愛する傾向があるところです。
私は普通でよかった。普通の幸せでよかったのに……とふと思うも、どうしても妙に偏った魅力のある男にひかれてしまうのだから仕方ありません。そんな自分を冷めた目で客観的に見つめられるのも相葉担当の特色になります。
松潤担当の中年女性
松潤担当の中年女性は、圧倒的には独身率高し。または。既婚でも子どもがいなかったりします。そして、キャリアを持つ女性率も高いのが特徴です。好むとも好まざるとも、なぜかキャリアアップしてしまっている中年女性に松潤ファンが多いのです。
そんな彼女たちが一様に松潤を愛するのは“支配されてみたいけれど支配されたことが結果的になかったから”というのが最初の理由です。男運があまり良くないのも特徴で、それば相葉担とも被りますが、相葉担との大きな違いは“じつはまだ男性に夢を持つことができる”という点です。
松潤は嵐の中で一番大きな変化を見せたメンバーです。まるで成長しきっていない、もっとも男の子が醜くアンバランスな時にデビュー。そして、その後じっくりと時間をかけて肉体と顔のアンバランスを修正し、現在、おそらくもっとも美しい状態に仕上がっていると思われます。
松潤担は、その変化を同時進行にせよ後からまとめてにせよ味わうことができるので、つい、「男は変わっていける!!」と再勘違いできるのです。実際は中年女性は自らの結婚生活、あるいは恋愛経験を振り返り、男というものは結局全く変われないのを痛感しているのですが。そのつらい事実を忘れられます
加えて、ドラマのイメージともあいまって、恋人になったら靴下を履かせてあげたほうがいいんじゃないかと思わせる、最近の男子には珍しい殿様オーラが彼からは出ています。それが実は末っ子特有のみんな俺の世話をしてくれオーラだとしても、ファンは松潤の身勝手な感じに引きずり倒されたくなるのです。
で、松潤担の中年女性は、会社に行けばそこそこのポスト、あるいは責任ある仕事を持ってる率がとても高いので、実生活で夫や恋人に靴下履かせるどころか夕食の皿を洗わないだけで殺意わいたりしてるのですが、幻想の世界では思う存分“ズンたん”に振り回され、威張られ、甘えさせるのです。
ズン担は実生活では男に支配されず、あるいはさせず、妄想の中ではズン君に好き放題させてそれを甘美に感じます。それはつまり、ズン担の特色として、矛盾する二つの何かを常に抱えることを意味します。
過去の人生において、何かを選ばなかった、または選べなかった経験のある中年女性が松潤担であることが非常に多いのです。家庭に入れたのにそうしなかった、浮気を許してやればよかったのに許せなかった、仕事を優先して男を二の次にした、すべてそうでないほうの道も選べたのにという。
過去へのほんの少しの悔恨を、洗い流す存在として松潤の確信犯的なあのアイドルスマイル、俺のこと好きだろうウィンクがあるのです。そう。ただ、それの魅力に従っていけばいいという松潤王子。
ちなみに中年女性にまだなっていない若い女性(うちの二歳児も含め)が松潤を選ぶ理由は、「彼のわがままなら許せるだろう」という錯覚を、潤君はくれるのです。そして、実際につきあったら案外わがまま言わないどころか、受け止めてくれるかもという期待値も彼は乙女に抱かせてくれます。こないだの『FNS』でのOKサインなど、いちばん頼もしい!!! いちばん音、外してそうだけど!! とオタを励ましました。
ニノ担当の中年女性
実は中年女性にニノ担はほとんどいません。皆無と言い切りたいくらいです。「大宮SKは萌えよね」とか「にのあいコンビの幼なじみ的感じは和むわ」という人はおいても、ニノがいちばん、ニノ担よ!! という人は見つけづらい。
どうしてニノ担がいないのでしょう。そこには深い理由があります。そもそも中年女性は家庭があったりパートナーがいたり、シングル子育て真っ最中だったりして、若い女子のように本能の赴くまま恋愛のごとくリアルとアイドルを同居させることが非常に困難な日々を送っています。
そんな中で嵐の誰かを愛することは、家事の合間にこっそり食べるいただきもののゴディバ、仕事の合間の給湯室タイムのような、短い時間を縫っての密の濃い深呼吸なのです。そのわりには愛しすぎて呼吸困難になったりしますが。
二宮君はキャラクターとしてとても難しいポジションにあると言えます。息子にするにはもうちょっとたくましくて、ゲームばかりではなくスポーツしてそうな感じがいいし、恋人だと思うにはナイーブなイメージでおまけに小柄がたたって、セクシーな妄想に至りません。未熟な少年のよう。
身長だけなら大野君より若干高いはずの二宮君ですが、手足の短さが彼を実際より貧弱……いえ、小柄に見せてしまうのです。で、手足の短い男は夫だけで十分な中年女性には、担当となって愛するにはちょっと、となってしまうのです。若いお嬢さんですとここで、それが彼の清潔感のような気がするのですが。
おまけに歌を作ったり、演技がうまかったり、実はトークもさりげなく全体のバランスを把握して調整したりしてなかなかの器用さんなので、それがまた中年女性を遠ざける結果となっています。「私がいなくてもあの子は大丈夫だわ」と、こうなってしまうわけです。そう。ここ、ポイントです。“私がいなくても”。
「なぜ中年女性は嵐が好きか」のいくつかのポイントで、やはり個人差はありますが年を重ねて真実の母性本能の存在に否が応でも気づかされている中年女性にとって、嵐を愛するということは、自分の母性の在り方に気づかされるということでもあるのです。
まだ、自分の内側にある“母性”というものの存在に直面したことのない若いお嬢さんにとっては、二宮君は“くすぐるタイプ”とされるのです。でも、本当に弱い子どもやら弱い夫やらの世話をなんとか母性本能を総動員して乗り越えてきた中年女性には、ニノは“手のかからない子”と判断されます。
ただ、今度、中年女性がさらに老年女性になり、自分が男だったのか女だったのかもうそんなのどっちも同じよねくらいのところまで行くと、「あの子はクレバーだわ」とニノ担になることもまま、あります。ニノ担、老女多し説です。ここはまた違うカテゴリなので次回。
中年女性にニノ担はほとんどいないと書きましたが、唯一例外があります。というか、期間限定的ニノ担なるものが、中年女性にもあるのです。
家庭も安定し、仕事もまあまあ、人生がまるでメリーゴーランドのように同じところをくるくるまわり続けるかのようになってしまった中年女性にも、ふと立ち止まることがあります。あるいは、人生を変えたい、変えなければいけないと突然思い立つことも。そんな時、嵐好きな中年女性は、瞬間的にニノ担になることがあります。迷っている自分、立ち止まっている自分に、心の中のニノが優しく話を聞き、そしてあの潤んだ瞳でじっと見つめ、時には力強く「それがあなたなんだよ」「それでいいんだ大丈夫」と語りかけてくれるのです。
中年女性の悩み、戸惑いは、
松潤→聞かせたくない。できれば夢の中で18歳くらいの自分で松潤と語りたい。
相葉→話しても聞いていない。いや、相づちは打つけど実はちゃんと聞けてない。
櫻井→優等生的答えが返ってきそうだし、親身になりすぎそうで申し訳ない。
大野→相談事は論外。
そんな中、突然、ニノが浮上してくるのです。嵐好きの中年女性は嵐に元気と活力をもらって日々を過ごしているので、何かと心の片隅で彼らがわちゃわちゃしているのですが、悩んでいるときこそニノです。二宮君との妄想トークで、突然、励まされたり答えが見つかったり。
今までとばして聞いていたニノのソロを改めて聞き返してみると、妙に心にしみてしまったりします。若いニノ担が涙を流す歌詞も、歌詞が若いわ……底が浅いわ……などと密かな感想を抱いていたにもかかわらずです。悩む中年女性、期間限定ニノ担現象です。ちなみに悩み解決とともにまたもとの担当に戻ります
大野担当の中年女性
いちばんの難題をラスボスに持ってきてしまいました。今回の分析にあたって、周囲の中年女性にアンケートしてみたのですが……その結果もおそるべきものに……!!
怪物君効果もあってか、今やリーダー大野は嵐1の人気者になってしまったようです。しかもその人気は老若男女、理由も多岐にわたっています。怪物大野が好きな子どもたち、ジャニーズは好きじゃないけど、なんか最近よく見る大野君ていいわよねのライトオタ。嵐に興味のない中年女性も、強いて選ぶなら大野君、状態になっている2011-2012。これがかつて嵐結成時に「大野智ってだれ? ざわざわ」と言われ、コンサートに自分のうちわを見つけるまで、自分のファンはいないとかたくなに思っていた大ちゃんなのです。
なので、今までのように、厳密なファンのタイプを絞り込んで解析することが非常に困難になっています。加えて、筆者が大野担なので、今回だけは「中年女性はどうして大野君が好きか」でお許しいただきたいと思います。
大ちゃんは、最初のほうでも書きましたがとにかく“ギャップ王子”です。ぼーとしているかと思えば歌とダンスでスイッチが入ると別人のようなキレと色気。不器用そうで、実はさまざまな役を演じ分ける演技者。優しそうでいて、なんだかちょっと頑固一徹なところもあるかと思えば、でもやっぱり泣き虫だったり。
童顔だけどなぜかおじいちゃんぽいから、エッチなことなど考えてないのかと思いきや、結構へヴィなスキャンダルが発覚しちゃったりします。なら「女好きなの!?」とドキドキしているのに、にのや潤君ともセクシーな絡みを見せ、「え。男の子もいけちゃうの? 魚だけじゃないの好きなのは?」とまたドキドキ。
ギャップどころか裏が表で表がまた裏になるということがたくさんあります。ダンスも、センターで踊るとどっから出してんだそのフェロモン、なんだその軸のぶれなさは!? とオタを泣かせますが、脇に回ったときのできるだけ景色になじもうとする手抜き加減はもう誰の目もごまかせません。
というわけで、大野智は万華鏡です。そう。くるくると光を受け、回転しながらさまざまな美しい模様を作り出す、あの万華鏡なのです。周りの筒の部分が千代紙などではなく地味な手すき和紙かなんかでできているので中々手にとってはもらえない。でも一度のぞいてしまったら、もう逃げられません。
大ちゃんにどっぷりはまってしまった中年女性に共通していることが一つだけあります。それは「恋したいのよ!!! させろバカ!!!」と常々思っているのです。この「バカ」という罵りは、さえない彼、くたびれた同僚、自分を「ママ」と呼ぶかつての輝いていた恋人に対してのものです。
大野智は、中年女性に恋をさせてくれるのです。それはほかのメンバーも皆、そうです。けれど大野君への恋情はあまりにも新鮮なのです。というのは、彼はかつて恋した誰にも似ていないからです。あまりにくるくると色々な面を見せてくれる万華鏡に、ついていくだけがやっとの恋。
他のメンバーに似た男たちを中年女性は知っています。あるいは、思い描いたことがあります。だからファンになりました。でも、大野君だけはどのカテゴリにも入らない。高校時代に似た子がいたかもしれません。授業中いつも寝ていて、ぼーとしてるけどふと見せる横顔は端正で、文化祭でいきなりマイク持って歌いだしたらその歌声がすごくて、しばらく一か月くらいはもう後輩までがキャーキャー言って教室まで見に来たけど本人があまりに地味で、寝てばかりいるので人気は一過性に終わってしまった彼。
その彼にちょっと興味はあったけど話もろくにしたことないまま卒業してしまった。優しくて面白いバスケ部の相葉君とか、生徒会長の櫻井君とか、ちょっとワルで顔の派手な松本君とか、暗めだけど顔はいいよねと評判の二宮君とか。彼らを好きになるのに忙しかった。でも中年になった今は、心ゆくまで大野君に恋できるのです。中年になったから。好きになってもらおうとか、付き合いたいとか、あわよくばセクシャルなこともうんぬんとか思うから恋は楽しくてつらいものだったけれど、ただ相手を見て、愛おしんで、そしてもっともっと知りたいとだけ思える恋こそが中年女性のだいご味なのです。
いつも自然体でいるようでいて、心の奥底までは決して見せてくれてないような大ちゃん。意外なことができて、意外なことができない大ちゃん。可愛いのにセクシーで、おっさんなのに赤ちゃんみたいで……とまあ、次から次へと新しいものを打ち出してくる彼を、中年女性はわくわくと楽しむのです。
なぜ中年女性は嵐が好きか
「なぜ中年女性は嵐が好きか」――あまりに漠然としたタイトルで始めたつぶやきですが、ラスボスでシメです。我々中年女性はやっぱり、“恋”が必要なのです。“愛”なら知っています。結婚もしました、長く付き合った男もいました、子どもも産みました。温かくて時々イライラするけど永遠に続きそうなこの感情。
でも“恋”は?? ドキドキしたり、もっともっと知りたいと思ったり、ちょっぴりがっかりしたり、でもまた強く強く好きだと思ったり。ただ会いたいと願ったり。私たちを何年か前まで楽しませたり悲しませていたあの感情。不安定で、いい加減で、でもとてもぴりぴりと“微炭酸(by相葉)”なあの気持ち。
我々中年女性は、やっぱり心のどこかで永遠の少女です。109で買い物してると店員に敬語使われるようになったり、かつての恋人から「ママ、パンツないよ?」と風呂から叫ばれたり、通勤電車の窓に映る自分のありえない法令線の深さにがく然とするけれど……。
過去への悔恨、未知への期待、ここではないどこかへの憧れ、彼ではない誰かへのひそやかな願望。これらすべて、我々中年女性の嵐への愛情の理由です。
大野担はその中でも最も恋したい女性の多いグループといえるでしょう。それは裏を返せば、かつて若かりしころ、たくさんの、あるいはとても質の良い恋愛をこなしたということが言えます。恋の記憶が強くあるからこそ、大野担は大野君を求めるのです。
大野君は、実はどのアイドルよりもしたたかで、そして手におえない男の子なのです。お金にも肉体にも料理にもなびいてくれる気配がしません。いろいろ差し出しても、もぞもぞ何か言いながら、ダウンベスト羽織って釣りに出かけてしまいそう。
今までの実人生で行ってきた恋愛の手管が、大野君には全く通用しません。もし彼がリアルで恋人だったら本当に困惑するかも。べったりでいてくれるかと思ってたら全然メールもくれず、「絵、描いてた」とか無精ひげでふらっとやってきて、そのくせ大変巧みなキスなどしてくるかもしれないのです。
イドルだからこそ、大野担は心から彼を愛せます。意外性全てを楽しめます。つかみどころのない大ちゃん。実際に恋人だったら激しい愛を誓ってもあの優しい笑顔でやんわりと逃げられそうだし、かと思えば釣りに一緒に行ってあげただけで「すげーうれしー」ととびきりの笑顔で抱きしめてくれそうです。
……あ。私の妄想が止まらなくなってきました。大野君の魅力のひとつに、あらゆる妄想にすんなり対応できる柔らかなキャラクターというのもあります。王子様もできるし、貧乏人もできます。今日はここまで。
(編注:まとめるにあたって改行位置など文意に影響ない範囲での編集をおこなわせていただきました)
『Togetter』でのまとめ http://togetter.com/li/243285
大野好魅さんの『Twitter』アカウント
https://twitter.com/#!/satosisara
- ガジェット通信編集部への情報提供はこちら
- 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。