英語学習を「挫折」せずに続けるコツとは?

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『頑張らない英語』シリーズ(あさ出版)『英語を「続ける」技術』(かんき出版)など数々の英語学習に関する著書を出されている西澤ロイさん。英語の“お医者さん”として、英語学習の改善指導なども行っている西澤さんに「正しい英語学習の方法」についてお話しいただくこのコーナー。第2回目の今回は「英語学習を挫折せずに続けるコツ」についてです。f:id:k_kushida:20170213202714j:plain

英語で挫折してしまう原因は、才能や努力とは関係ありません。誰でも英語学習を自然と続けられるようになる正しいコツをお伝えします。

アクセルを踏む前にブレーキを緩めよう

今年の目標に「英語」を掲げた…という方もいらっしゃるでしょう。しかし「やる気はあっても、実際にはなかなか続かない」というケースが多いのが英語学習です。NHKの英語講座のテキストは4月が一番売れるというのも有名な話。一体なぜ英語学習はなかなか続かないのでしょうか?

その大きな原因の1つが「“ブレーキ”を強く踏んでいる」からです。車はアクセルとブレーキを同時に踏むと、スムーズに前進することはできないでしょう。それに当てはめ、英語学習におけるアクセルとブレーキをちょっと考えてみましょう。

まず、アクセルに当たるのは、英語を学ぼうという「やる気」。話せるようになりたいという「憧れ」や「希望」。他にも、仕事などでの英語の「必要性」も当てはまります。

また、例えば「教材などを購入」することや、「英会話スクールに通う」といったことはアクセルを強く踏む行為だと言えます。

反対に、ブレーキに当たる代表的なものは、英語への「苦手意識」です。どう勉強してよいか「よく分からない」という気持ちも苦手の一種ですね。また特に「英語嫌い」は大きなブレーキになります。

さて、ちょっとご自分のことを振り返って考えてみましょう。あなたが「英語ができるようになりたい」という気持ち(アクセル)と、「英語は苦手/イヤだ」と思う気持ち(ブレーキ)を比較してみてください。

極端に聞こえるかもしれませんが、アクセルの方が大幅に強くない限り、うまく行かない可能性が高いです。特に、後者の気持ちの方が強いと、英語をやろうとさえ思えないかもしれません。

私が知っている上級の英語の使い手たちは、以下のどちらか、もしくは両方に当てはまります。

・英語が絶対にできないといけない理由があった(アクセルが圧倒的に強い)

・英語が好きでたまらなかった(ブレーキがほとんどない)

しかし、そういう切羽詰まった理由があったり、英語が大好きだったりする人は、おそらく一握りでしょう。そこに当てはまらない大部分の人に私がオススメするのは、まずブレーキをなくすことなのです。

1日5分の勉強ではダメ

英語を続けるためには「1日5分」などとよく言われますが、私はあまり賛成できません。なぜなら、ちょっと変な例えかもしれませんが、「苦手/嫌いな人と毎日5分間、顔を合わせないといけない」と考えてみてください。それを習慣にしたいと思えますでしょうか?

また、仮にそれが続いたとしても、英語学習は歯磨きや顔洗いとは違います。1日5分を仮に1年やったとしても、わずか30時間程度…。それで英語が身につくはずはありませんよね。

じゃあ、1日30分なら良いのか? それとも1時間? そんな風に考えてしまいがちですが、上級者や英語の達人と言われるような人たちが必ず押さえているポイントが1つあります。

英語の達人が必ず押さえているポイント

それは、彼らは英語を「勉強する」のではなく「生活の一部に」しているということです。違う表現をするならば「英語のON/OFFを切り替えない」とも言えるでしょう。

思考実験として、ちょっと考えてみてください。まず、1日に「英語の勉強」はどのくらいだったらできそうですか?

15分~1時間くらい、という人が多いのではないでしょうか。2~3時間の勉強時間を作るとなると、かなり難しいはずです。休みの日など、たまにしかできない、と思われるかもしれません。

ではもう1つ質問です。英語の勉強が終わった後、何をしたいですか?

「休みたい」「テレビを見たい」「出掛けたい」……など、様々な意見が出ると思います。しかしここで「英語の勉強がしたい」と言う人はおそらくいないでしょう。そう、これが「ON/OFFが切り替わってしまっている」ということなのです。

勉強というものに、多くの人は「苦しい」というイメージを持っています。わざわざやりたくないものであり、「勉強」だと思うこと自体がブレーキになってしまうのです。「勉強をしよう」と思ってしまうと、長時間はできない上に、勉強をしないOFFの時間の方が圧倒的に長くなってしまいますから。

言語は「勉強」していては身につきません。うまく「生活の一部」に取り入れることが大切なのです。

続くための3つのアドバイス

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今までお伝えしたことを踏まえ、英語学習がムリなく続き、そして上達できるためのアドバイスをお伝えします。

1.いきなり走り出さない

英語学習を「走ること」に例えるならば、「短距離走」よりも「マラソン」に近いでしょう。いきなり走りだすと、確実に息切れしてしまいます。

教材を購入したり、スクールなどに通ったりするのも結構なことですが、やる気がみなぎっている最初に「張り切り過ぎない」ことが大切です。

なお、英語学習が長旅なのは間違いないですが、「走る」必要も実はないのかもしれません。ぜひまずは、1ヶ月間、2ヶ月間、3ヶ月間…と「ずっと続ける」ことを目指してください。そして、英語学習が続いている自分をしっかりと認めてあげてください。

自分の努力を認めるのは非常に大切なことです。どれだけ努力をしているかが見えるように、英語学習の日誌をつけるのもオススメですよ。

2.いきなり上達を求めない

私たちは、つい「効率的な上達」や「効果的な学習法」を求めてしまいがちです。もちろん、それも重要なことですが、最初は「上達を求めない」ことをオススメします。

私たちは知識を増やし、できることを増やそうとします。「できない」のだから、「できる」ようになることが上達だと思っているからです。

しかし、中国武術には「上達」だけでなく「下達(げたつ)」という言葉があるそうです。たくさん知識などを増やしても、その本質を理解できないならば、それは下達なのです。たくさん勉強をすれば「やった」という気持ちにはなれるでしょう。しかし、上達はまた別の話なのです。

上達しなければダメだと考えると、ハードルが高くなります。そうすると、自分で挫折の可能性を高くしてしまうことになるのです。ですからぜひもっと気楽に考えてください。「英語をどうやったら生活の一部として取り入れられるか?」「英語をどうやったらもっと楽しめるか?」まずはそこをぜひ考え、工夫してみてください。

3.形から入らない

英語を楽しむために大切なのは、形から入らないということです。英語を身につけたいと思った時、多くの人が形から入ってしまいがちです。英会話スクールに通う。教材を買って勉強する。文法書などの本を買ってきて、1冊やろうとする…。これらは全て「形から入る」やり方です。

まずは、形なんてどうでもいいですから、英語に触れてみましょう。あなたが好きなものと、英語とをつなげられないかを本気で考えてください。

例えば、スポーツが好きなら、テレビで英語音声に切り替えて見てみる。海外の好きな選手のツイッターやブログを読んでみる。料理が好きなら、英語でレシピを読んでみる。BGMとして英語音声をずっと流しておく。何だっていいんです。「好き」という気持ちを借りてきて、英語学習へのアクセルとして使ってください。

そして、英語に触れることを徹底的に楽しんでください。別に意味が分からなくたっていいんです。楽しいという気持ちを最優先することが続くためには大切です。

そのうち「知りたい!」と思ったら、そこで初めて、辞書を引いたり、文法書を開いたりしてください。あくまでも好奇心が大切です。義務的な気持ちでやっては絶対にダメですよ。

まとめ

英語は続けることは、決して容易なことではないとお考えください(様々な思い込みや、苦手意識などのせいなのですが…)。挫折してしまう人は、自分でハードルを上げてしまっています。そして「楽しくない」から、「上達しない」から、挫折してしまうのです。

上達しなければ……という気持ちはぜひ手離してください。そして楽しむことを最優先して、英語を生活の一部にできるよう、工夫してみてください。

「好き」「楽しい」という気持ちを持ち続け、「好奇心」を大事にすれば、勝手に上達します。それが「好きこそモノの上手なれ」ということなのです。

西澤ロイ(にしざわ・ろい)

イングリッシュ・ドクター

英語の“お医者さん”として、英語に対する誤った思い込みや英語嫌いを治療し、心理面のケアや、学習体質の改善指導を行なっている。

TOEIC満点(990点)、英検4級。

獨協大学英語学科で学んだ言語学に、脳科学や心理学も取り入れ、英語流の「発想」や「考え方」を研究、実践することで、大人だからこそ上達する独自のメソッドを確立する。

暗記の要らない英会話教材「Just In Case」、正しいリスニング方法が身につくトレーニング教材「リアル・リスニング」も好評を博している。ベストセラーとなっている『頑張らない英語』シリーズ(あさ出版)や『英語を「続ける」技術』(かんき出版)他、著書多数。

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