文科省SPEEDI拡散予測の住民への公表遅れ 藤村長官「事実関係違うところがある」
藤村修官房長官は2012年1月17日午前の記者会見で、東京電力福島第1原発事故直後に文部科学省が、緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)で得られた放射性物質の拡散予測結果を米軍より9日遅れで住民に公表していたことについて、「(文科省の中間報告で)様々指摘されている部分について、その内容を検証しつつある」と述べ、「調査報告書の最終結果を待って様々な対応策や改善策が出てこないといけない」と語った。
文科省は事故直後の2011年3月14日、外務省を通じて米軍にSPEEDIの拡散予測を提供。一方、国内において試算結果を公表したのは9日後のことだった。放射性物質が流れる方向に向かって避難をした福島県浪江町や南相馬市などの住民は少なくなく、政府の公表の遅れは住民の無用な被ばくを招いた。この点について問われると長官は、「事実関係もまだそれぞれに違うところもあると聞いている」と述べるにとどめ、文科省の最終報告を待つ姿勢を示した。
■藤村修官房長官とニコニコ動画記者(七尾功)との一問一答
七尾記者: 文科省が福島第1原発事故直後、外務省を通じてSPEEDIによる試算結果を米軍に提供していたことを明らかにしました。住民にその情報が伝えられたのはその9日後のことで、その分住民は無用な被ばくを受けていたことになるわけですが、この点につきましてご見解をお願いいたします。
藤村官房長官: いわゆる中間報告が検証の委員会でも出てきました。原子力災害対策本部および保安院はSPEEDI情報を公表するという発想を持ち合わせていなかったなどの指摘もありました。さらに調査の中では米軍からの要請があって、そこには提供したという多分報告の内容もあったかと思います。これらはまだ中間報告ではございますが様々指摘されている部分について、関係各府省は十分に今、中間報告としての受けとめをし、その内容を検証しつつあると。最終的には調査報告書の結果を待って様々な対応策や改善策が出てこないといけないと、このように考えております。
七尾記者: 住民にとってみればこうした政府の対応の遅れで、無用な被ばくをしたことに納得いかないと思うのですが。
藤村官房長官: しっかり検証していくべき案件で事実関係もまだそれぞれに違うところもあるというふうには聞いておりますのでしっかり検証し、改善策今後の策をそれぞれの府省で考えねばならないと思います。
◇関連サイト
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http://live.nicovideo.jp/watch/lv78021781?po=news&ref=news#24:01
(七尾功)
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