WRCブーム再来なるか? 黄金期を支えたラリーカーのベース車たちはこれだ!

▲いきなりの表彰台をゲットしたヤリスWRC。ラリーブーム再来なるか?

▲いきなりの表彰台をゲットしたヤリスWRC。ラリーブーム再来なるか?

速くて、使い勝手が良くて、意外とお手頃価格!

2017年から再びトヨタがWRC(世界ラリー選手権)に復活することもあって、にわかに盛り上がりを見せつつあるラリー業界。開幕戦のモンテカルロラリーではヤリスWRCがデビュー戦で2位になるなど、今後の活躍に期待が持てる結果を残しているのも嬉しいところです。

そこで今回はラリーカーのベースとなった日本車をピックアップしてご紹介。特に市販車に近い状態のグループA規定で開催され、日本車が大活躍していた1987年から2001年にスポットライトを当てたいと思います。スペック的には最新のスポーツモデルに匹敵する力を持ちながらも、かなり買いやすい価格となりつつあるこれらのモデル。意外と日常の使い勝手も悪くないので、普段使いの車としてもオススメできますよ!

トヨタ セリカGT-FOUR(6代目)

カストロールカラーと大きなリアウイングに憧れた人も多かった

▲WRCに参戦した最後のセリカ。この後はカローラにバトンタッチした

▲WRCに参戦した最後のセリカ。この後はカローラにバトンタッチした

セリカのWRC参戦の歴史は初代から続いており、四輪駆動のGT-FOURでの参戦となった4代目ではカルロス・サインツの手によって日本車として初めてドライバーズタイトルを獲得し、5代目ではドライバーズタイトルとマニュファクチャラーズタイトルをダブル受賞するなど、まさに大活躍を見せていました。続く6代目は新たに採用したスーパーストラットサスペンションのセッティングに苦戦した他、車両規定違反も発覚し、残念ながら短命に終わっています。

しかし、市販車となれば話は別。255馬力まで高められた2リッターターボエンジンにフルタイム4WDは間違いなく走破性バツグンで、この時期であればゲレンデエクスプレスとしても大活躍間違いなし! しかも100万円以下で乗り出せる車が中心とあっては、ついうっかり購入してしまってもいいレベルではないでしょうか?

三菱 ランサーエボリューション6(6代目)

まさに「エボリューション(進化)」し続けたラリーベース車

▲写真のようなラリーカーを彷彿とさせる派手なデカールも設定されていた

▲写真のようなラリーカーを彷彿とさせる派手なデカールも設定されていた

90年代のWRCにおいて日本車の黄金期を支えたのが三菱 ランサーエボリューションではないでしょうか。1996年から1999年まで4年連続でドライバーズタイトルを獲得し、一時代を築いたと言っても過言ではありません。またそのときのドライバー、トミ・マキネンは現在「TOYOTA GAZOO Racing」のチーム代表となっており、日本との関わりの深い人物となっています。

そんなランサーエボリューションの中でオススメしたいのは、第2世代最後のモデルとなったランサーエボリューション6です。カタログスペックでは先代のエボ5と変わらないものの、空力パーツを大幅に変更し、エンジン内部の小変更により信頼性を向上しています。また、通称「エボ6.5」とも呼ばれるトミ・マキネンエディションという特別仕様車を設定。名前だけではなく、細部に変更が施され第2世代究極のモデルともいわれています。

スバル インプレッサSTI(初代)

ランエボとのライバル関係でともに切磋琢磨してきたインプレッサ

▲ラリーカーがまとったブルーはスバルのイメージカラーになっている

▲ラリーカーがまとったブルーはスバルのイメージカラーになっている

ランサーエボリューションとともに日本車の黄金期を担ったもう1台がスバル インプレッサです。ドライバーズタイトルを獲得した三菱に対し、スバルは1995年から1997年まで3年連続マニュファクチャラーズタイトルを獲得しています。なお、1997年からはそれまでの4ドアから2ドアへとベース車をチェンジ。2001年に新型に代わるまでの8年間にわたり進化を続けながらWRCを戦い抜いたのでした。

国産車としては長いモデルサイクルを誇った初代インプレッサですが、中古車として狙いたいのは運転席エアバッグが標準になるなど、安全装備が追加となっている1997年9月に登場したアプライドモデル「E」以降のモデル。普段の使用も考えると安全装備はあった方がいいでしょう。なお、エンジンは1996年9月の時点で当時の自主規制値の280馬力を達成しています。

▲海外からも熱い視線を集める22B。一説には3000万円オーバーで取引されることもあるとか

▲海外からも熱い視線を集める22B。一説には3000万円オーバーで取引されることもあるとか

余談ですが、初代インプレッサには、当時のWRカーの雰囲気をそのまま再現した限定車「22B-STI Version」が存在します。これは1998年に400台限定で販売されたもので、500万円という価格ながら即完売し、現在では1000万円を軽く超える超高値で取引されています。

日産 パルサーGTI-R

夢や希望を詰め込みすぎた悲運の名車

▲いまだに根強いファンが多いパルサーGTI-R

▲いまだに根強いファンが多いパルサーGTI-R

古くはフェアレディZやブルーバードなどでラリーを戦い、好成績を収めてきた日産自動車。その日産が90年代のWRCに参戦するべく開発したのが、パルサーGTI-Rでした。4代目パルサーの3ドアハッチバックモデルをベースに2リッターターボエンジンとフルタイム4WDシステムを組み込んでおり、小型軽量ボディへの組み合わせは活躍を期待させるものでした。しかし、狭いエンジンルームは冷却が厳しく、コンパクトなボディは大径タイヤが履けないなどネガな部分が露呈。残念ながら活躍することはできませんでした。

そんなパルサーGTI-Rですが、車検さえ適合していれば改造範囲は関係ないストリートでは多くの支持を集めます。エンジンもパーツの豊富なSR20型ということで、ハードなチューニングがなされた車両もたくさん存在していました。……しかし、気づけばデビューから27年。程度の良い車両は姿を消し、絶滅寸前に。必然的に相場も急上昇しているので、良い個体を押さえるならラストチャンスかもしれません。

ということで、日本車がWRCで大活躍していたころのラリーベース車をご紹介しましたが、いかがだったでしょうか。一般的なスポーツカーに比べて、大きなリアハッチを持っていたり、4枚ドアがあったり、後部座席にもしっかり人が乗れたりと、意外と普通に使えちゃう車が多いので、家族の目を欺くのにも適しているかもしれません!

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photo/トヨタ自動車、三菱自動車、富士重工業、日産自動車、小鮒康一

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