黒沢さんの悩み@ホンマでっかTV
今回ははなこばさんのブログ『笑いまみれ・はなこば日記』からご寄稿いただきました。
黒沢さんの悩み@ホンマでっかTV
11月23日放送のホンマでっかTVに森三中の黒沢かずこさんがご出演されていました。
芸能人人生相談のコーナーでした。
このコーナーは、主にゲストが悩みを相談し、さまざまなジャンルの有識者である“先生”方が答えるという主旨のものです。
“主旨”と書きましたが、このコーナー、表向きは悩み相談ですが、その実は番宣や映画宣伝の為に大物女優さんや俳優さん大御所芸能人がいらっしゃるときに設けられるもので、悩みの内容はだいたい他愛なく、解決策がそれほど明快でも重要でもない。
似たような症状があるひとにはいいんでしょうけど、知恵袋的なコーナーかなと認識しておりました。
要するに 軽い コーナーだ。
さんまさんと、ゲスト、レギュラー陣の茶々、先生方の個性がぐちゃぐちゃと楽しいコーナーだ、と。
黒沢さんももちろん映画の宣伝にいらしていたのですが、悩みの内容は、
重い。
重すぎる。
はじめてこのコーナーが“人生相談”だったと思い出したくらい。
悩み。
というのは。
「マイナスの事しか考えられない」
たとえば家の中でも寝る時も常にマスクを着用。
ほこりやダニがいると思うと気になって寝不足。
ひとつのことが気になって、心がそればっかりになってしまう。
親が死んだとき喪主はだれがやるのだろう。
旅行に行ってひとりで行動したときにお金がなくなったらどうしよう。
そうじをはじめたら、別の事が気になって手に付かず、ずっと掃除ができなく、ゴミを捨てられない日々が続いたことがある。
ある日、地球がいびつに変形して見えた。
きれいな円ではなく、ところどころくぼんだり突起したりして。
それをひとりの自分は大丈夫。と思うんだけど、もうひとりの自分が焦っている。
なぜみんな気付かないの。大変大変っ。って。
ね。
後半やばいでしょ。
ゴミを捨てられない、のくだりではブラマヨが「いよいよ新聞に載るひとになってきた」と言っておりました。
あと黒沢さんの話し方が、軽々しくないんだ。
まず、誰の目も見ない。
挙動不審のうえ、自分の恥部を話すかのように、しぼりだすように、ひとつひとつ話していた。
この日の先生方はいつもより真剣でした。
ノートに書きだして宿題にして、考えすぎない。
旅行に行く。
ダイエットをする。
身近なもので達成感を得る。
などなど。
そして意外とそのような症状のある人はたくさんいて、慣れたもんだ、という顔を先生たちはしていた。
しかし、なかでも抜群の回答をしたのが、池田清彦先生です。
前々から素敵だとは思っていたけど、今日ほど格好良いと思った日はない。
それほどの回答だった。
まず、とっても優しかった。
黒沢さんの話に共感しているようにも見えた。
ひとに話せるといい、友達はいますか、と池田先生。
そこから、前述のいびつな地球の話になっていくんですけど、それにも池田先生は頷いて「ぼくもよくあるよ」と自分が膨張すると思う話をする。
そしていろんなアドバイスのなか、ぐーーー、とこめかみを押させたりして
落ち着きない表情をしている黒沢さんに、
「新しいことをするのが、怖いのでしょう」
と、ダンディ極まりないお声でおっしゃった。
そこで黒沢さん、号泣。
「そうなんです、新しいことするの、こわい」
と、泣きながらとぎれとぎれに言った。
抱きしめてあげて、早く!
と思うほど、そこに映っていた黒沢さんは、もろく、たよりなげで、たくさんのストレスと戦っているのだ、と分かった。
それをテレビで見せては、どうなの? 芸人でしょ、と思う人もいるかもしれないけど、わたしは黒沢さんの才能を知っている。
自分のネタをやらせたら、ブレることのない、ものすごい肝の据わった一面も見せるし、心から面白い。
森三中のなかでほとんど前に出ることのなかった黒沢さんが、最近ではトークの中心にいることもあるほど、ちゃんとしっかり仕事をこなしている。
ほかのメディアでも多くとりあげられているし、今回のことからも分かる通り、黒沢さんは社会では不適合な人間だと思う。
「芸人になってよかったね」
という言い方もちょっと違う。
不適合さは、不規則な生活とか金銭感覚とか、そういうことじゃなくて、もっと根本的な、人と話をすることだったり、しっかり自分を保つことだったり、主に精神面にあるからだ。
違っていたら失礼千万だけど、たぶん何事もちゃんとできない人なんだ。
それを恥じているし、殻に閉じこもってしまう。
でもそういうひとでも、ちゃんと成長できて、しかも多くの人を笑わせることができる、という事実が、ここにある。
だって、この人生相談を見るまで、黒沢さんがそういうひとってのを、ほとんど忘れている自分がいたから。
これを見て、思いだした。
勇気づけられました。
黒沢さんの涙は、自分のヤバさを聞いてくれる人はいても、
「あ、わたしもそうだよ」
と軽く言ってくれる人はいなかったんじゃないかな。
池田先生は、同じ種類の人間として受け入れてくれた、そんな気がしたのだと思う。
ちなみに、あたしも泣きました(やっぱりかー。今も泣いているよー)。
これでひとつ黒沢さんが強くなれば、それで、あたしはいいと思う。
そして、早く恋でもして、面白くなくなっても、それもいい。
長くなりましたが、今日はこのへんで。
この回で、ブラックマヨネーズのリアクションが小さく、ほんとにどうしていいか分からない、と思っているようで。
あら、これは男性には理解できないパターン?
と思い、なぜか使命感を持って書いてみました。
男性がダメ人間だと、まあまあ笑いにするくせに、女性だとダメ?
ふんぐ。
執筆: この記事ははなこばさんのブログ『笑いまみれ・はなこば日記』からご寄稿いただきました。
ガジェット通信はデジタルガジェット情報・ライフスタイル提案等を提供するウェブ媒体です。シリアスさを排除し、ジョークを交えながら肩の力を抜いて楽しんでいただけるやわらかニュースサイトを目指しています。 こちらのアカウントから記事の寄稿依頼をさせていただいております。
TwitterID: getnews_kiko
- ガジェット通信編集部への情報提供はこちら
- 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。