スチャダラパーBoseが程度のいい軽ABCトリオに驚く!
▲左からマツダ AZ-1、スズキ カプチーノ、ホンダ ビート。90年代、軽ABCトリオと呼ばれたこの3台が並んでいる光景なんて、今じゃなかなか見られませんよ!
この車たち、本当に公道を走っていいの? もちろんいいんです!
日本のヒップホップシーン最前線でフレッシュな名曲を作り続けているスチャダラパーのMC、Boseが中古車情報誌『カーセンサー』にてお届けする人気連載「Bosensor」。カーセンサー本誌で収録しきれないDEEPでUNDERGROUNDな話をお届けっ!!
今回はウエルストンにお邪魔した記事(関連リンク参照)の後編です。
Bose:90年代初めに相次いでデビューした軽2シータースポーツのABCトリオ。AZ-1、ビート、カプチーノの頭文字を取った愛称だけど、実は当時はそれほど興味はなかったんだ。
編集部ゆきだるま(以下、ゆきだるま):確かその頃はシティカブリオレに乗っていたんですよね。
Bose:そう。だから僕にとってABCトリオは“隣のクラスの遊び人”。楽しそうにやっているなっていうのは目に入るけれど、一緒に遊ぶことはなかったの。
中島店長:“隣のクラスの遊び人”ですか。おもしろい例えですね。でもよくわかります。一口に車と言ってもいろんな種類があって楽しみ方もたくさんありますから。
Bose:でも最近の車がどんどん大きくなったり、電子制御がたくさん入って走りのテンポにほんのわずかなズレを感じるようになったこと。そして90年代初頭の車がいい枯れ具合になってきておもしろくなってきたことなどが重なって、ここら辺にも興味が出てきたってわけ。
ゆきだるま:確かBoseさんはビートに乗ったことありましたよね?
Bose:ビートはヤバいよ。「本当にこれで公道を走っていいの?」と感じるくらいの軽さ。もちろんいい意味でね。僕が他に「これで公道を走ってもいいんだ」って感じたのはミニモークだから(笑)。しかもビートはお世辞にも速くない。でも逆にそれがものすごく楽しいんだ。高速道路っていうよりも制限速度60km/hの街中やもっと制限速度が低い裏道をチョロチョロと走るのが楽しい。すごいなって思ったよ。
中島店長:この3台はデビュー時期が近かったのと軽2シーターという共通するコンセプトがあったのでひとくくりにされがちですが、性格はまったく異なります。
Bose:本当は自分で乗って確かめたいけれど今回は車検が切れていて試乗できないから、ぜひ教えてください。
中島店長による一言解説~ホンダ ビート~
中島店長:この3台の中ではもっともおとなしいのがビートです。ビートはNAエンジンですし、先ほどBoseさんも話していたように決して“速い”と感じる車ではありません。その分走りやすいので、無理せず楽しみたい人にオススメです。
▲ビートをはじめとする軽スポーツは車高が低いからたいしてスピードを出さなくても体感速度が速い。スーパーカーのように右手が地面に届きます
中島店長による一言解説~スズキ カプチーノ~
中島店長:カプチーノは速いですよ! しかもレースのベース車両としても最高です。ちょっとお金をかければ今でもサーキットで通用しますから。軽自動車なのにFRでロングノーズというスタイルもいいですよね。
▲FRならではのノーズの長さがカプチーノの特徴。エンジンはターボで64ps。サーキット走行のベース車としても使えます
中島店長による一言解説~マツダ AZ-1~
中島店長:この3車種で最も過激なのがAZ-1でしょう。速いうえにホイールベースが短くてステアリングがクイック。変な言い方ですが、車よりもゴーカートに近い感覚です。MRでガルウイングというのも特殊ですよね。ある意味スーパーカーですよ。
▲丸いライトが愛らしい雰囲気ですが、アルトワークスと同じエンジン、FRPアウターパネルで軽量化したことで走りはスパルタン!
好条件のABCトリオを探すなら今がラストチャンス!?
Bose:今、ABCトリオはどんな人が見に来ます?
中島店長:当店の場合はABCが新車で買えた頃に20代だった人が多いですね。当時にこれらのモデルに憧れていたけれど高くて手が出せなかったという人が、2台目の遊びグルマとして選んでいる印象です。
Bose:若い人は見向きもしない感じですか?
中島店長:当店で扱っているのは低走行であまりいじっていないものが多いので、どうしても価格が高めになってしまいます。そのため「値段よりも状態を優先したい」というお客さんが中心になり、必然的に年齢層が高めになるのだと思います。若い子だとアルトワークスだったり、ABCトリオでも距離などは度外視で価格優先という選び方になるでしょうね。
Bose:そうかもしれないね。デビューからの年数も経っているし、かなり走り込んだものが多いから。
中島店長:ちなみに先ほどBoseさんが座った黄色いビートは走行0.8万kmで155万円、あそこにあるシャンパンゴールドのカプチーノは走行0.6万kmで179万円、青のAZ-1は走行5.9万kmで129万円です。
Bose:確かに相場的には高いけれど、まったく現実的じゃない価格かというとそうでもない。新車の軽の上級グレードと同じくらいだもんね。今どきのスポーツカーを買うならこっちの方がいいという考えの人でも手が出せる価格。当時憧れていた人が2台目の車として買うというのもわかるよ。でもいったいどうやって見つけてくるんだろう。
中島店長:基本的にオークションですよ。低走行の希少車を保管するためにガレージを作ったんですが、最近はそういう車が滅多に出てこなくなりました。もしかしたら今置いてある車が売れたらこのスペースは板金工場になるかもしれません(笑)。
▲中島店長(左)にAZ-1の乗り味を聞くBoseさん。ゴーカートフィーリングを直に味わえなくて残念そうでした
AZ-1の非日常感に驚愕! 「ドア、どうやって開けるの?」
ゆきだるま:Boseさん、せっかくだからAZ-1のコックピットに座らせてもらいませんか?
Bose:そうだね。……って、このドアどうやって開け方が難しい! ドアの下にあるレバーを握ろうとするとかなりかがままなきゃいけない……。わかってはいたけれど、本当にガルウイングだ! これ、ドアの重みで落ちてきたりしないんですか?
中島店長:この車はまだ大丈夫ですが、ヘタると落ちてきます(笑)。でも社外品のダンパーもありますし、そこまで心配しなくても大丈夫ですよ。
▲「レバーはかなり奥の方にあるんだね」。そしてドアを持ち上げて上までガバッと開きます
Bose:ドアを閉めるとかなり密閉感があるね。座った感じが普通の車とは全然違うよ。天井がガラスとはいえ、閉所恐怖症の人は無理だな。乗る前はこういう日本独特の車って外国人から人気があるんじゃないかと思ったけれど、これは無理だね。身長170cm弱の僕がこれだけ狭く感じるんだから、大柄の人は運転できないかも(笑)。あれ? このドア、中からはどうやって開けるの……?
中島店長:ドアにあるレバーを引いたらヒジで押すように上に持ち上げてください。AZ-1は乗り降りにちょっとコツがいりますね。
▲存在自体が異次元のAZ-1にBoseさんもビックリ。試乗できなかったことを本気で悔しがっていました
Bose:コックピットといい、ドアの開け方といい、やっぱりAZ-1は非日常感に溢れたモデルだよね。これに乗った後だとビートが普通の車に感じるよ。
中島店長:個人的にはABCトリオの中では断トツでAZ-1がおもしろいと思います。ガルウイングをはじめスーパーカーブームのノリを感じますし、乗り味はゴーカートフィーリング。変な言い方になりますが、マツダの開発陣が本気で遊びながら作ったとしか思えません。
Bose:ほんと、よく作ったなって感じるよね。
▲AZ-1の窓はこれで全開。「今はETCがあるからまだいいけれど、当時はどうやって高速に乗ってたんだろう……」
中島店長:他の2台はコンセプトを継承するモデルが出てくるかもしれませんが、AZ-1はまず出てこないでしょう。コンセプトがあまりにも特殊なので生産台数もかなり少なめ。
Bose:状態のいい中古車に乗れるのは本当にラストチャンスかもしれないね。この時代の輸入車のスポーツカーだと今じゃ1000万円オーバーのものも珍しくない。とてもじゃないけれど普通の人は手が出せなくなっちゃった。そう考えると多走行車より少し高くてもこのあたりでいいものを手に入れて遊ぶのも悪くない選択かもしれないね。
▲ウエルストンのガレージにはAZ-1よりさらにレアな、OEMモデルのキャラやM2仕様のAZ-1もありました
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photo/篠原晃一
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