【ここは法廷だゼ!】「パンツを下げさせてはいない」と言い張るメンタルクリニック院長のワイセツ裁判

診察室

診察と称して女性患者にわいせつ行為を働いたとして、警視庁捜査一課と大崎署は今年4月、都内のメンタルクリニック院長Nを逮捕した。「医療行為だった」などとして容疑を否認していたが、公判でもその姿勢は崩さなかった。

証拠には3名の女性患者の調書が採用されており、被害者は少なくとも3名はいるようだ。内容としては、

「ドグマチールを処方されてから『副作用があるか拝見しましょう』と胸を……そのあと触診を……陰部の触診も行われました」
「“足に膝を乗せてもらっていいですか”と言われ、開脚した状態で触診されました。膣内にも触診されました。指を挿入されました」

など、メンタルクリニックで行われる医療行為とはおよそ信じ難い内容だ。

11月22日の審理で行われたのは被害者Cさんの証人尋問。衝立てが立てられ、Nや傍聴人からはCさんの姿は見えないが、声は若く可愛らしかった。今年の2月から4月まで通院していた。他の被害者と同じように、薬を処方された後から、胸などを触られるようになったようだ。

「問診の中で“薬の効きはどうですか”という質問が加わりました。“眠れてますか”とか“胸の張りはどうですか、お乳でますか”とか、その後も毎回聞かれるようになりました」

精神科で処方される薬には、副作用として乳汁の出るものもあるようだ。Cさんは「ちょっと見てみましょうか」というNの言葉に素直に胸を見せ、触診を受けていた。だが、その触診の場所はどんどん広範囲になっていったという。

「最終的には、座ったまま、陰部が見えるくらいまで、ズボンとパンツを下げた触診になりました。先生からは“薬の副作用で子宮が張ったりしてるから”という説明があったので、下半身のほうまでの触診は医療行為だと思っていましたが、あまりにも見せる部分が多くて、ちょっとおかしいなと……」

最後の診察である4月18日。いつものように胸の触診が終わり「じゃあお腹診ますね」というNの言葉を受け、いつも通りにズボンのボタンを外し、パンツと一緒に下ろした。Cさんによればこの日Nは股の中にまで手を入れてきたようだ。

「かなり陰部まで触ってて“ちょっと触りたいとこ、座ってると届かないから立って”と言われました。立たされた後、陰部の奥の方まで指先で押してきました。指を入れられたりはないです」

その後もCさんは診察を受けるつもりだったようだが、Nの逮捕により、この時の診察が最後となった。続けて診察を受けていたらどうなっていたか……。

「診察時間は30分くらいだったんですけど、この病院を紹介してくれた同僚に診察内容を話したら“私はそんな診察受けてなくて、診療時間も5分くらいだった”と言われて、他の人と違う診療を受けていると知りました……」

勇気を出して告訴したCさんだが、Nは「薬の副作用を診るのは精神科としての診療行為。Cさんはパンツを履いた状態で診察を受けていた。一度もパンツを下げさせたりしたことはない」と調書で述べている。

逮捕、起訴されても「パンツを下げさせたりしたことはない」と言い張るN。言い分が正しいのかウソなのかは、裁判所がじきに判断を下すだろう。しかし、Nが本当に医療行為と思っているのなら、ここだけ否定するのではなく「パンツを下げさせた。医療行為のためだ」と言うはずではないだろうか?

画像引用元:flickr from YAHOO
http://www.flickr.com/photos/contri/5720481509/

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高橋 ユキ

傍聴人。近著『木嶋佳苗 危険な愛の奥義』(徳間書店)、『木嶋佳苗劇場』(宝島社)ほか古くは『霞っ子クラブ 娘たちの裁判傍聴記』(新潮社)『あなたが猟奇殺人犯を裁く日』(扶桑社)など。好きな食べ物は氷。

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