これからの都心鉄道[1] 東京メトロの改革~新駅・脱混雑~
2020年東京オリンピック・パラリンピックに向け、また、混雑解消のために鉄道各社が対策に乗り出すなか、東京メトロにおいても、例に漏れず変革の時期を迎えているという。【連載】これからの都心鉄道
住まい選びに大きな影響を及ぼす通勤事情。今後数年~10年後などの未来に向けて、都心の鉄道がどんな風に変わるのか? 路線ごとの便利になるポイントや特徴を紹介します。
変革の目玉は日本初の地下鉄・銀座線
1927年に、日本発の旅客用地下鉄として開通した東京メトロ銀座線(旧・東京地下鉄道)。開業から90年を迎えるタイミングで、さまざまな計画が進行中だという。具体的にどのような計画なのか、東京メトロ(東京地下鉄株式会社)広報部・阪本貴也さんに話をうかがった。
長い間、市民の足として多くの人に愛用されてきた東京メトロ銀座線は、渋谷―浅草をつないでいる。現在、渋谷駅は駅前の大開発など、東京メトロ以外でも計画が進行中。それに合わせて、東京メトロ銀座線・渋谷駅も移転が決まった。「2019年度には、明治通り沿いに新ホームの供用を開始する予定です」と阪本さんは言う。【画像1】移設工事後の渋谷駅イメージ(ホーム)(画像提供/東京地下鉄株式会社)
また、日本で最初の地下鉄・東京メトロ銀座線といえば、老朽化への対策も気になるところ。何か対策は行っているのだろうか?
「設備の改良を含め、全体的なリニューアルを行っている最中です。今年度中には車両の総入れ替えが完了予定、2018年度までに、一部駅を除いてホームドアの設置完了、また銀座線の全駅をリニューアルする予定で一部駅では工事を開始しています」(阪本さん、以下同)
東京メトロ銀座線全駅にホームドアが設置されれば、より安全に利用することができそうだ。2022年度と少し先になるが、ビジネスパーソンや観光客で大勢の乗り換え客がいる新橋駅については、渋谷方面行きホームを延伸し、昇降設備も新設するとのこと。そして、現在の銀色の車両は、おそらく2017年3月で見納めになる見通し。鉄道ファンは、要チェックだ。
駅のリニューアルについては、デザインを募集するコンペを実施。現在は、浅草―赤坂見附まで、コンペが完了し、残すは青山一丁目―渋谷までの間のみ。コンセプトは「伝統×先端の融合」。残りの各駅はどのようなデザインになるのか、こちらもチェックしておきたい。【画像2】末広町駅のデザインコンセプトは「電気の街」。秋葉原の北の玄関口として外国人や観光客に対して「electric gate」でお出迎え(2017 年完成予定)(画像提供/東京地下鉄株式会社)
東京メトロ日比谷線に新駅が誕生!?
2014年にJR山手線の新駅建設計画が発表され、注目を集めたが、実は東京メトロでも「虎ノ門新駅(仮称)」
の建設計画が進行中だそう。場所は、霞ケ関―神谷町の間で、霞ケ関から約800m、神谷町から約500mのあたり、虎ノ門ヒルズのすぐ近くだ。【画像3】日比谷線虎ノ門新駅(仮称)は虎ノ門ヒルズの目の前。銀座線の虎ノ門駅とも地下通路でつながる予定(画像提供/東京地下鉄株式会社)
ところで、新駅はいつごろから利用可能なのだろうか?
「あくまで予定ですが、2020年東京オリンピック・パラリンピック前には、利用が開始されるでしょう。地下通路で銀座線ともつながる予定なので、乗り換えもしやすいと思います」
また、新型車両の導入も2016年度から順次導入開始。2020年度には完了予定だそう。車両の数は、7両×44編成分、308両にものぼるというから驚きだ。この新型車両の特徴についてもうかがった。
「一部車両で使用しているLED照明がまぶしいという声があったので、間接照明を導入しています。また、全車両にフリースペースを設けたことで、ベビーカーや車いす、大きな荷物をお持ちのお客様にも、快適にご利用いただけるのではないでしょうか」
時期は未定だが、Wi-Fiの導入も検討されている。今後の進展が楽しみだ。
脱・混雑! 東京メトロ東西線はここが変わる
国土交通省が発表した、平成27年度「東京圏における主要区間の混雑率」において、混雑率1位(199%)になった東京メトロ東西線(※)。「東西線=混雑」というイメージを払拭するため、混雑緩和に向けて、さまざまな対策を打ち出している。
(※)木場→門前仲町(7:50-8:50)
なかでも注目は、木場駅の改良工事。
「ホーム・コンコースの拡張、エレベーターやエスカレーターの増設工事を行っており、お客様の分散化、ホーム階や改札階の混雑を解消することで、安全性・利便性の向上を目指しています。地下で列車の運行をしつつ地上から掘削し、既設のシールドトンネルを解体することで新たな空間を生み出す工事は世界初なんですよ」
東京メトロ東西線では、茅場町駅でホームの延伸・昇降設備や階段の増設(2020年供用開始予定)、南砂町駅で新たなホームの増設(2021年供用開始予定)などの改良工事が並行して進行中。
このほかにも、2020年東京オリンピック・パラリンピックを見据えてバリアフリー化が進んでいる。銀座線や丸ノ内線といった、比較的古くから都心を通る沿線も含めて、すべての駅で地上からホームまでエレベーターで行けるようになるという(2019年度完了予定)。
また、支線の直通化も予定され、乗り換えの手間も軽減されるようだ。東京メトロエリアは、比較的高額な物件が多いため、なかなか手が出ないかもしれないが、通勤や外出が便利になるということだけは確かなようだ。●取材協力
・東京メトロ(東京地下鉄株式会社)●参考
・中期経営計画『東京メトロプラン2018~「安心の提供」と「成長への挑戦」~』(東京地下鉄株式会社)
・東京圏における主要区間の混雑率(国土交通省)
元画像url http://suumo.jp/journal/wp/wp-content/uploads/2016/10/119405_main.jpg
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