仕事が3倍はかどる! ダンドリの達人になる9つのワザ
同じ仕事をしていても、サクサク終わらせて残業せずに成果を出す人、ダラダラと時間をかけてしまう人がいます。差が開く要因の一つが「ダンドリ」の力。日々していることは同じでも、ダンドリをどう組むかで仕事の進行スピードが大きく変わってきます。
今回は、組織活性・業務改善などのコンサルティングを手がける吉山勇樹氏に、仕事を速く、スムーズに進めるためのダンドリ術をお聞きしました。
仕事は「GPDCAサイクル」で進める
「PDCAサイクル」は、知っている人、実行している人も多いと思います。「Plan(計画)→Do(実行)→ Check(評価)→Action(改善)」を繰り返しながら、業務を改善していく手法です。
しかし、ダンドリをする際には、PDCAではなく「GPCDA」のサイクルで進めることが大切です。Gとは「Goal(ゴール設定)」。そもそもの目的や締切期限などを設定しないままPlanにとりかかっている人は意外と多いものです。すると、途中で迷って立ち止まってしまったり、違う方向に進んでしまったりすることもあります。まず、ゴールを明確にするところから始めましょう。
全ての仕事に「デッドライン」を設定する
いつまでにこの仕事を完結させる、という「デッドライン」を設定する習慣がない人も多く見られます。明確な締切がある仕事はそれに間に合うように進めるけれど、特に期限を設定されていない仕事については「時間ができたらする」というスタンスで、いつまでたっても終わらないことも。
周囲から期限を指定されていないものでも、すべての仕事に「いつまでにここまで完了させる」というデッドラインを設定してください。また、デッドラインは今日中、今週中という曖昧なものではなく、何時何分という具体的な設定をすることで、周囲との連携もしやすくなります。これは信頼を勝ち取る姿勢ともいえます。
「明日やるべきこと」と「今日したこと」を一覧にしておく
朝、出勤してから「今日やること」を考えている人も少なくないのではないでしょうか。そうすると、前日に何をしたかを思い出すところから始めなくてはならないことも多く、スタートダッシュをかけることができません。結果、朝の時間をダラダラと過ごし、残業してしまうはめになります。
そこで、前日中に「明日やるべきことリスト」を付せんやメモに書き出すなどしておくことをお勧めします。朝、出社した際にリストを見れば、すぐに仕事に取りかかることができます。
翌日1日のスケジュールをイメージできれば、仕事だけでなくプライベートの時間もうまく確保できるようになるもの。完了したものは「したことリスト」として管理しておけば、後追い業務やフォロー漏れがなくなるなど、ツメの甘さを防止するのにとても効果的です。
同僚の協力を得て「仕事のジャマ」を排除
企画書の作成など、じっくり考えたい仕事をしたくても、メールが着信したり、電話がかかってきたり、同僚から相談を受けたりと、ジャマが入る場面がたくさん存在します。随時丁寧に対応していると、本来やるべき仕事がいつまでも終わりません。
1日のうち1時間でも2時間でも、徹底して集中する時間帯を決めましょう。そして周囲のメンバーに「今から集中するから、電話対応は折り返しでお願いします」「質問や相談は後でお願いします」と協力を要請しておきます。メールが着信しても、よほど緊急の用件でないかぎり、返信は後で。
これは、チーム全員で実行するのも得策。実際、メンバー間で相談や質問をしてはいけない「集中タイム」を社内ルールとして設定し、効率化を図っている企業もあります。
「ながら作業」を習慣化する
効率よく仕事を進めている人は、複数の仕事を同時進行できる人だといえます。
「料理」をイメージしてみてください。コンロで煮物をしている間に、別の食材を包丁でさばき、一方で米を炊いている…というように、同時進行させる作業が多いほど完成が早くなります。
仕事においては、他のメンバーと協力することで「ながら作業」が可能になります。つまり、他のメンバーがからむ仕事に優先的に着手するのが有効。他のメンバーに作業のバトンを渡したら、その人がそれを仕上げる間に別作業を進めておくことができます。
最初から完璧を目指さず「良い加減」に行う
上司から資料や企画書の作成を命じられたとき、完璧な仕上がりにするため締切りギリギリまでがんばる。
ところが、提出してみると意外なダメ出しをくらってやり直し…というのはありがちなこと。こうした場合、30%、50%、70%といった状態でも、途中段階で上司に確認をとるほうが、早く完成に到達できます。また、ここで確認できるのが、上司と自分の共通認識。あなたの3割の出来は上司からすれば、1割にも満たない出来かもしれません。最初から完璧を目指さず、徐々に上司や周囲との「期待値合わせ」をしていくことが、無駄な手戻りを防ぐためのコツといえます。
会議・商談に効く「あす・よろメール」
わざわざ時間をとって設けた会議。しかし、「前回の宿題?すっかり忘れてた」「あの資料、間に合わなかった」というメンバーもいます。中には「これって何の会議だっけ?」と目的を理解せずに参加する人も。これでは時間がムダになり、課題解決も先送りとなってしまいます。
会議を有意義なものにするためには、事前に「明日の会議、よろしく!」のメールを送っておくといいでしょう。その「あす・よろメール」に、当日の参加者、議題(アジェンダ)、宿題、役割分担などを記載しておくと、各参加者が目的意識を持って集合してくれるので、スムーズな会議の進行が実現できます。
周囲にいる「スペシャリスト」を把握しておく
1人でいろいろと抱え込み、自分だけで完結させようとする人がいます。しかし、それでは非効率であるばかりか、自分自身を追い詰めることになります。
大きな組織やプロジェクトを動かしている人々を見ると、その多くは、自分の弱さを見せて、周囲の協力を得て仕事をしています。「この分野ならあの人が得意」「このテーマはあの人に聞けばすぐわかる」など、周囲にいる人材のデータベースを自分の中に持っておきましょう。そして、困ったときはすぐに協力を要請するのです。独自で難題に挑むより、得意な人にサポートしてもらうことでスムーズに事が運ぶものです。
「振り返り」&「ナレッジベース化」を徹底する
仕事にスピードが求められる時代。1つの案件を終えたと思ったら、休む間もなく次から次へと仕事が降ってきて、すぐにとりかからなければならない…という人は多いことでしょう。
しかし、1案件終えた後、振り返る習慣をつくることをお勧めします。帰宅中の電車の中ででも構いません。客観的に自身の仕事の評価をしてみると、改善点や成功のポイントが見えてきます。そうした失敗事例、成功事例を毎回整理し、ナレッジベースとして保存しましょう。それを次の仕事に活かしていけば、仕事を速く、楽に進めることができるはずです。
――以上、今の自分の仕事の習慣を見直してみて、取り入れられそうなものを実践してみてはいかがでしょうか。
吉山勇樹氏/株式会社ハイブリッドコンサルティング 代表取締役 CEO
大学時代にはベンチャー企業の創業・運営に参画。卒業後は大手通信事業会社にて新規事業開発をメインで担当。MVNOをはじめとするモバイル系ソリューションやCRM戦略策定、新規営業部門の立ち上げなど、各種プロジェクトマネジャーとして活躍する。その後、教育人材コンサルティング会社の取締役、代表取締役を歴任。そして独立。年間200日を超える企業・団体での研修・講演をはじめ、組織活性・業務改善・プロジェクトコンサルティングのほか、国立大学と共同で社会人基礎力推進事業(経済産業省)を手がけるなど幅広い活動を展開中。
型にハマらない柔軟なファシリテートに定評があり、数々の大手企業・団体からの経営計画立案や次期経営幹部養成に向けたコンサルテーション事例も多数。テレビ・ラジオ・新聞・雑誌等、多数のメディア出演・執筆活動も精力的に行う。15万部突破の「残業ゼロ!仕事が3倍速くなるダンドリ仕事術」をはじめ、数々のベストセラーをリリース。
EDIT&WRITING:青木典子 写真素材ぱくたそ
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