仕事の効率をアップ!「集中」するための6つのダンドリ

仕事の効率をアップ!「集中」するための6つのダンドリ

「労働時間を短縮し、生産性を上げる」。そんな目標を掲げる職場が増えています。

効率化の仕組みを整える一方、個人に対しても「業務の効率化」が求められるようになっていますが、中には「気が散って1つの仕事に集中できず、テキパキとこなせない」と悩んでいる人もいるのはないでしょうか。

そこで、『仕事ができる人の『集中』する習慣とコツ』の著者である石井貴士氏に「集中するコツ」をお聞きしました。

石井氏によると「『集中力がない人』はいない。そもそも『集中力』というのは存在しない概念。『集中状態』か『非集中状態』かということであり、誰しも『集中状態』に入ることができる」といいます。では、集中状態に持っていくためには、どういう行動習慣を付ければいいのでしょうか。

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1日を3分割し、仕事内容によって行う時間帯を変える

1日のうちで脳が一番活性化するのは午前中。午後、夜にかけて働きが鈍くなっていきます。それをふまえると、仕事の内容によって、仕事を次のように振り分けるのが理想的です。

午前中…企画や戦略を考えるなど、1人で集中して行う仕事

午後…打ち合わせや会議など、複数人でする仕事

夜…会食、社外の人に会うなど、集中を必要としないこと

仕事にとりかかるとき、重要度の順に片付けていこうとしがちです。一見もっともですが、集中状態に入れば1分でできるかもしれないことを、集中できない時間帯に行うのは非効率。1日をトータルで考えて、午前中にすべきこと、午後にすべきことを考えてから1日の仕事をスタートさせることを意識してみてください。

自分の「ゾーンタイム」を設定。90分単位で区切る

もちろん、職場や職種によって、集中しやすい時間帯は異なるでしょう。「午前中に電話応対が集中する」「午前中に会議が組まれる」など、先に挙げたような時間の使い方ができないケースもあります。

そこで、自分が集中状態に入る「ゾーンタイム」をあらかじめ決めておくことをお勧めします。例えば「9時から11時までの2時間」「10時から14時までの4時間」というように。

「この時間内に集中して○○を片付ける」と決めることで、気持ちが高揚し、身体が動くもの。これを毎日のゾーンタイムとして習慣づけると、身体になじんで、集中状態に入りやすくなります。

最初は短時間で設定し、慣れてきたら時間を伸ばしていってもいいでしょう。そのうちに、長時間、集中状態を保てるようになります。

なお、集中には周期があり、15分程度ごとの波を繰り返します。小学校の授業は45分で設定されていることが多いですが、3回の集中の波に応じて、学習にメリハリをつける意図があります。集中状態を続ける限界は90分と言われます。90分経過したら、少しでも休憩をとったほうが、次のゾーンに入りやすくなります。

「やることリスト」を書いてから仕事にとりかかる

出社していきなり仕事にとりかかる人もいらっしゃいます。このように「行き当たりばったり」で仕事をしていると、仕事が途切れた瞬間に集中も途切れます。そうならないために、朝はまず最初に「やることリスト」を作成しましょう。

今日は何をするのかという全体像を描き、その中で、今自分が何をしているかを客観的に把握することが大切です。

「頭でわかってるから書く必要はない」と思っているかもしれませんが、それだと、仕事をしながら「他にあれもしなければならない」と、目の前の仕事以外に気をとられることに。結果、集中がそがれ、作業スピードが落ちることになります。

意識が散漫にならないようにするためには、目の前の仕事以外の項目は紙に書いて、一旦忘れるようにしましょう。そして、やることリストは常に持ち歩くこと。そうすることで何をすべきか忘れず、1日を送れます。

「やることリストを書いている時間があったら早く仕事にとりかかったほうがいいのでは」と思うかもしれませんが、1日の全体を通すと、この作業をしておくことで結果的に多くの作業をこなすことができるはずです。通勤電車の中で作成しておいてもいいでしょう。

その日の「2大目標」を決める

毎日、やることを最速で終えるために、「2大目標」を立てましょう。「今日はこれだけやればいい」という1つだけの目標はNG。3つ以上の目標を掲げるのもお勧めできません。

その効果を、わかりやすく勉強に例えてみましょう。

「今日は英語と数学をやる」という2つの目標を立てたとする。英語をやっているうちに行き詰まることも。そのとき、数学が待っている。数学を解いていると、答えが導き出せないことも。すると、逃げ場として英語が用意されている。そういう状態を作ると、1日を終えたとき、英語と数学の両方を勉強するという目標が達成されていることになります。

しかし、「今日は英語だけ勉強する」と決めた場合、行き詰まったとき、勉強自体しなくなってしまいます。もちろん、勉強と会社の仕事では質が異なりますが、集中状態を維持するという観点では、この方法が応用できます。

仕事で2大目標を設定してみてください。できれば、この2つはなるべくかけ離れた業務がいいでしょう。例えば、「外回りをする/企画書を作成する」「資料をまとめる/3人のお客さまに電話する」といったようにです。

「やることリスト」にはもっと多くの作業項目があるでしょうが、あえて優先順位が上位のもの2つを決めてください。その2つが達成されると、達成感も得られ、次の日にも集中状態に入りやすくなります。

「雑用」をウォーミングアップに使う

「やることリスト」のうち、大切なことから順番にこなしていこうと考えがちです。

しかし、優先順位と着手すべき順位は異なります。すぐにできるような雑用から始めるほうが効率的です。

なぜ一番大切なことから始めないのかというと、助走をつけてからでないと「ゾーン」に入りづらいからです。10分程度は雑用をして過ごし、ウォーミングアップをするといいでしょう。

やることリストを書き出した際、簡単に終わらせられる雑用に「1」と書いて、そこからとりかかることをお勧めします。

「助走」として適している作業の一つが「メール返信」。助走の役割を果たすだけでなく、朝一番でメールを送っておけば、相手が一番に自分のメールを見てくれる可能性があります。

ただし、「ゾーンタイム」を午前中に設定した場合、午前中にメールの応酬をするのは好ましくありません。午前中にメールが返ってきたとしても、急ぎの内容でない限り返信は14時以降に行うと決めておくくらいのほうが集中しやすくなります。

キリの悪いところで終わらせる

「ここまでやればキリがつく。キリのいいところまでやって今日は終わろう」。

そう考える方は多いでしょう。

しかし、集中しやすくするという点では、「あえてキリが悪いところで仕事を終える」という習慣をつけるほうが望ましいのです。

キリがいいところで仕事を終えると、翌日、ゼロから重い腰を上げて仕事にとりかからなければなりません。しかし、前日から「あれがまだ終わっていない」と思いながら翌日を迎えると、すでに助走がついている状態からすぐにトップスピードに乗れるというわけです。

気分はスッキリしないかもしれませんが、エンジンをかけっぱなしにしておくことも、集中を高い状態に持っていくには有効です。

――このように、ほんのちょっとしたダンドリによって集中しやすくなり、作業がはかどるものです。自分に合ったやり方から取り入れ、習慣化してみてはいかがでしょうか。

石井 貴士/作家、(株)ココロ・シンデレラ 代表取締役

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1973年生まれ。高校2年のときに、「1秒で目で見て、繰り返し復習すること」こそ、勉強の必勝法だと悟る。代々木ゼミナール模試・全国1位(6万人中1位)、Z会慶応大学模試・全国1位を獲得し、慶應義塾大学経済学部に合格。大学卒業後はテレビ局のアナウンサーとして活躍。在職中に、突然、「無職からスタートしてビッグになったら、多くの人を勇気づけられるはず!」と思い立ち、退職。世界一周旅行に出発し、27カ国を旅する。帰国後、日本メンタルヘルス協会で「心理カウンセラー資格」を取得。2003年に(株)ココロ・シンデレラを起業。現在、1冊を1分で読めるようになる「1分間勉強法」を伝授する一方で作家活動も展開。累計63冊、200万部を突破するベストセラー作家になっている。主な著作に、『仕事ができる人の『集中』する習慣とコツ』(すばる舎リンケージ)、『本当に頭がよくなる 1分間勉強法』(KADOKAWA/中経出版)ほか。

EDIT&WRITING:青木典子

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