予算は2000円までが吉!ビジネスを円滑にする究極の手みやげ術

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取引先への挨拶や商談の場など、ビジネスシーンで何かと出番の多い手みやげ。しかし、いざ品物を選ぼうとすると、どんなものが喜ばれるのか、いくらぐらいのものを買ったらいいのかと、迷ってしまう人も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、ビジネス相手と良好な関係性を築くために知っておきたい、成功する人の手みやげ術について、『100億円を引きよせる 手みやげ』の著者である越石一彦さんに伺います。

手みやげが商談の環境を整える

まず、手みやげがもたらすビジネスへの効果について、「相手に話を聞いてもらう環境を整えることができる」と越石さんは語ります。

「物を差し上げるという行為は相手に対して興味があるという表れであり、よほどのことがない限り、手みやげを渡されて気分を悪くされる方はいません。ですから、ほとんどの場合、相手も快く受け取るわけですが、この受け取るという行為は時間を割いて話を聞いてもらうことへの承認であり、『承認した相手の話はゆっくり聞くべきだ』という雰囲気をその場に作ることができるのです」

商談の多くは、相手側の心の壁を取り払うところからスタートするもの。たとえ、結果的に手みやげそのものに商談を実らせる効果はなかったとしても、話を聞いてもらうための下地作りに有効であるため、手みやげを渡すことで心の壁を低くした状態で商談をスタートできるのだそうです。

手みやげ選びで心がけるべき4つのポイント

ポイント1:間に合わせで買うくらいなら持参しない

「商談は手みやげ選びから始まっています。よくコンビニのレジの後ろにギフト用のお菓子などが置いてありますが、そうしたコンビニや駅の売店で買えるようなものは、『時間がなかったので途中でついでに買ってきました』と相手に伝わってしまうので、手みやげとしてはふさわしくありません。

基本的には、『この商談で一生の顧客をつかむ』という想いで持っていくならば、予定より30分でも早く会社を出て、相手のことを考えながら店で選ぶこと。もし、そうした時間が確保できなくても、間に合わせで買うくらいであれば持っていかない方がいいでしょう」

ポイント2:予算は2000円まで

「経費が使えない場合や、経済的にあまり余裕のない若いビジネスパーソンにとっては2000円が手みやげの妥当な予算だと考えています。本当にここ一番というときは、5000円〜10000円のものを選ぶ場合もあるかもしれませんが、そうした高価なものは『こんな高価なものをもらって、期待に応えられなかったらどうしよう』と相手にも気を遣わせてしまいます。

その点、2000円は相手にも負担をかけずに、おいしいものが選べる金額ですし、自分にとっても負担になりません。例え2000円の手みやげでも、そこに相手への想いを乗せられれば、その価値は実額以上のものになるのです」

ポイント3:「つまらないものですが…」はビジネスの場では禁句

「食べ物は、食べるとなくなる『消えもの』ですが、おいしければ相手の記憶に強く残るので、手元に残る物を渡すよりも相手の負担が少なく、かつ、こちらの印象をしっかり残すことができます。そして、品物を選ぶ際の鉄則としては、必ず自分も食べたことがあるものを選ぶこと。実体験を伴っておすすめできるものには、やはり説得力があります。

また、いかに相手の記憶に残すかという点においては、どれだけその手みやげに関するエピソードを語れるかが大事なポイントになってきます。

例えば、西新橋にある『木村屋田村町本店』の『バナナケーキ』は、オーナーが厳選したバナナをクリームと一緒にクレープで巻いたもので、手頃な価格なうえ本当においしいのですが、そうした情報をふまえて『オーナーのこだわりのバナナケーキなので後で食べてみてください』と言えるのか、『つまらないものですが』と渡すかによって、印象の残り方が全く変わってくるのです。

ですから、多くの人が定型句として使ってしまいがちな『つまらないものですが』はビジネスの場では禁句と捉え、渡す際にエピソードが語れるような食べ物を選ぶようにしましょう

ポイント4:相手の情報を手みやげに反映させる

「相手側の情報をもとに品物を選ぶのも大切なポイントです。例えば、女性が多い部署ならば女性が好むもの、役職についている方であれば、後々部下に配れるものを選ぶことで、その方の上司としての立場を立てることができます。

また、『奥様にどうぞ』と言える間柄であれば担当者の奥様の分も渡す、甘いものが好きな相手なら、『今日は◯◯様のお好きなものをお持ちしたので、ぜひお試しください』と一言添えるなど、相手の家庭環境や趣味趣向がわかる場合は、それらに合ったものを持参して、相手自体への興味を示せると、なお良いと思います。

ですから、手みやげ選びに生かすためにも、事前に相手と話す機会がある際には、必ず目の前にいる方の情報を得るようなトークをすることが大切です。また、相手のSNSアカウントを知っているならば、投稿のなかでその人の好きなものに関する言及がされている場合も多いので、それらをヒントにものを選ぶのもいいかもしれません」

ビジネスシーン別、手みやげ選びのポイント

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また、以下の5つのビジネスシーン別における手みやげ選びのポイントについて、越石さんは次のように語ります。

シーン1:新たに担当した得意先へ挨拶に伺う場合

「前任の担当者がこれまで皆さんにお世話になったということを踏まえ、挨拶先の部署の人数を事前にリサーチし、皆さんに行き渡るものを持参するようにします。ただ、生菓子はその場にいないと食べられないものになってしまうので、持参する食べ物は、机の上に置いておいても半日〜1日程度日持ちがするもの、社員の出入りが激しい職場なら、最低でも3〜5日程度日持ちするものを選びます。

また、挨拶の場に前任の担当者が同席する場合は、職場の皆さんに配るものとは別に、これまでお世話になった相手方の担当者個人に渡すための手みやげを個別に持っていただくのがベストです」

シーン2:久しぶりにお世話になる取引先へ挨拶に伺う場合

「もし、ユーモアが通じるような関係性の取引先であれば、シャレの利いたものを選ぶと良いと思います。例えば、門前仲町の和菓子屋『みなとや』の『これでよしなに』という煎餅は、小判形の煎餅に混じって、金色のフェイクの小判が1枚入っています。私の経験上、『ご無沙汰してしまってご無礼をお赦しください、これでよしなに』という形で渡すと、皆さん笑ってくれて、和やかなムードになりました。

ですが、もしビジネスライクな間柄でそういったことが難しい場合は、『これからまた長いお付き合いをさせていただければと、長年続くお店のお菓子をお持ちしました』と老舗のものを持参するのがおすすめです

シーン3:相手の担当者とより信頼関係を築きたい場合

「手みやげの基本は食べ物ですが、私自身が仲良くなった担当者に差し上げたもので一番効果的だったのは、その方の誕生日に発行された新聞のバックナンバーです。

銀座の博品館には指定した年月日の新聞のバックナンバーをその場でプリントできるコーナーがあって、同じ建物内で保存用としてパウチ加工もできるのですが、それを『長いお付き合いのある◯◯さんの生まれた年がどんな時代だったのか、生まれた日の朝にどんなことがあったのかが気になったんですよ』と担当者の誕生日に渡すと最高に喜んでいただけます。

一見やりすぎにも思えるかもしれませんが、少しやりすぎなくらいインパクトがある方が相手の記憶に残り、商いにつながっていくと思います

シーン4:商談の場合(新規・継続)

新規の商談の場であれば、正攻法で、誰しもが知っている老舗のものを渡しましょう。例えば、帝国ホテル内の『ガルガンチュワ』というショップには、包み紙1枚1枚に帝国ホテルの名が書かれたプレートチョコレートがあるのですが、手頃な値段で、かつ、歴史のあるホテルのものなので良い印象が与えられると思います。

また、新規ではなく、継続的な関係がある取引先との新たな商談の場合は、もう少し品物にメッセージ性を持たせたものを選んでみましょう。例えば、工芸茶。お湯が注ぐと茶葉と共に花が開くように加工されたお茶なのですが、花が咲くタイプのものには『商売の花が咲くように』、昇り龍の形に開くタイプのものには『御社との関係をこれからますます上昇気流に持っていきたい』という気持ちが込められていることを伝えると良いでしょう」

シーン5:謝罪の場合

「謝罪の場の定番手みやげは『新正堂』の『切腹最中』ですが、詫びる気持ちに加え、今後ますます相手側の業績が上向きになりますようにという想いを込めて、私の場合は同店の『景気上昇最中』もセットで持参します。

ただし、謝罪の場で手みやげを渡す際は、絶対に謝罪の最後に渡すのが鉄則です。誠心誠意謝罪をし終え、相手側の打ち解けてきたタイミングで『切腹ものだという気持ちを含めて、腹を割ってお話しがしたかったので』と渡すのは良いのですが、最初からそういうことをしようとすると受け取りを拒否される可能性もありますし、『ふざけているのか』と逆効果になる可能性もあります。ですので、謝罪の場面では、どんなものを持っていくとしても、必ず最後に渡すようにしましょう」

まとめ

相手に喜んでもらおうともてなすホスピタリティや、先方の状況や環境に見合ったものを選ぶ提案力が求められるなど、奥が深い手みやげ選び。これまで『たかが手みやげ』と考えていた人は、ぜひ、これを機会に『商談は手みやげ選びから始まる』と捉え、ビジネスパーソンとしての成長にもつなげていきましょう。

越石一彦(こしいし・かずひこ)

株式会社クライアントサイド・コンサルティング代表取締役。ブレーンネットワークを駆使した経営コンサルティングで企業経営者より絶大な信頼を得ており、日経新聞、日経トレンディー、週刊ダイヤモンド等にも取り上げられるなど精力的に活動。著書に『ビジネスで成功する決め手は、パーソナルブランド』(ゴマブックス株式会社)、『100億円を引きよせる 手みやげ』(総合法令出版)。

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