【脱「教えてもらって当然」!】 上司や先輩から指導されたときに思い出したい3つのこと
今年度も早いもので2か月が経ちました。新入社員の皆さんや今年度から新しい部署に配属となった皆さんは、日々できることが増え、上司から任される仕事が、段々と多くなってきた頃ではないでしょうか。ですが、そんな中でも、時には「これって雑務じゃ…」と感じたり、目的がわからない業務の対応にちょっと嫌気がさしたり、なんてことも正直ありますよね。
とはいえ、指導者側も、どのように伝えたら理解されるのか、どう教えたら行動できるのかを常に考えているもの。「指導者はどういう意図で、その仕事を任せているのか?」指導者の考えや想いについて、その立場になって少し考えてみましょう。
「働く意欲」をマネージメント。弟子の店も繁盛させるうどん職人
だいぶ前の話になりますが、指導者の想いが伝わってくるなぁと感じたテレビ番組(※)を見ました。
そこで紹介されていたのは、うどん激戦区の香川県で、年間15万人が訪れる人気店「もり家」を営む森田真司さん。日本を代表する手打ちうどん職人で、これまで育て上げた9人の弟子の師匠であり、独立させた弟子の店も繁盛させる凄腕の指導者です。
そんな森田さんが気になっていたのは、修行11年目のあるお弟子さん。うどん打ちとしての腕はすでに折り紙つき。ですが、「それだけで終わってほしくない」。森田さんは、日々の仕事の中で、次の目標が見えていないと見抜いていました。職人としてだけではなく、店を切り盛りするリーダーシップを発揮してほしい、もしくは人を動かす視点を培ってほしいということでしょう。ひいては独立し、店を持つ経営者にまで育ってほしいという想いもあったのかもしれません。
そこで森田さんは、自分が不在間、このお弟子さんに「店長代理」を任せました。仕事ではシミュレーションも大切ですが、実践に勝る経験はありません。成長の機会を与えることで、次のステージに進む時が来ていることを示唆したのでしょう。このまま修行を続けていても、自分で次の目標を見つけない限りモチベーションが上がらず、成長もしない。「店長代理」が終わり、自身で振り返りができたであろう最適なタイミングで、「この先どうするのか」といった根本的な問題を指摘し、それを解決するよう促したのです。
それをきっかけに、彼は「まず店長になり、それから自分の店を作りたい」と決意。次に目指す『具体的な目標』ができたことで、仕事に向かう姿勢が変わったのです。
実はいつでも期待されている! 上司や先輩の立場から考えでみよう
上記は、森田さんの指導の一例でしかありません。ですが、お弟子さんを思う師匠としての考えや想いやりが垣間見えます。厳密にいえば、職人とビジネスパーソンでは、お弟子さんや部下にコミットすることの大きさは全く異なるかもしれません。ですが、レベルの差こそあれ、日々オフィスで似たようなことが起きてはいませんか?
あなたが上司や先輩から指導された時には以下の3つのことを思い出し、ぜひ考えを巡らせてみてください。少し謙虚な気持ちで、指導を受け止められるかもしれません。
上司や先輩から指導されたときに思い出したい3つのこと
1.機会を与えてくれた指導者にも、覚悟がある
このお弟子さんではありませんが、経験や能力がギリギリ、もしくはそれを少し上回るような仕事を任された場合、よい成長機会になることがよくあります。「環境が人を作る」などと言いますが、その時の実力以上と考えられる仕事や役割を任されることは稀。ですから、そのような機会を与えてくれた上司や先輩には、感謝しましょう。
任せた方も「育てるために、あえて」という気持ちがあるはず。むしろ判断に迷ったり、経験したことのない業務などは、積極的に相談すると任せた方にも様子がわかるというもの。相談に乗ってくれたり、フォローを入れてくれたりするはず。そして、任せてくれた想いに応えるよう、きちんと仕事をしましょう。手を抜かなければ、実力も伴ってくるはずです。
2.「働く意欲」には敏感。モチベーションもマネージメント
仕事でドジったり、プライベートで何かあった場合など、急に「働く意欲」が落ちると大半は上司や先輩に気づかれますよね。部下の「働く意欲」にアンテナを張り、それをうまくコントロールするのも上司の力量。基本的に独り立ちしたら、モチベーションは自分でコントロールできなければいけません。
しかし、人間いつでも同じという訳にはいきませんので、常に頑張ることは難しいものです。だからこそ、ちょっとしたアドバイスや声かけなどで、あなたのモチベーションを喚起してくれる存在は大切です。上司や先輩は、経験の浅いあなたに注意を払ってくれているのです。
ちなみにそれは、あなたが組織の一員だからでもあります。陰から見守られているのと同時に、組織で行う仕事の一部を任されていることも肝に銘じておきましょう。
3.「人の面倒を見ること」は、その人に対して責任が生じる
例えば、師匠と弟子とった関係の場合、師匠は弟子が「技術で生活できるだけの道筋をつけてやる」という想いがあるといいます。ビジネスパーソンの場合、そこまでではないのかもしれませんが、それでも自分の組織やチームに人を採用したり、別の部署からひっぱった場合など、その人が力を発揮できているか、成長できているかなど、心を砕いています。それは、その人に対して一定期間のキャリアを担わせる環境を提供した責任を負うから。
少し大きな話となりましたが、極論すれば日々携わる仕事での指南も同じではないでしょうか。例えば「A先輩はこういったが、B先輩はこういった」というようなことがあるかもしれません。が、A先輩もB先輩も、次にあなたが取る行動に責任を負った上で指示している、とも言えるのです。それぞれが指示してくれた意図も汲み取ってみましょう。
慣れない仕事が多く、教えられるばかりで疲弊している方もいるかもしれません。ですが、指導する側が本当にあなたのことを思って指南しているかどうか、ある程度は分かるはず。きちんと目的と合わせて仕事を振ってくれる人がいたら、それはあなたにとって、とてもありがたい存在と捉えてみましょう。
もし頼まれたことで「納得がいかない」「目的がわからない」ことが生じた場合は、それをどこかのタイミングで依頼者へ素直に伝え、意図を確認することをお勧めします。すべてがあなたのための仕事ではないにしても、そのコミュニケーションが仕事をするモチベーションや意味づけになるかもしれません。指導してくれる上司や先輩の気持ちを少し慮って、今やすべきことを少し頑張ってみてはいかがでしょうか。自分のためでもあり、上司や先輩の期待に応えることにもなると思いますよ。
さらに、あなたが先輩となった時には、後輩に対する表面的な伝え方や接し方だけではなく、指導のおける信条や姿勢を考えるのに役立つはずです!
※参考:NHK 番組「プロフェッショナル仕事の流儀」
真心で極みを目指す/手打ちうどん職人・森田真司
http://www.nhk.or.jp/professional/2015/0413/
FRETTY 2015年5月30日掲載記事より改編・転載
監修:リクナビネクストジャーナル編集部
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