「家畜」ではなく「いのち」に向き合う――福島原発20キロ圏内の見捨てられた動物たちを救え

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 東日本大震災からはや7カ月。いまだ収束しない福島第1原発事故は、人間だけではなく動物たちからも日常を奪っていった。事故後、畜産家や酪農家たちは家畜を置いての避難を余儀なくされた。いま福島第1原発から20キロ圏内の警戒区域内では、取り残された動物たちの凄惨な状況が広がっている。

 アルピニストの野口健さんのブログなど、警戒区域内に入った方々リポートを見ると、人影もなく無法地帯となった街をさまよう動物たちの姿が報告されている。空腹のあまり排泄した糞尿を食べ、しまいには共食いする犬猫。厩舎につながれたまま餓死していった豚や牛の屍の山。ツンと鼻を付くほど強烈だという腐敗臭。そして死体に群がるおびただしい数のウジ――まるで地獄絵図だ。

 福島県はそういった現状を踏まえ、2011年4月15日に動物救護本部を設置し、ペット等の保護に乗り出した。しかし家畜については4月24日、衛生上などの問題から殺処分を決定。野口さんによると4月19日の時点で牛約3500頭、豚約3万匹が取り残されていたが、5月の調査では牛が1300頭、豚が200頭と相当数減少したという。

 このような状況の中、必死に生きようとしている「いのち」を守るため、立ち上がった畜産家がいる。エム牧場浪江農場長の吉沢正己さんだ。吉沢さんは、被ばくによって家畜としての価値が無くなった牛たちに、被ばく・除染の研究や実証対象という、新たな”生きる道”を提供していくプロジェクト、「希望の牧場プロジェクト」を立ち上げた。現在「決死救命・団結!」というスローガンのもと、自身の被ばくも顧みず、原発から14キロの牧場で牛たちに餌と水を与え続けている。家畜としての経済価値はゼロになったが、人間も動物も「いのち」の重さはみな同じ。「家畜」としてではなく「いのち」に向き合う吉沢さんの姿には心を打たれる。

 ニコニコ生放送では吉沢さんや野口さんら、福島原発20キロ圏内に入って現場を見てきた方々をゲストに迎え、警戒区域の動物たちの悲惨な現状を、写真や動画とともに伝える。放送は今夜19時開始予定となっている。

決死救命!これが福島原発20キロ圏内の惨状だ!~見捨てられた動物たち~

◇関連サイト
・[ニコニコ生放送]決死救命!これが福島原発20km圏内の惨状だ!~見捨てられた動物たち~ – 会員登録が必要
http://live.nicovideo.jp/watch/lv66206839?po=news&ref=news
・福島第一原発、20キロ圏内の世界 – 野口健公式サイト
http://www.noguchi-ken.com/message/b_num/2011/20110730.html
・Farm Sunctuary 希望の牧場~ふくしま~ Official BLOG
http://fukushima-farmsanctuary.blogzine.jp/

(中村真里江)

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