「近居」は、働く女性の子育てや仕事の救世主になるか!?

「近居」は、働く女性の子育てや仕事の救世主になるか!?

UR都市機構(独立行政法人都市再生機構)が、働く母親900名に「親世帯との近居」あり/なし(各450名)で「子育てと仕事の両立」についてどう違うのか調査した。「近居」の定義は自動車や電車等で1時間以内となっている。その結果を見る限りは、近居のほうが非近居よりも有利な面が多いようだが……。詳しく見ていこう。【今週の住活トピック】

「働くママに聞く 子育てと仕事の両立に関する調査」を公表/UR都市機構

近居のほうが子どもをたくさんほしいと志向する傾向が強い

まず、「理想としていた」子どもの数と「実際の」子どもの数を聞いている。「実際の子どもの数」では、近居では1.77人、非近居では1.69人で、やや近居のほうが子どもは多い。興味深いのは「理想の子どもの数」で、非近居では「2人」が62.7%、「3人」が23.1%なのに対し、近居では「2人」は56.7%と非近居よりやや少ないが、「3人」が34.2%と、非近居に比べて10.9ポイントも高くなっている。近居のほうが、たくさん子どもをほしいと志向していたということだ。【図1】あなたご自身のお子さまの人数は何人ですか。また、理想としていたお子さまの人数は何人ですか。(出典:UR都市機構「働くママに聞く 子育てと仕事の両立に関する調査」)

【図1】あなたご自身のお子さまの人数は何人ですか。また、理想としていたお子さまの人数は何人ですか。(出典:UR都市機構「働くママに聞く 子育てと仕事の両立に関する調査」)

親世帯の協力があれば、子育てと仕事が両立しやすい?

次に、子育てと仕事の両立において、どんな課題や悩みを感じるか聞いたところ、近居も非近居も、「疲れている時に子どもを怒ったり、感情的にしかってしまう」、「家事が十分に行き届かないこと」が上位に挙がった。

一方、近居と非近居で開きがある項目に着目してみると、「家事や育児に対する親(世帯)の協力が不足していると感じる」(13.8ポイント差)、「子どもが急病になった時に仕事を休む・早退するなどの調整が必要なこと」(9.8ポイント差)、「学校や園への子どもの送り迎えが大変であること」(9.4ポイント差)、「子どもの学校の行事・イベントの出席のために仕事を休む・早退するなどの調整が必要なこと」(8.7ポイント差)などが該当する。

子育て中の働く女性は、育児や家事の時間が十分取れないことや、子どもへの対応で仕事を休んだり早退したりといった職場への影響など、さまざまなことに悩んでいる。そのなかでも、近居のほうが、万一のときや日常の送り迎えなどで、親世帯の協力がある程度期待できるということなのだろう。【図2】現在、子育てと仕事の両立において、どのような点を課題・悩みと感じていますか。※図中で赤枠の項目は、特に「近居」と「非近居」で差が開いている項目(出典:UR都市機構「働くママに聞く 子育てと仕事の両立に関する調査」)

【図2】現在、子育てと仕事の両立において、どのような点を課題・悩みと感じていますか。※図中で赤枠の項目は、特に「近居」と「非近居」で差が開いている項目(出典:UR都市機構「働くママに聞く 子育てと仕事の両立に関する調査」)

近居はあくまで「ほどよい距離」で「ほどよい関係」に

調査結果では、近居のほうが非近居より、子育てと仕事の両立で有利と見える結果も多い。

ただし、この調査では「近居」を自動車や電車等で1時間以内の距離と設定している。地域や家族の状態などによる違いもあるだろうが、東京に住む筆者の実感値では、1時間というのはまだ遠く感じる。30分程度というのが頼みごとをしやすい距離という印象だ。

一方で、何かあったときに駆け付けてくれる距離というのは、反面、生活に干渉されやすい距離でもある。いわゆる「ほどよい距離」というのが「近居」の理想だろう。

また、近くにいてくれれば助けを求めたいと思う親子関係もあれば、近くにいると親の過干渉や子どもの親依存のリスクが生じるという親子関係もある。近居=親世帯がサポートしてくれて助かるとは、必ずしも言い切れない。

とはいえ、やっぱり頼れるのは実家、特に妻の実家だろう。夫妻それぞれの両親ともよく話し合い、仕事が休めないときのサポートをしてほしいとか、孫の誕生会などのイベントに招待するとか、一定の決まり事を設けておくというのが、近居がうまくいくポイントだろう。
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