「インフレは基本的に良くない」「増税は世代間の綱引き」――池田信夫ら経済学者が議論
バブル崩壊からいまだ立ち直れない日本経済、その結果による長期間のデフレ、遅々として進まない財政再建――。2011年9月24日夜に放送されたニコニコ生放送、「池田信夫のいまさら聞けない経済学~お札を刷ればデフレは止まるのか?~」では、池田信夫氏(上武大学教授)ら4人の経済学者が、今後の政府、日銀の金融政策がどうあるべきかを議論した。
日本の国債(国の借金)について、2017年~2020年あたりで消化(返済)が難しくなるという予想が示されると、その解決策のひとつとして「政府が国債をすべて日銀に引き受けさせる」、つまり日銀が大量の現金を発行して、政府の国債をすべて買い取るという手段(バーナンキの背理法)もあると、池田氏が議論上あえて一部リフレ(インフレ)派の主張を取り上げて問題提起。すると、出席した経済学者たちは「過度のインフレを引き起こしかねないため、現実的ではない」との見解を示した。
特に小幡績氏(慶応大学准教授)は、
「インフレは基本的に良くない。なぜなら、(現在の景気では)『物価』が上がっても『賃金』が上がらない。『賃金』が安くても働きたい人はいっぱいいる。(賃金が上がらないまま)牛丼やハンバーガーが1000円になってしまったら、もう誰も生活していけない」
と述べ、賃金が上がらず物価だけが上がる「物のインフレ」の問題点を指摘。さらに「資産のインフレ」が、海外への資産流失や貧富の差の拡大を招くなど、日本経済に良い影響を与えることは無いという考えを示した。
■増税は”世代間の綱引き”
また、日本の財政再建に向けて「増税」は避けられないという見方がある。先月の民主党代表選で、唯一の増税論者であった野田佳彦氏が首相となったことから、急速に活発となっている増税議論について、池田氏は、
「増税をするかしないかという選択は実はウソであって、(増税を)『いま』するか、『あとで』するかという問題。(現役世代と将来世代の)世代間の負担の問題」
と述べ、もはや不可避である増税の現状を「世代間の綱引き」であると表現した。ニコ生視聴者へ行われたアンケートでは、増税に「賛成」が34.7%、「反対」が65.3%という結果となった。
◇関連サイト
・[ニコニコ生放送]小幡氏の「なぜインフレにしてはいけないのか」から視聴 – 会員登録が必要
http://live.nicovideo.jp/watch/lv64613466?po=news&ref=rews#50:22
・[ニコニコ生放送]池田氏の「増税の世代間の負担」から視聴 – 会員登録が必要
http://live.nicovideo.jp/watch/lv64613466?po=news&ref=rews#1:23:25
(内田智隆)
【関連記事】
野田首相が所信表明演説「力を合わせて危機に立ち向かおう」
野田氏、自公との”大連立”検討を明言「救国内閣をつくるべき」
枝野新経産相「中小企業をいかに維持できるかがポイント」
藤村官房長官、東アジア共同体「撤回したわけではない」
池田信夫「信用できる個人の時代に」 3.11以降のメディアを語る
ウェブサイト: http://news.nicovideo.jp/
- ガジェット通信編集部への情報提供はこちら
- 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。