中国が尖閣を攻めて来たら? 激論 元・米国務省日本部長vs元・防衛大学校教授

「日本の領土が攻撃されたらアメリカは絶対対処する」とメア氏

 「尖閣事件があったとき、中国の国内でいろいろ反日デモがあったでしょう。一部の人たちは横断幕を持って、『琉球奪還』とハッキリ掲げていた。(中国では)中国政府の許可がないと、そういうデモとかできないでしょう」(メア氏)

 軍事力を増強する中国の海洋権益拡大は、日本にとっての脅威である。日米同盟はそれに対する「抑止力」の1つだが、一方で米軍基地の問題など課題も山積している。今後、日米同盟はどうあるべきなのか。2011年9月24日のニコニコ生放送では、ジャーナリストの岩上安身氏司会のもと、米国務省元日本部長のケビン・メア氏と元防衛大学校教授の孫崎享氏が対談した。

 2005年の日米安全保障協議委員会(「2+2」)による、「日米同盟:未来のための変革と再編」では、島嶼(とうしょ。大小の島じまのこと)部への侵略やゲリラ、弾道ミサイルなどによる攻撃について、日本が「自らを防衛し、周辺事態に対応する」と書かれている。岩上氏は、外相への取材経験も絡めて、この部分とアメリカの対日防衛義務を定めた日米安保条約第5条との食い違いを指摘する。尖閣事件後、クリントン国務長官は、前原誠司元外相との会談で、尖閣諸島に安保5条が適用されると明言しているが、米軍は動いてくれるのだろうか。

 これについて、2005年の日米安全保障協議委員会にも関与していたメア氏は、

「日本の防衛が日本の自衛隊から始まるのは当たり前のことじゃないですか。そうしたら、アメリカも防衛します。目的は新たな脅威に対応できるような能力を自衛隊と在日米軍相互で向上させること。『自衛隊が出たらアメリカが後から来る』とかそういう概念、『どっちが先に行く』という問題ではない。それはそのときの戦術的な問題になる」

と回答するが、今度は孫崎氏が2001年から2005年まで国務副長官を務めたリチャード・アーミテージ氏の著書を引きながら食らいつく。

■尖閣を取られたらアメリカは手を引く?

アーミテージ氏の著書から引用して指摘する孫崎氏

 孫崎氏によれば、アーミテージ氏は『日米同盟VS.中国・北朝鮮』(文春新書)の中で、「日本が自ら尖閣を守らなければ、日本の施政下になくなり、我々も尖閣を守ることができなくなるんですよ」と書いている。これは、尖閣諸島が占領され、管轄権が中国に移れば、安保5条が「日本国の施政の下にある領域」を条件としているために、米軍が動かない理由になりえると解釈できるという。

これに対して、メア氏は、

「それは孫崎さんの解釈。それはすごく抽象的な話です。具体的な作戦計画がある。もちろん、公開しないですよ。でも、日本の領土に攻撃があったら、アメリカは絶対対処しますよ。中国が領土をとったら安保条約の対処にならないというのは学者たちしか考えてない」

と反論。「だからこそ米軍が日本にいる。だからこそ毎日訓練している。だからこそ、在日米軍の若い兵士たちが自分の命を犠牲にする用意がある」と在日米軍の意義を強調した。

◇関連サイト
・[ニコニコ生放送]日本の防衛に関するメア氏の発言から視聴 – 会員登録が必要
http://live.nicovideo.jp/watch/lv64027201?po=news&ref=news#0:42:01

(野吟りん)

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