期待しないで観ると損をする!『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』は最高傑作!

access_time create folderエンタメ ガジェ通

よく、映画作品に対して「期待しないで観て」といわれることがあるのだが、期待しなかったせいで損をすることがある。「なんだよ! こんなにオモシロいなら気合入れて観たのに!」と思ってしまうことがあるのだ。その典型的な例が『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』だ。

正直なところ、マーヴル・コミックの映画作品のなかでも『X-MEN』シリーズは地味に感じていたし、物語の起伏があまりない、どちらかというとテレビシリーズのドラマを観ているかのような作品だった。期待しすぎたのでそう感じてしまったのかもしれないが、すべてのシリーズを観ての感想なので「オモシロいがオモシロすぎない」作品だったのである。それが、正直なこびない感想だ。

しかし、正直、『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』にはヤラれた。「こんなにオモシロいX-MEN作れるなら最初から作れよ!」と、エンディングロールが流れるのを眺めながら興奮しつつ、つぶやいてしまったほどである。その楽しさはどこにあるのか? いくつか解説していこう。

・ストーリーが単純明快
すで用意してある世界観に観客を取り入れるため、説明ったらしい描写で無理やり理解させるという技を使うことがあるが、『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』にはそれがない。説明をしなくとも場面場面で映し出されるウルヴァリンたちの行動が必然的に説明になっているのだ。そして、ウルヴァリンたちが何かに向かって行動していくその理由もシンプルであり、誰もが共感できる理由になっている。ストーリーは単純明快ながら、実はどんどん深い物語へと発展していく。いまの映画には少ない、非常にテクニックのいる手法だ。

・過去の作品を知らなくても100%楽しめる
過去の作品を知っていれば101%は楽しめるかもしれない。しかし、知らなくても100%楽しめる。えてして、過去の作品を知っていれば120%楽しめる映画は、知らない人からすると50~70%しか楽しめないものが多い。『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』はシリーズの時系列のなかでいちばん最初の話となっているので過去の作品を知らなくても理解はできるのだが、この作品はファンでもはじめて観る人でも、万人が楽しめる『X-MEN』といえるだろう。「こんな世界観で繰り広げられる映画です。さあ、頑張って世界観を理解しましょう」ということがない映画。つまり、観ているだけでいい映画といえる。万人が楽しめる作品ほど、作るのが難しいものはない。よって、娯楽作品としてシリーズ最高傑作である。

・リズミカルでスピーディーなストーリー展開
ダラダラするシーンがない。常に意味のあるシーンばかりで「もっとゆっくりやっても良かったかも?」という監督の声が聞こえてきそうなくらいスピーディーかつ躍動感あふれる展開となっている。「映画に意味がないシーンなんてないよ!」という声もあるだろうが、つまりは、中だるみがまったくない映画ということを言いたい。そして、「これが能力者たちのバトルなのか!?」と驚くほど、いままでの『X-MEN』シリーズにないバトル描写がある。それを観るだけでも価値のある作品となっている。

・無理も矛盾もないストーリー設定
従来の『X-MEN』シリーズは派閥が存在し、敵となり味方となりバトルを繰り広げることがメインとなっていた。ファンならまだしも、どうして敵対しているのかわからないといった人もいるだろう。敵になっている理由を理解はしていても、動機付けとしてあまり共感できない部分もあっただろう。しかし、今回の『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』の敵は派閥ではなく完全なる悪。ウルヴァリンにとってそれは絶対的な悪であり、どうしても闘わなくてはならない理由がある。そこに観客がのめりこむことができる。のめり込むには、主人公に感情移入しなくてはならない。大丈夫。かなりショッキングな出来事があなたの感情をウルヴァリンに引き込むことだろう。

『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』を観に行くなら「期待して行け!」と言いたい。映画の最後に、あの人物がやや若い状態で登場する。そのシーンで鳥肌が立った人は……、いや、何も言うまい。
 
作品名: 『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』
公開日: 2009年9月TOHOシネマズ日劇ほか全国ロードショー
公式サイト: http://movies.foxjapan.com/wolverine/
配給: 20世紀フォックス映画配給
(C)2009 TWENTIETH CENTURY FOX
 

■こんな映画の記事もあります
『プリズン・ブレイク4』が『ファイナルシーズン』になったワケ
人気漫画『デスノート』がハリウッド映画化決定! 米誌「ワーナーが映画権を獲得」
タランティーノ×ブラッド・ピット最新作『イングロリアス・バスターズ』日本公開決定

  1. HOME
  2. エンタメ
  3. 期待しないで観ると損をする!『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』は最高傑作!
access_time create folderエンタメ ガジェ通
  • ガジェット通信編集部への情報提供はこちら
  • 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。