菅首相に”辞任”の文字なし

内閣不信任案の否決を受け、2011年6月2日夜に会見した菅直人首相

 菅直人首相は2011年6月2日夜、首相官邸で行われた記者会見でニコニコ動画の質問に対し、「(工程表で言う)ステップ2が完了して放射性物質の放出がほぼなくなり、冷温停止という状態になる。そのことが原子力事故の一定のめどだ」と述べ、早期退陣はせず、工程表の進捗状況から辞任は年明け以降となる可能性が濃厚となった。

 2日正午から行われた民主党代議士会での首相発言を受け、各社はいっせいに「退陣表明」と報道。しかしながら報道の引き金となった首相の発言は「”一定のめど”がついた段階で、若い世代に責任を引き継いでいただきたい」という幅広い解釈が可能な具体性に欠けるもので、代議士会前に鳩山由紀夫前首相とかわした覚書にも「辞任」の文字はなかった。

 これを受け同日夜に開かれた記者会見は、首相の辞任の意思の確認と首相の言う”一定のめど”すなわち辞任の時期がいつなのかが最大の焦点となった。

 質疑では繰り返し記者団から退陣時期に関する直球質問が投げかけられ、そのたびに総理は「代議士会での発言のとおり」とかわし続けた。しかしその後のニコニコ動画からの工程表に絡めた質問に対して、総理自ら”一定のめど”に言及するかたちとなった。

 菅首相とニコニコ動画の記者(七尾功)との一問一答は以下のとおり。

七尾記者: 原発事故に関しまして避難民の方は一日も早く自宅に帰りたいというお気持ちだと思います。総理も直接こうした被災者の方々の願いをお聞きしていると思います。工程表のお話が出ましたが、避難民の自宅への帰還を、総理として見届けるお考えでしょうか。

菅首相: 見届ける?

七尾記者: はい。総理として帰還までです。

菅首相: 工程表で言いますと、ステップ2が完了して放射性物質の放出がほぼなくなり、冷温停止という状態になる。そのことが私はこの原子力事故のまさに一定のめどだと思っております。ただ、帰還の問題は必ずしも、その時点ですべての方向性が決まるかどうか――これはいろいろとモニタリングをしたり、あるいは除染をしたりということも含めて、もう少し時間がかかる可能性は十分あると思っています。

◇関連サイト
・[ニコニコ生放送]七尾記者質問部分から視聴 – 会員登録が必要
http://live.nicovideo.jp/watch/lv51996464?ref=news#20:01

(七尾功)

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