海水注入継続の客観データなしに「裏づけがとれてないから公表しないというのは情報を隠すことになる」
東京電力は2011年5月26日、福島第1原子力発電所で3月12日に1号機の原子炉を冷却するための海水注入が一時中断したとされていた問題で、実際には海水注入は中断されておらず「継続していた」と発表した。しかしながらこの”新たな事実”は、東京電力による吉田昌郎福島第1原子力発電所長ら数名への聞き取りのみによるもので、現在までのところ、注水を継続していたとする客観的なデータは示されていない。
この点について枝野幸男官房長官は5月27日午前の会見で、「政府として得られた情報のすべてにおいて、確実な裏づけをとることが残念ながらできない状況にある」と認めつつ、「一定の確度のあるものについては、(国民に対して)しっかりと説明するのが政府の責任役割である」ことを強調。「裏づけがとれていないから出さないということでは逆に情報を隠すことになってしまう」と語った。
会見でニコニコ動画の記者(七尾功)が枝野長官に、「吉田所長の判断で海水注入が継続されていたと断言できるだけの客観的なデータが十分示されていない点」について質問。
これに対し枝野長官は、
「政府として得られた情報について、すべてにおいて確実な裏づけをとることが残念ながらできない状況にある。例えば最近では、各原子炉の燃料全体が溶けているのではないかというのもこれも専門家の皆さんの分析、推測である」
と前置きした上で、
「ただ、まさに国民の皆さんの広い意味では健康、生命にもかかわる重大事項であり関心の高い事項であるので、私どもの立場としては得られた情報については、よほどの疑いの高いものや確度の低いものついては別だが、一定の確度のあるものについては、それはしっかりと公開、説明を申し上げるのがむしろ責任役割であって、裏づけがとれていないから出さないということでは逆に情報を隠すことになってしまうと思っている」
と述べた。続けて
「そうした意味ではもちろん、政府としてその情報が正確なものであるかということについての確認は今後さらに一層留意をしなければいけないと思っているが、東京電力が責任をもって吉田所長等にヒアリングを行って報告をされていることであるので、少なくとも(国民に)ご報告を申し上げるべき程度の確実性はあるものだと思っている」
と語った。
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(七尾功)
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