【死に至る伝染病蔓延を防ぐ】スマホと連動、血中の寄生虫を検出する画期的なツール
2014年にアフリカで大流行した“エボラ出血熱”のような、命に関わる寄生虫感染病の対策に、スマートフォンと連動する顕微鏡ツールが開発されているという。
・わずか数分で、血中寄生虫を検出するツール
それが、カリフォルニア大学バークレー校のDaniel Fletcher氏らが所属する研究チームが手がける、「CellScope Loa」というツール。
感染症の疑いがある血液サンプルを、わずか数分以内でテストできるという、画期的な技術である。
・人々の命を脅かす“ロア糸状虫”
アフリカや熱帯地域には、さまざまな血中寄生虫が存在しており、人々の命を脅かす重大な驚異になっている。その中の1つが“ロア糸状虫”だ。
この“ロア糸状虫”に感染している人が、その他の寄生虫病である“河川盲目症”や“象皮病”の治療薬を投薬された場合に、生命に関わる致命的な影響を引き起こす可能性があるという。
だからこそ、患者が“ロア糸状虫”に感染していないかどうか、しっかりと見極めることが大変重要になる。
・3Dプリントで出力したベースの上に、スマホをセット
この「CellScope Loa」は、3Dプリントで出力されたプラスチック製のベース部分の上に、スマートフォンをセットして用いる。
ベース部分には、LEDライト、マイクロコントローラー、回路基板、USBポートのほか、スマートフォンと通信するためのBluetooth接続機能などを搭載。
・システムが寄生虫をカウント
ちょうどスマートフォンカメラの下にくるように高機能のレンズが配置されている。血液サンプルがセットされると、複雑なアルゴリズムが作動する。
スマートフォンがビデオキャプチャして血液中の虫の動きを検出し、計測された寄生虫の結果を、スクリーンに表示するという流れだ。
・ヒューマンエラーをなくし、プロセス処理も容易に
これまでの試験方法では、専門知識をもつ科学者が、人力で血液サンプル内の寄生虫の数を数え上げており、抽出サンプルは専門家によって取り扱われ、適切な処置を施す必要があった。
「CellScope Loa」なら、自動で寄生虫の数を測定するので、人力ならではの数え間違いなどのエラーが生じる心配もなく、大幅に労力を削減できるようになる。
また、プロセス処理も自動でおこなってくれるため、専門知識がある人間でなくても取り扱える点も大きなメリット。
・カメルーンでテスト運用
これまでにアフリカのカメルーンでテスト運用がおこなわれており、既存の方法に比べて、わずか3分以内でテストが終了するこの方法は、大きな効果を上げているという。
・将来的には、他の病への運用も視野に
研究チームでは、将来的には“ロア糸状虫”だけでなく、マラリア、結核などの他の病にも対応できるようにしていきたい意向。いち早い実際的な運用が待たれる。
ウェブサイト: https://techable.jp/
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