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Flashゲームをビジネスにする7つの方法

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未来検索ブラジルが運営するゲームコミュニティ『モゲラ』では、仮想通貨『モリタポ』を使った小額課金の仕組みをクリエーターに提案しています。今のところ「Flashゲームはタダで遊べるもの」という認識が一般的ですが、これまでにもFlashゲームをビジネスにする、様々な試みがなされてきました。ここでは、主にクリエーターからの視点を中心に、Flashゲームをビジネスにする7つの方法と、それぞれのビジネスモデルを考察していきます(未来検索ガジェット通信編集部・宮原俊介)。

ビジネスモデル(1):売却
「お仕事」としてゲームを制作する場合、クライアントからゲーム制作を受注する、あるいは既に制作したゲームを買い取ってもらう、という売却型ビジネスが主流となっています。

買い取る側のクライアントは、ゲームコンテンツを集めているポータルサイト、キャンペーンサイトにゲームを置きたい企業など。買い取ることにより、コンテンツを資産として管理できる、キャンペーン予算など一時的なコストのみでコンテンツを獲得できるなど、買い取り側にメリットが大きいのが特徴です。

売る側のクリエーターとしては、ほとんどの場合、納品時にコンテンツの権利をクライアントに譲渡する必要があります。類似するゲームを作れないように契約で縛られたり、受託制作の場合はクライアントの要望により修正が重なり、制作期間が長くなるなど、クリエーターにとってはありがたくない条件がついてくるケースも。ただし、権利を渡すことで動くお金も大きくなるので、お仕事としては魅力的なモデルと言えるでしょう。

ビジネスモデル(2):ライセンス
クライアントに、ゲームを期間貸しするビジネスモデル。ここでは、クリエーターが月額や年額などでライセンス料を徴収するケースを指します。

クライアントは買い取りのケースと比べて安価にコンテンツを獲得でき、クリエーターは権利を譲渡しなくて済む、と両者にとってメリットが大きいモデルに見えるのが特徴です。

ところが、クライアントは継続的にライセンス料がコストとして発生することを嫌います。それでもクライアントを口説き落として成約させるには、コンテンツのブランド力とクリエーターの営業能力が必要になるため、一般にライセンス型のビジネスモデルの事例は少ないのが実情と言えるでしょう。

ビジネスモデル(3):広告
ゲーム、あるいはゲームページに広告を表示し、広告収益を得るビジネスモデル。アフィリエイト広告を掲載するケース、広告で収益を上げるポータルサイトと配信契約を結ぶケースも含まれます。

広告モデルの場合、いかに多くのページビューを稼げるかが収益を左右するため、トラフィックの集まる巨大サイトほど大きな収益を上げられることが特徴となります。

従来、トラフィックを集められるウェブサイトは、大手ポータルに限られていました。ウェブゲームの場合、最近では海外のブログやゲーム紹介サイトで取り上げられると一気に世界中からトラフィックを集められることから、個人クリエーターのサイトでも大量のページビューを誇るものが現れています。『Google AdSense』を使えば、海外からページを見るユーザーには、その国向けの広告が配信されるため、海外からもトラフィックを集められれば大きな収益が期待できます。

海外では、Googleがゲーム再生前に『AdSense』を表示する『AdSense for Games』、MochiMedia社がFlashゲームに特化した広告ネットワークと配信システム『MochiAds』をそれぞれ提供するなど、個人でも導入できるオープンな広告システムの整備が進んでいます。日本でも『@nifty ゲーム』『gooゲーム』や、2009年1月にサービスを終了した『Shockwave』が独自の広告配信システムを実装していますが、いずれも各ポータルで販売する広告枠の中で広告を掲載するもの。海外のようにオープンな広告ネットワークの整備が待たれるところです。

ビジネスモデル(4):月額課金
ユーザーから、利用料金を月額で徴収するビジネスモデル。1999年にNTTドコモが開始した『iモード』の爆発的な普及、『リネージュ』(エヌ・シー・ジャパン)や『ラグナロクオンライン』(ガンホー・オンライン・エンターテインメント)など、2001年~2002年に登場したオンラインゲームでの成功を受けて、Flashゲームでも月額課金への試みがなされました。

一度課金したユーザーが複数月にわたって、そのまま料金を支払う可能性が高いこと、長期的に運営すれば解約率がほぼ一定になることから、会員獲得に成功すれば、安定した収益が期待できることが特徴です。一方、ユーザーが月額で数百円~千数百円の料金を支払い続ける程ボリュームあるコンテンツを用意するには、開発のリソースも膨大になります。また、有料会員を獲得するには、ユーザーがある程度無料でプレイできる内容を提供する必要があり、無料プレイと有料プレイの差別化と、そのさじ加減が難しい、という点がネックとなります。

月額課金は当初、プロバイダー決済やクレジットカードによる課金システムを利用する必要があるため、大手ポータルのみが可能な課金方法でした。『shockwave.com(当時)』が2002年にRPG『EVIL GATE』で、一定の行動ポイント消費後に月額課金へ移行するサービスを提供したほか、2004年に『so-net』がオンラインゲーム『リヴリーアイランド』でプレミアム会員エリア『G.L.L』へ課金を開始した事例などがあります。

現在は、『WebMoney』を利用することにより、個人や小企業でも月額課金を導入可能になっていますが、導入には技術的ハードルが高いことや、前述した開発ボリュームの点で、個人ではなかなか導入が難しいのが現状です。現在では、前述の『リヴリーアイランド』と、プレミアム版に月額で課金するオンライン麻雀『天鳳』(シー・エッグ)を除き、海外を含め月額課金の目立った事例は見られません。

ビジネスモデル(5):アイテム課金
ユーザーは基本無料でプレイ可能にしておき、ゲーム内の特定のアイテムやアバターに課金するビジネスモデル。オンラインゲームでは月額課金からアイテム課金に主流が移っていることを背景に、Flashゲームでも導入事例が見られるようになりました。

無料ユーザーを大量に囲い込むことができるため、有料会員の獲得がしやすい、コアユーザーの購入単価が高くなるなど、運営上のメリットはありますが、こちらも月額課金と同じ理由で個人や小企業による導入はハードルが高く、オンラインゲーム並みの開発費と運営費が必要となります。日本では2004年にオンラインカードゲーム『アルテイル』(デックスエンタテインメント、当時)で導入されています。

ビジネスモデル(6):投げ銭・チップ
クリエーターへの好意、あるいは支援の意志表示として、ユーザーに任意でクリエーターの口座へ特定の金額を振り込むことを促すビジネスモデル。元来、『Web投げ銭』のように、「ウェブサイト」あるいはそれを管理する「人」への寄付の概念を指すことが多く、Flashゲームのビジネスモデルとして取り上げるかどうかは議論の余地がありますが、クリエーター側からは関心が高く、今後の動向に注目が集まっています。

投げ銭やチップを実現する、確立したプラットフォームは現状では少ないですが、『PayPal』など小額決済の手段が普及段階を迎えていることから、今後伸びていく可能性には期待できます。一方、あくまでユーザーの厚意の上で成り立っているため、安定した収益を期待できないことが、ビジネスモデルとしてはネックとなるでしょう。

数は少ないものの、Flashゲームでも具体的な事例が見られます。『GROW』シリーズなどで知られる『EYEZMAZE』は、個人で運営するFlashゲームサイトですが、「ゲーム制作資金募集」として、カード決済、『PayPal』決済、銀行振り込みによるチップを受け付けています。チップ受け付けをシステム化して組み込んでいるのが、米国のFlashゲームコミュニティ『Kongregate』。ユーザーは『Kreds』と呼ぶ仮想通貨(10Kreds=約1米ドル)をカードや『PayPal』で購入し、ゲームページから『Tip Jar』と呼ぶクリエーターの口座に任意の『Kreds』を振り込むことができます。

ビジネスモデル(7):小額課金
小額の単位でユーザーから課金するビジネスモデル。サービスの単価を下げることにより、幅広いユーザーの利用が見込めること、小額の決済手段や、それを提供可能なプラットフォームが普及し始めていることから、Flashゲームでの導入事例が増えています。オンラインゲームほどの規模を持たないFlashゲームについては、小額課金のモデルが最も適していると筆者は考えます。

海外では前述の『Kongregate』が、『Kreds』を決済に利用する課金ゲームを提供しています。これはチップとは異なり、カードゲーム『Kongai』でのカード購入、マルチプレイヤーゲーム『DinoWaurs』でのアイテム購入などに『Kreds』が利用できるというもの。ちなみに、カードは1枚10Kreds(約1米ドル)、アイテムは10~30Kreds(約1~3米ドル)で販売されています。課金用のAPI(Application Programming Interface)は、Kongregateと契約を結び、比較的に開発規模が大きいマルチプレーヤーゲームを開発するパートナーに限定して公開されている模様。『Nonoba』や『Andrograde』といったゲームコミュニティは、登録クリエーターが自由に利用できる小額課金APIを提供していますが、まだ活発な利用にまで至っていないのが現状のようです。

Facebook』『MySpace』といったSNSも、海外では課金ゲームのプラットフォームとして認知されています。Zynga社Playfish社といったFlashゲーム開発会社は、これらSNSをプラットフォームにしてゲームを提供し、カードゲーム用チップ(5000枚で約1米ドル)やアイテム購入用のポイント(500枚で約1米ドル)、フルバージョンのゲーム(9.99米ドル)などを販売しています。

日本では、未来検索ブラジルがゲームコミュニティ『モゲラ』で、“1モリタポ=0.1円”で取引される仮想通貨『モリタポ』を使った小額課金APIの仕様を公開しています。2009年4月15日現在、ユーザーが登録した5種類(サンプルを除く)の課金ゲームが公開中です。京都創楽が運営する同人ゲームのコミュニティ『同人game.jp』は、ゲームやグラフィック素材を登録する際、1回のプレイや素材のダウンロードに必要なポイントを指定でき、同社が販売する“1ポイント=1円”のポイントによる課金が可能になっています。

事例紹介を含む全文を、『Adobe the edge newsletter』に寄稿しています。全文を読みたい方はこちら

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記者:

宮原俊介(編集長) 酒と音楽とプロレスを愛する、未来検索ブラジルのコンテンツプロデューサー。ゲームコミュニティ『モゲラ』も担当してます

ウェブサイト: http://mogera.jp/

TwitterID: shnskm

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