8年の歴史に幕 — 『Shockwave』が日本でのサービス終了へ
ゲームやFlashアニメーションを配信するエンターテインメントサイト『Shockwave』(http://jp.shockwave.com/)が、2009年1月31日で日本向けのサービスを終了することが明らかになりました。『shockwave.com』として2000年にサービスを開始してから8年、ついにその歴史の幕を閉じることとなります。ここで、これまでのShockwaveのサービスの歴史を振り返ってみましょう。
■米国版のローカライズから
サービス開始当初のコンテンツは、米国shockwave.comのコンテンツを日本向けに一部翻訳して提供したものが中心でした。ゲームでは『テトリス』、『ディフェンダー』など、アーケードゲームをWeb版に移植したタイトルが人気を集めます。
アニメーションでは、Joe Sparksの『ラディスカルとデビルドール』、米コメディ・セントラルの『サウスパーク』、ティム・バートン監督が手がけた『ステインボーイ』などを配信し、その後のFlashアニメーションに大きな影響を与えました。また、マドンナやキュアーなど音楽アーティストのプロモーションビデオをFlashで制作した『Shockwave シングル』のシリーズが注目を集めました。
■国内作品も徐々に充実へ
その後は国内メーカー、クリエーターの作品も配信を開始。Flashゲームでは『ZOO KEEPER』(ロボット)が爆発的なヒットとなったほか、テレビアニメ『OH! スーパーミルクチャン』の新シリーズ、秋元きつね氏のユニットnolabitによるFlashアニメ『ノラトリアム』など人気作品をリリースしていきます。
配信が終了したコンテンツでは、フジテレビで配信され、先ごろDVDがリリースされたFlashアニメ『CATMAN』も、Shockwaveで人気を集めた作品でした。うるまでるび氏による『おしりかじり虫』がFlashアニメ『うるまでるび GOLD』の中の1エピソードとして2004年に配信されていたことは、今では知る人ぞ知る事実となっています。
■人気クリエーターの発掘も
CATMANの青池良輔氏に加え、Flashゲーム『モアイまわし』などで知られるタカヒロウ(宮澤卓宏)氏、『星探』シリーズなどで世界的に人気を集めるゲームクリエーターの石井克雄氏など、その後活躍するクリエーターを輩出してきたことも大きな特徴です。
毎年開催されているコンテスト『Shockwave AWARD』では、2004年に『秘密結社 鷹の爪』などで知られる蛙男商会FROGMAN氏が審査員賞を受賞するなど、各方面で現在も活躍するクリエーターが参加してきました。現在、開催中の『Shockwave AWARD 2008』が、2008年12月17日に受賞者を発表して最後の回となります。
■模索したビジネスモデル
Shockwaveは、登録制ではなくオープンな無料サービスとしてスタートし、広告モデルのビジネスで運営されてきました。一方で、課金モデルのビジネスも、さまざまなアプローチで試みています。
2001年にはショートフィルムやFlash RPG『EVIL GATE』(d-breath)の月額課金、アプリケーションのダウンロード販売に着手したほか、2003年にはアバターチャット『OTTIKI』(バスキュール)などを提供する月額課金サイト『shockwave.com game+』を開始し、いずれも現在はサービスを終了させています。
現在は、ダウンロードゲームのDRM販売や、定額制の有料サービス『gameblast』(現Shockwave Premium)を展開。2008年には、携帯電話向けにiモード公式サービス『きせかえ★ショックウェーブ(TM)』を開始したほか、『ボンバーマンオンライン JAPAN』(ハドソン)などのPC版オンラインゲームを新規事業として立ち上げたばかりでした。運営会社のショックウェーブ エンターテインメントは、オンラインゲームのみサービスを継続していくものとみられます。
こうしてコンテンツやビジネスモデルの変遷を振り返ってみると、動きの早いWeb業界では8年という歳月が非常に長いものだと実感できます。過去にサイトを訪れた方は最後にもう一度、好きだったゲームやアニメーションを楽しんでみてはいかがでしょうか。
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宮原俊介(エグゼクティブマネージャー) 酒と音楽とプロレスを愛する、未来検索ブラジルのコンテンツプロデューサー。2010年3月~2019年11月まで2代目編集長、2019年12月~2024年3月に編集主幹を務め現職。ゲームコミュニティ『モゲラ』も担当してます
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