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ペニーオークションでサクラやbotが使用されている証拠

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今回はブログ『N-Styles』からご寄稿いただきました。

ペニーオークションでサクラやbotが使用されている証拠

これまでの流れは関連記事をお読みください。
関連記事1:怪しげなオークションサイトに気をつけろ(前編):ペニーオークションの問題点『N-Styles』
http://n-styles.com/main/archives/2010/06/24-052500.php
関連記事2:怪しげなオークションサイトに気をつけろ(後編):ペニーオークションサイトも騙されている『N-Styles』
http://n-styles.com/main/archives/2010/06/24-053000.php
関連記事3:ペニーオークション情報は嘘だらけ。全部詐欺サイトと思ったほうが安全『N-Styles』
http://n-styles.com/main/archives/2010/10/01-065555.php
関連記事4:次々と閉鎖するペニーオークションサイト『N-Styles』
http://n-styles.com/main/archives/2011/01/12-054535.php

おさらい
以前の記事全部に目を通してもらったほうが確実だが、とりあえずこの記事だけでも内容がわかるように簡単にペニーオークションの説明をしたい。

一般的なオークションでは、場を提供するサイトは手数料で収入を得て、出品者は要らない物を処分して収入を得て、落札者は自分の希望する価格で商品を手に入れられる。

ペニーオークション(ペニオク)では、サイト運営者=出品者なのでどちらかというとショッピングサイトに近い。低価格でスタートした商品に対して入札するたびに手数料を取られる。最後に入札した人が商品を購入する権利を得るが、入札のたびに延長されるので競り合っている間は値段が上がり続け、手数料が支払われ続ける。

手数料が75円のサイトが多いが、1入札で1円上昇の設定の場合、1万円の商品を1000円で落札されてもサイトは7万円以上の手数料収入を得る。落札できなかった人は手数料だけ取られてしまう。

仕組み上、サクラ(運営者による入札)、bot(システムに組み込まれた自動入札ユーザー)が存在すると、一般参加者は落札が不可能になり、ペニオクサイトは商品を用意する必要すらなくなってしまう。完全な詐欺行為だが、これを外部から見破ることは困難である。

さて、ここからが本題。

先日、閉鎖したペニオクサイトを探していたら、検索結果に気になるものが出てきて、それを解析したところペニーオークションでサクラの証拠が出てきた。

謎のログを取得
出てきたのは下の画像のようなデータだ。

http://n-styles.com/image/nok_01.PNG

実際にはHTML形式で普通にブラウザで閲覧できる状態になっており、『Google』の検索結果にそのまま表示されていた。

記録されていたのは“日時”、“ユーザー名と思われる文字列”、“何らかのコメント”の3項目で、複数ページに分割されていたが、2843行を取得することができた。それを表計算ソフトに落とし込んだのが上の画像だ。

その後、システム側で対策されたようで現在は閲覧できない状態になっている。サーバ設定の誤りかシステムの不具合で、本来公開されるはずのない情報が公開されていたのだと思われる。

私には特定のペニーオークションサイトそのものが問題だと考えており、昨年からその危険性を告知するのが目的で今回のような記事を書いている。特定のサイトを潰す意図はないので、ユーザー名は伏せて、文字列の部分も若干加工している。

さて、これは何のデータだろうか?

サイト上のデータと照らし合わせると、“所持する入札コインが追加された日付、追加されたユーザー、追加された理由”であると考えて間違いなさそうだ。ペニーオークションサイトでは、クレジットカード経由で現金を仮想通貨(コイン)に替えてオークションに参加する仕組みとなっている。

追加されたコインの枚数が表示されていればもっと詳しく解析できたと思われるが、仕方がない。このデータで不正があるかどうか解析してみた。

コインが追加されるのは以下のパターンが多いようだ
・会員登録時の無料コイン
・クレジット決済によるコイン購入
・オークション商品として出品されるコインの落札
・キャンペーン等によるコイン追加
・その他

謎のログを解析
まずは、先頭から順番にデータを見る。

http://n-styles.com/image/nok_02.PNG

このサイトは2010年6月にテスト運用を開始し、7月に正式サービス開始されたようだが、テスト運用開始前のデータも入っている。おそらく非公開でのテスト運用中のデータだろう。空欄になっているのは削除されたユーザーか?

あとの解析で活用するために、テスト運用開始日よりも前に登録されているユーザーのデータを黄色でマーキングした。非公開状態で作成されたユーザーなので、以下の図で、黄色くなっている行は運営者用のアカウントに対するコイン付与と考えて良い。

続いてテスト運用期間のデータを見る。

http://n-styles.com/image/nok_03.PNG

先ほど黄色でマーキングしたユーザーが出てくる。テスト入札を行うために必要なコインを補充しているようだ。クレジットカード課金のテストもしているようだ。まあ、テスト運用期間なのでテストユーザーがいても全く問題はない。普通はこういったテストデータは正式なサービスインの際にいったんデータベースを全削除すると思うが、まあ、それはいいだろう。

謎のログから浮かび上がる疑惑
さて、正式にサービスインしてからのデータを見てみよう。

http://n-styles.com/image/nok_07.PNG

「勝負」?(運営者アカウント)とある。

再度、この表の見方を説明すると、黄色い行は運営者のアカウントで、それぞれの項目は“所持する入札コインが追加された日付、追加されたユーザー、追加された理由”である。さらに追加すると、背景が白い行は一般ユーザーとは限らない。サービス開始後に運営者が自分用のアカウントを追加することが可能だからだ。

いったい何の「勝負」だろうか? 「落とす」とはどういうことだろうか? オークションで“落とす”というのは落札するという意味だ。運営者のアカウントでそれをやってしまったらいわゆるサクラではないだろうか? まさか、そんなことが……。

つづいて別の行も見てみる。繰り返すが、正式稼働後のログである。

http://n-styles.com/image/nok_05.PNG

運営者アカウントで「打倒xxxx(ユーザー名)」と書かれている。

これはどういうことだ?

http://n-styles.com/image/nok_06.PNG

こちらにも運営者アカウントで「打倒xxxx(先ほどとは違うユーザー名)!」と書かれている。ちなみに、その次の行でクレジット決済(コイン購入)をしているユーザー名が書かれていた。

運営者アカウントの打倒ターゲットとなった2者とも“正式サービス開始後”の登録ユーザーで、何度か“クレジット決済”を行っている。つまり、一般ユーザーである可能性が高い。一般ユーザーに対して「打倒」とは穏やかではない。

これはあくまで推測だが、落札されたくない商品に対してあるユーザーが入札を行い、それに対抗するためにテスト用のアカウントにコインを与え、それで落札を阻止しているのではないだろうか? 落札履歴はサイト上に残っているので照らし合わせてみたが、打倒と名指しされたユーザーと、運営者アカウントが競り合い、最終的に運営者アカウントが落札した様子がはっきりと記録として残っていた。

そんなことが行われていいのだろうか? それではまるでサクラではないか。サクラがいる可能性があると指摘していたが、まさか本当にいるなんて。

謎のログで明るみになる真実
そして、衝撃的な文字列を目にしてしまった。

http://n-styles.com/image/nok_04.PNG

さくら」(運営者アカウント)とある。

ああ…。

さらなる解析
新規ユーザーの最初のコイン付与は必ず「新規会員登録による無料コイン」になっていることがわかった。ユーザー登録を手動で行っているはずがないので、これは会員登録処理を行ったら自動的に記録されるのだろう。

詳しくログを確認したところ、「新規会員登録による無料コイン」が記録されておらず、一番最初の記録が「勝負」「勝つ」「打倒!×××子(人名)!!」「追加」「負けない」「やったるぜい」等になっているユーザーが多数存在することが判明した。その部分だけを抽出してみた。

http://n-styles.com/image/nok_08.PNG

これは通常の会員登録プロセスを経ていないユーザーということになる。カウントしたところ、サイト開設以降、「新規会員登録による無料コイン」が一度も記録されていないユーザーが100名以上存在していた。必要に応じてサクラユーザーを投入していた疑いが強い。

謎のログをおもらししたサイトについて
さて、このログを流出させたサイトが99.99%ぐらいの確率でサクラを使っていることが明らかになったわけだが、自分はこのオークションサイト運営者も被害者だと思っている。ログを解析したところ、無料登録だけ行ったユーザーは3桁いるようだが、クレジット決済を繰り返している客(=常連客)は十数人しかいない。購入コイン数が不明なので、なんとも言えないが多く見積もっても1ユーザーあたり数千~数万円程度の黒字にしかならないだろう。まともな人間なら赤字が10万になる前にペニオクから手を引く。
※2011/01/19 追記:クレジット決済ではなく、商品としてコインを落札するという手段でも有料課金は可能なので、もう少し常連は多いようだ。でも2桁しかいない。

それに対し、このサイトが開設や運営につぎ込んだ金はどれくらいだろうか? システム導入費用、サーバ購入費(レンタルではないらしい)、回線費、カード決済代行手数料、おそらく人件費を省いたとしてもトータルで100万円以下ではないだろう。どう考えても大幅な赤字だ。サイトを続ければ続けるほど苦しむことになる。

関連記事2で、ペニオク運営者もコンサル会社の食い物になっていると指摘したが、そのとおりの図式になっていたのではないか? この記事で会員数が4桁以上ないと大幅な収益は見込めないことを指摘したが、20人以下の常連ユーザーしか集められないならサクラを使用しないと運営は不可能だ。

のべ20人以下の常連ユーザーは存在したが、定着期間はさほど長くないため、アクティブな参加者は片手で数えられる人数しか同時に存在していなかったと推測される。常に10個程度の商品がオークションにかけられているため、ユーザー同士で競り合うことはほとんどない。ほぼすべてのオークションがサクラvsサクラの茶番で、後の大半はユーザーとサクラのバトルだ。なんと滑稽なことか。

このサイトは昨年頭あたりから開設の準備をしていたようだが、その時点でいくつもペニオクサイトは乱立していたし、冷静な判断力があればこのようなサクラやbotに依存しないと継続できない詐欺的な商売が長続きできないことは分かることだろう。おそらくコンサル会社から「確実にもうかる」と言いくるめられてシステムを購入したのではないだろうか?

http://n-styles.com/image/Auction_05.png

サクラを使用しなければ、もっと早い段階で破綻していただろうが、サクラを使ったことでコンサル会社と共犯関係になってしまっていることが問題だ。内心「騙(だま)された!」と思っても、誰にも訴えることができない。サクラを使ったペニオク運営という、明らかな詐欺行為を自分もはたらいているからである。

botは存在するか?
話を戻して、ペニーオークションサイトで行われているもうひとつの不正、“bot”についても考えたい。

botに関してはプログラムの中身を見ないことには100%確実な証明はむずかしいが、関連記事3で例としてあげた“4万円の精米機を11万円で購入する権利を得るために、複数のユーザーが合計で875万円出し合っている状態”はほぼ確実にbotと言えるだろう。

今回のログでもbotの証拠は得られなかったが、今回のサイトの公式blogで運営者が「本来botが組み込まれたシステムだったが開発元に無理言ってbot機能を取り除いてもらったので、このサイトはbotが存在しません、安心です」といった趣旨の発言をしていた。

実際にこのサイトでbotが排除されたかどうかは不明だが、無理を言わないとbotが外せないのなら、少なくとも同じ開発元からペニオクシステムを購入したサイト(複数確認済み)は確実にbotがいるわけね……。

販売元がbot組み込んでるし、それを外したと主張するサイトはサクラ使ってるし、「99%OFFでWiiが買える」とかどう考えても景品表示法違反の誇大広告だしてるペニオクがきれいサッパリ消えることを期待しつつ、今後も見守っていきたい。

執筆: この記事はブログ『N-Styles』からご寄稿いただきました。

文責: ガジェット通信

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