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阪急阪神ホテルズのメニュー表示 何が問題だったのか(上)

阪急阪神ホテルズのメニュー表示 何が問題だったのか(上)

今回は『FOOCOM.NET』からご寄稿いただきました。
※この記事は2013年11月01日に書かれたものです。

阪急阪神ホテルズのメニュー表示 何が問題だったのか(上)

阪急阪神ホテルズが10月22日、メニュー表示と異なる食材を使用していたことを発表し、わずか1週間でトップが辞任を表明する事態になった。記者会見の内容は食品表示に関する認識不足を露呈するもので、「偽装ではなく誤表示」という弁明でさらに信頼を損ねることになった。

記者会見を見ていると、2007年に頻発した食品の偽装表示事件を思い出す。あのときもトップの説明がまずくて問題が大きくなり、他社でも次々と偽装表示が明らかになり、食品事業者全体に対する信頼が大きく損なわれることになった。今回も連鎖的に拡大する可能性があり、消費者は外食のメニュー表示に疑心暗鬼になってしまいそうだ。その社会的影響は計りしれず、阪急阪神ホテルズの罪は重い。

それでは同社のメニュー表示は、何が問題だったのか。背景にある法令上の問題については(下)で考えるとして、まずは今回の問題がどの法律に抵触するかについて掘り下げてみたい。

●外食のメニュー表示に適用される法律は、景表法

同社が今回公表した「メニュー表示と異なった食材を提供した内容等の一覧」リストをみると、23店舗47品目と、とにかく数が多い。しかし、法律上の問題があるかという視点で見ると、問題があるもの、ないもの、グレーのものとバラバラに並べられている。このリスト、同社が誤表示と判断したものを全て公表しているようだが、その判断基準が明確でない。そのことが、事態をさらに混乱させている。

外食のメニュー表示に適用される法律は、通常は景表法(不当景品類及び不当表示防止法)だ。偽装の程度が悪質であれば不正競争防止法が適用されて警察が動くが、今回はその可能性はほとんどないだろう。

同社の発表の中に「景品表示法・JAS法の理解不足、知識不足により、表示についての認識が誤っておりました」とあるが、小売りされる食品の表示を定めたJAS法(農林物質の規格化及び品質表示の適正化に関する法律)は判断の参考にはなるものの、外食のメニュー表示には直接適用されない。

景表法はどんな法律か。消費者を嘘つき表示や大げさな表示から守る法律で、第4条に「不当な表示の禁止」を禁止している。4条1には「品質・規格について実際のものよりも著しく優良である示す表示(優良誤認)」を禁止し、4条3には、誤認するおそれのあるまぎらわしい表示を指定して禁止している。

何とも漠然としているが、消費者庁のガイドブックから、食品に関する優良誤認表示やまぎらわしい表示とされる事例をピックアップしてみた。
・食肉のブランド表示の偽装(国産有名ブランド牛の肉であるように表示をしていた)
・100%果汁と表示したジュースの果汁成分が実際には60%だった
・健康食品に栄養成分が他社の2倍と表示していたが、同じ量しか入っていなかった
・機械打ちの麺に「手打ち」と表示
・添加物を使用した食品に「無添加」と表示
・無果汁の清涼飲料水に%を記載せず、果実の絵を表示
・商品の原産国に関する不当な表示

さらに、消費者庁の景表法の「よくある質問コーナー」をみると、Q43~Q46に外食におけるメニュー表示の説明が行われている。この中で、過去にメニュー表示で行政処分が行われた事例を紹介する。
・「特選前沢牛」と表示しているのに、実際は大部分の肉は前沢牛ではなかった
・「葉野菜は有機肥料を使用して低農薬で栽培した」と表示しているのに、実際は一部の野菜のみ有機肥料を用いて栽培していた
・「国産霜降り馬刺し」「トロ馬刺し」と表示しているのに、実際は馬肉に馬油を注入する加工を使った肉を使用していた
また、Q53~Q54には成型肉を食材とした料理の表示、Q55~Q56には牛脂等注入加工肉を食材とした料理の表示について記載している。

この中でQ46の質問「当店は、『宮崎牛ステーキ』と表示していますが、仕入れの事情で、日によっては他の銘柄牛を使用することがあります。景品表示法上問題になりますか」の回答をそのまま紹介する。
A.実際には表示と異なるものが提供されている場合には、景品表示法上問題となります。料理名の表示は、見るものに強い印象を与えるので、このような場合に注意書きをしたとしても消費者の誤認を解消することはできません。
したがって、日によって表示された銘柄の肉を確保できないことがあることが分かっているのであれば、銘柄名を料理名に書くのではなく、例えば、料理名について、「本日の銘柄牛のステーキ」、「シェフが選んだ銘柄牛のステーキ」等として、「銘柄については係員にお尋ねください」等の注記をするという対応が必要になります。

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