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「日本人の英語はおかしい」と主張する本の英語がおかしい件について。『日本人のちょっとヘンな英語』

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今回はサザえもんさんのブログ『MANGA王国 ジパング』からご寄稿いただきました。
※すべての画像が表示されない場合は、http://getnews.jp/archives/446141をごらんください。

「日本人の英語はおかしい」と主張する本の英語がおかしい件について。『日本人のちょっとヘンな英語』

英語は完全に世界共通語の地位を確立し、社内公用語を英語にする会社が出てくるなど、英語の重要度は高まる一方です。良し悪しはともかくとして、日本人の英語熱も高まり、書店には英語学習本があふれています。それと同時に「日本人の英語はおかしい」「ネイティブはそんな言いかたしない」「飛影はそんなこと言わない」とする本もたくさん出版されるようになり、自然な英語を知りたい、という読者に売れているようです。しかし、困ったことに、日本人の英語コンプレックスを利用したそういう本の中に、英語学習の妨げになるようなトンデモ本があるのもまた事実。今回はそういう本を1つ紹介しましょう。『爆笑! 英語コミックエッセイ 日本人のちょっとヘンな英語 セイン先生が目撃したおかしな英語』という超長いタイトルの本です。


↑管理人も買いました




↑Youtubeにも宣伝動画があります

原案のデイビッド・セイン氏は、これまで何冊も「日本人の英語はネイティブにはおかしく聞こえる」という内容の本を出している人で、「日本人の9割はヘンな英語をしゃべっています!」という文句で日本人の不安を煽り、このマンガも見事に30万部も売れているそうです。「日本人の9割は日常生活で英語を使わないんだから構わんだろ」と言い返したくなるわけですが、そうやって日本人の英語を「ヘン」と言うこの本の英語もかなり「ヘン」なのです。内容をちょっと紹介してみましょう。この本の最初に載っているマンガがこれ。

おじいさんが外国人に “Hello. How are you?” “My name is Kengo Takahashi.” と言ったら、外国人に “Samurai?” とわけのわからないことを言われたというマンガですが、セインさんの解説によると、このおじいさんの英語が古すぎて、まるで侍時代の英語のように感じられる、ということらしいです。


↑セインさんの解説

つまり、How are you? も My name is… もサムライ並にに古い英語だと言うわけです。100年以上前の英語に聞こえるということでしょうか。それでセインさんはこう解説を続けます。


↑セインさんの解説

まだこのマンガが始まって5ページしか経っていないのですが、私は「はあ?」と驚きました。私の経験からいうと、How are you? は全然死語じゃなくて普通に使われていますし、My name is… も普通の英語です。

というわけで、日本のマンガの英訳版から実例を見つけてみました。残念ながら日本語に How are you? に相当する英語がないので、マンガからは How are you? の実例は見つけられませんでしたが(ついでに言うと How are you doing? も見当たらなかった)、My name is… の実例はいくつも発見することができました。(日本語版の画像がないやつは、ちょっと手元に日本語版単行本がなかった)


↑『ドラゴンボール』3巻(上:日本語版、下:英語版)


↑『よつばと!』1巻(上:日本語版、下:英語版)


↑『ONE PIECE』1巻(上:日本語版、下:英語版)


↑『めぞん一刻』英語版第1巻


↑『金田一少年の事件簿』英語版5巻


↑アニメ『バンブーブレード』英語版1話
 ”My name is Nakata.”と自己紹介している

これらからわかるように、“My name is…” は全然「侍英語」なんかではなく、今でも普通に使われている英語です。おかしなところなどこれっぽっちもありません。逆に、I’m Kendo, Kengo Takahashi. のような自己紹介の事例は一つも発見できませんでした。

もちろん、日本語でも「山田です。山田太郎」と自己紹介することもありますので、I’m Kengo, Kengo Takahashi. という自己紹介も普通のものなのでしょうが、セインさんが言うように、”My name is…” が「余の名前は…なり」のような古い英語に聞こえるなんてことは、まずあり得ないでしょう。使われ方を見ると、I’m… より丁寧な感じ。

おそらくこのセインさんのマンガに描かかれている、外国人に “SAMURAI!?” などと言われたというエピソードは、実際にあったものではなく、このマンガでの創作だろうと推測できます。(もし古い英語を使ったとしても、外国人に「サムライ?」などと言われるとはとても思えない)

さらに、セインさんは “Goodbye.” も死語だと言います。


↑”Goodbye.” は「あばよ」に聞こえる?

「日本人の英語は実は死語だらけ」「ネイティブも知らないような英語」とマンガの中でセインさんは言っていますが、Goodbyeは死語なのでしょうか? もちろん、そんなことはありません。


↑『ラブひな』1巻(上:日本語版、下:英語版)


↑『ケロロ軍曹』9巻(上:日本語版、下:英語版)


↑『1ポンドの福音』3巻

もちろん、日本語で友人間の日常のあいさつで「さようなら」を使わないように、英語でも友人間では “See you.” “Bye.” などを使いますが、ちょっとしっかりした別れでは “Goodbye.” は使われます。死語でも骨董品でもありません。(余談だが、管理人は「あばよ」って使うぜ!)

他にも、このセインさんの本によると、”Thank you very much.” や “You are welcome.” は失礼になるそうです。


Thank you very much. は皮肉っぽく聞こえるらしい


↑You are welcome. は高飛車だそうである

これまた独善的な言い方です。日本語の「ありがとうございます」「どういたしまして」も、丁寧に使えば丁寧な表現ですし、皮肉や高飛車に使えば皮肉や高飛車になります。それと同じで、英語の “Thank you very much.” “You are welcome.” もシチュエーション次第です。丁寧に言えば丁寧な表現です。


↑『ONE PIECE』1巻(上:日本語版、下:英語版)


↑『めぞん一刻』15巻


↑『よつばと!』2巻(上:日本語版、下:英語版)


↑『あずまんが大王』4巻(左:日本語版、右:英語版)


↑『あずまんが大王』3巻(上:日本語版、下:英語版)


↑Dorothy of Oz(韓国のマンガの英語版)1巻

映画『けいおん!』の英語版では、そのものズバリ、“Thank you very much.” “You are welcome.” というやり取りが存在しています。


日本語版
あずにゃん:OK。サンキューです。
受付:You are welcome. Have a nice day.

英語版
Azu-cat: Thank you very much.
Clerk: You are welcome. You have yourselves a lovely day.

(注:なぜかイギリス人のホテルの受付まで、英語版ではわざわざ台本を書き直して吹き替えしなおしている。なぜだ…)

セインさんの本では「Thank you very much. は皮肉っぽく聞こえるので注意。『ありがとうございます』にはThanks. または Thanks a lot. を使おう」という趣旨のことが書かれていますが、前述のとおり、Thank you very much. が皮肉になるか丁寧なお礼になるかは、発音の仕方やシチュエーション次第です。逆に言えば、Thanks. や Thanks a lot. を皮肉として使うことだって可能です。



↑皮肉で使われているThanks a lot. の例
(上:『めぞん一刻』英語版6巻、下『ブラックジャック』英語版1巻)

日本語でも友人同士では「ありがとうございます」「どういたしまして」なんて言わないのと同様、”Thank you very much.” “You are welcome.” も友人同士では普通使わないでしょうし、使えば皮肉っぽく聞こえることもあるでしょうが、どっちも丁寧な表現として現在の英語でも十分使える普通の表現です。シチュエーションにかかわらずこれらの表現があたかも現在使われない、または使うと失礼になってしまうかのような書き方をしているこの本は、やはり問題があります。

そして、この『日本人のちょっとヘンな英語』のもっともいけないところは、日本人が英語を使うのをためらうようになってしまいそうな描写が多々あるところ。

例えばこれ。外国人の奥さんと食事をした日本人の女性が、拙い英語であったために正しく意図が伝わらず失礼な表現になってしまい、それを知ってショックのあまり倒れてしまう、という描写がなされています。


↑自分の英語が失礼だったと知ってショックを受ける日本女性

まず日本国内でどうして英語で会話せにゃならんねん! お前が日本語覚えてこいや!と思ってしまうわけですが、それを言ったら始まらないので、それはともかくとして、外国人ですので多少英語が不慣れで失礼になってしまっても、ニコニコ食事をしていたらそういう意図でないことくらい、相手はわかってくれるでしょう。この本みたいに「あれが間違ってる」「これが失礼」などと言っていたら、怖くて英語を話せなくなりますよ。ネイティブスピーカー以外は英語を話すな、となってしまいそうです。It’s OK. まで失礼だったら、本当にどないしろっちゅーねん、という感じです。

また、こんな描写もあります。


↑生徒の間違いを笑うセイン先生

たしかに、”call me taxi” だと、「私タクシー呼んでください」ではなく、「私タクシー呼んでください」と聞こえると思います。しかし、ネイティブスピーカーはまず間違いなく意図を理解してくれるでしょう。何より、ここでセインさんは生徒の間違いを大笑いしていますが、これは英会話教師失格です。間違えないんだったら、誰も英会話教室なんて通いませんよ。生徒が間違えるのは当たり前。それを大笑いして、生徒を恥ずかしがらせるとは何事ですか。

生徒は「セイン先生… タクシーを呼んでもらえますか? 急いでいるので日本語で…」と日本語で言いなおしました。つまり、セイン先生に笑われたせいで、この生徒は英語を使うのを恥ずかしがってやめたのです。これが英会話教師の仕事か!? 生徒に自信を持たせ、英語を話せるようにする、話したいと思わせるのが英会話教師の役割だろうに、セインさんがやっていることは完全に逆。なんだこれ!

そのあと、寿司屋に一緒に行った際にはこんな描写が。


セインさんの日本語の間違いを「ニヤリ」と笑って「まだまだですな~」と意地悪く指摘する生徒。先ほど笑われた仕返しをしているのです。生徒と先生が、お互いの間違いを嘲笑しあう。なんだこのマンガ! こんな英会話学校、絶対に行きたくないです。

こんなマンガでありながら、あとがきにはこんなことが書いてあります。

「どんどん間違えながら、正しい英語を身につけていきましょう」などと書いてありますが、間違いを嘲笑したり、ショックのあまり倒れたりするようなマンガを読んで、そんな風に思ますか? 私は思えません。

「言葉を覚えるとき、子どもは間違えながらだんだんと自分のものにしていきます。それと同じ。子どもが言葉を間違えて怒る人なんていませんよね?」

こう書いておきながら、マンガ本文では、英語を間違えて相手を怒らせてしまったり、泣かせてしまったり、相手に笑われたりしまくっています。このあとがきで書いてあることと、マンガで描いてあることは全く逆。なんだこの異常なズレは?

間違っていない英語まで「間違っている」「失礼だ」とする上、間違いを嘲笑し英語を話すのをおびえるように仕向けています。おそらくセインさんの責任というよりマンガ家の責任の方が大きいんでしょうが、まあひどいマンガですな。

英語が話せるようになりたいと思っている日本人は大勢いる、というより自分も含めておそらく日本人の大半がそう思っているでしょうから、このような「あなたの英語は間違っています」「教科書の英語は変です」などと言う本が売れるのは当然で、その多くはきっとまともな本なのでしょうが、中には困った本もあります。もちろんこの本に書かれている全てが間違っているわけではありませんが、私には、大げさなことを言って日本人の英語コンプレックスを刺激して売り上げを上げようとする悪書としか言いようがありません。典型的不安商法です。英語教育に僅かとはいえ関わっていた人間として、こういう本で英語を使うのをためらうようになったり、「教科書の英語はおかしい」などと思う人が増えるのは嫌なものです。

すこし話がずれますが、日本の学校で使われている英語の教科書は、すべてちゃんとネイティブチェックを受けているはずなので、そんなおかしな英語が書かれていることなどまずないはずです。このサイトの管理人サザえもんは、英検1級を持っていますが、これまでの英語の勉強で一番役に立ったのは、高校の時の英作文の授業だと自信を持って断言できますし、受験の時に身につけた英語は今でも大いに私を助けてくれています。こういう「この英語がおかしい」みたいな本を読む前に、学校の教科書や受験の英語をしっかり覚える方が何倍も役に立つでしょう。

(「学校の英語は不自然だ」「受験英語は役に立たない」なんてのは、学校英語や受験英語を身につけていない人が、その言い訳で言っているだけだと私は思っている)

というわけで、こういう本を鵜呑みにして英語を使うのをためらったり恥ずかしがったりすることなく、普通に英語を勉強してほしいなあ、とサザえもんは思うのでした。ネイティブの表現を知りたければ、英語版のマンガやアニメを見ることをお勧めしますよ。楽しいですよ。

ではまた!

==追記==

多分 How are you? も My name is… も Thank you very much. も You are welcome. も、セインさんが「自分は使わない」ってだけなんでしょうね。例えば、『ヒカルの碁』第13巻の作者コメントで作者が「よそ事」という言葉を使うと担当編集者がダメ出しをするということが書かれています。


↑『ヒカルの碁』13巻

私サザえもんも「よそ事」という言葉を使いますが、もしこの『ヒカ碁』担当編集者がセインさんみたいな本の日本版を出すことになったら、「『よそ事』は死語、骨董品」と書くことでしょう(※「よそごと(余所事)」は広辞苑を始めどの国語辞典にも載ってる言葉で、方言等ではありません)。多分セインさんは、これと同様に自分個人の感覚だけで「ネイティブはこういう」「こうは言わない」と言っているのではないかと、私は推測しています。

余談ですが、私は「ほかごと」という言い方もしますが、これってやっぱりみなさん使いませんか? また、私は「一昨日」を「おととい」とも「おとつい」とも言うのですが、私の周りには「おとつい」と言わないどころか、笑う人までいました。こういうのって地域や家庭環境や年代、教育など色々な要因で結構人によって異なるので、文法的に明確に間違いならともかく、ちょっとした表現差なんかで、「ネイティブはこう言う」とか「こう言わない」とかそうやすやすと断言できるようなもんじゃないはずなんですよね。セインさんの本は、どうも筆者一人の意見で独善的に決めつけてるんじゃないかって気がしてなりません。(勝手な推測だけど、この人の本読んでると、この人イギリス英語やオーストラリア英語を聞いても「ネイティブはこんな表現しない」なんて言い出しそうな気がしてしまう)

ちなみに、私は名古屋出身ですが「くるくる寿司」は言いません(^^)

==さらに追記==

「訳者が日本人なのか外国の方なのかを出したほうがいい」という意見があったので、載せておきます。

『めぞん一刻』(Viz Media刊)
Translation/ Gerald Jones & Mari Morimoto

『1ポンドの福音』(Viz Media刊)
Translation/ Gerald Jones & Mari Morimoto

『DRAGON BALL』(Viz Media刊)
English Adaptaion/ Gerald Jones
Translation/ Mari Morimoto

『ONE PIECE』(Viz Media刊)
English Adaptation/ Lance Caselman
Translation/ Andy Nakatani

『ケロロ軍曹』(Tokyo POP刊)
English Adaptation/ Carol Fox
Translation/ Yuko Fukami

『ラブひな』(Tokyo POP刊)
Translation/ Anita Sengupta

『金田一少年の事件簿』(Tokyo POP刊)
English Adaptation/ Matt Vorosky
Translation/ Ray Yoshimoto

『よつばと!』(ADV Manga刊)
Translation/ Amy Forsyth

『あずまんが大王!』(ADV Manga刊)
Translation/ Javier Lopez

『ブラック・ジャック』(Vertical刊)
Translation/ Camellia Nieh

アニメ『バンブーブレード』(FUNimation)
Line Producer/ Tyler Walker
Script Writer/ Andrew Rye

アニメ『映画けいおん!』(Sentai Film Works)
English Adaptaion/ Bang Zoom! Entertainment

となっております。

English Adaptation と Translation の違いや、Line Producer と Script Writer の違いは正直よくわからないんですが(一方しか書いてないのもあるし)、翻訳版とは言え、アメリカで発行されているマンガやアニメで、不自然な英語が使われているとは思い難いです。

==さらにさらに追記==

コメントを受けて、少し説明。

1.「書き言葉と話し言葉」の違いではないかとおっしゃってる方が何名かいらっしゃいますが、それはありえません。私が引用したのはマンガのセリフですので、当然話し言葉です。

日本で日本人英語学習者用に発行された英訳マンガには、「直訳調だなあ」「ちょっと不自然だなあ」と思うものが時々ありますが、これらはアメリカでネイティブスピーカーが読むために発行されているものなので、そうそうおかしな英語があるとは思いがたいです。アメリカの出版社がネイティブスピーカーじゃない日本人に英訳を頼むなんてことも、まず100%あり得ないでしょうし(日本語を理解できるアメリカ人がいくらでもいるのに、そんなことをする意味がない)。

2.My name is Kengo Takahashi. で Samurai? って言われたことに関して、「剣豪」と勘違いされたのではないかということについて。

このエピソードが実際にあったものなのか、フィクションなのかもわからないので判断のしようがありませんが、少なくともマンガではそのような描写ではなく、完全に「英語が古い」という意味で「サムライ英語」と言っています。

3.使用例がマンガであることの妥当性ですが、私はマンガセリフの引用が妥当でないとは思えないんですよね。

また、もしマンガのセリフを1つだけ取り出して「ほら、My name is が使われている」なんて言ったら、誤訳や翻訳者の拙さやクセなんかの可能性もあるでしょう。日本で出版されている翻訳小説でも、下手な翻訳家ってのはいますから。また、ストーリー上わざと古い英語にしてあるなんてこともあるかもしれませんし、キャラクター付のためにちょっと不自然な英語を使っているということもあるかもしれません。

しかし、今回はそれを避けるため、My name is にしろ Goodbye にしろ、全て3つ以上引用しました。「おっす、オラ悟空!」みたいな特殊な言葉を使うキャラクターではなく、すべて普通の人物のセリフだけを引用しています。

セイン氏1人の「この英語は使わない」という意見より、3つ以上の翻訳マンガのセリフの方が、「使われている」「通じる」という妥当性に関してはずっと高いというのが、私の見解です。

(あと、私はなにもマンガだけを頼りに英語について語っているわけではなく、自分の経験なんかにも基づいて話しています。引用文献がマンガなのは、このブログが「MANGA王国ジパング」だからですw)

4.自然かどうかって話をされている方もいらっしゃいますが、それとも違うんですよね。

“My name is” より “I’m~”、”Goodbye” より “Bye” の方が自然なんて意見もありますが、それは私もそう思いますよ。実際、今回何冊も英語版マンガを読みましたが、I’m ~. の方が数としては多かったです。Goodbye. と Bye. についても、日本語で友人間では「さようなら」と言わずに「じゃあね」の方がずっと自然なのと似たようなものでしょう。

しかし、この本では、「どっちが自然か」という比較ではなく、My name is… などは「使うと笑われるレベル」の英語だという書き方をしています。仮にそうだったら、いくら翻訳マンガやアニメでもそんな英語を使っているとは思えません。「友人間では使わない」とか「こういう場面では丁寧すぎて慇懃無礼になる」とかそういう説明ではなく、シチュエーションにかかわらず「古い」「失礼」という説明をするセイン氏の書き方は、いくらなんでも誇張がすぎるでしょう。

また、これは読者のツイッターで呟かれていたことですが、

Hello? How are you? I’m fine, thank you.

Thank you very much. You are welcome.

というテンプレートな英語を否定しながら、I’m Kengo, Kengo Takahashi. や Sure. No problem. という新たな(しかも丁寧度については明らかに低下している)テンプレートを用意するのもどうかと思いますね。

5.「日本人の9割はヘンな英語をしゃべっています!」というアオリ文に対し、私が「日本人の9割は日常生活で英語を使わないんだから構わんだろ」と言ったことについて。

これは、「ネイティブみたいに話せるようになる必要はない」という意味です。人によって必要になる英語の内容もレベルも状況も違うわけで、ビジネス英語が必要な人もいれば、日常会話が必要な人も、旅行会話だけ必要な人もいます。大げさな話、受験でだけ必要な人だっています。

ネイティブの自然な英語に憧れるのは当然のことですが、Thank you very much. か Thanks a lot. かで「自然」とか「失礼」とか、英語圏で暮らすならともかく、日本で暮らしている英語学習者が気にしなくちゃいけないようなものじゃないと思います。もっと先に勉強することがいくらでもあるでしょう。

必要な時に必要なだけ話せればいいわけで、重箱の隅を楊枝でほじくるようなやり方でいたずらに不安を煽るこの本は、学習の役に立つどころか、不安になって英語が話せなくなるだけとしか私には思えません。

あと、私は英語話せますからね。あんまりこういうこと言うのもなんですが、留学経験もありますし、英検1級も持っています。自分が英語を話せないコンプレックスから「ネイティブみたいに話せなくてもいい」って言ってるわけじゃないですからね。

執筆: この記事はサザえもんさんのブログ『MANGA王国 ジパング』からご寄稿いただきました。

寄稿いただいた記事は2013年11月04日時点のものです。

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