陸自最新装備『機動戦闘車』を初公開!
本日9日、防衛省技術研究本部は、『機動戦闘車』の試作車両を相模原の陸上装備研究所において報道陣向けに初公開しました。
この車両は、特に舗装路での機動力が高く、大型輸送機による空輸も可能なため、戦闘地域への素早い展開ができることが最大の特徴。軽戦車を撃破するには十分な威力の105mm主砲と、RPG-7に代表される携行式ロケット弾に耐えうる装甲を備え、多様な事態への対処能力に優れます。ちょうど戦車と装甲車の中間のような車両と言えるでしょう。島嶼部に対する侵略事態対処や、市街地に立てこもるゲリラコマンド掃討作戦などにおける運用を想定して開発されました。
6輪ないし8輪のタイヤと大口径のカノン砲を装備したこのタイプの装輪戦車は世界的に流行しており、偵察戦闘車、空挺戦車など、主目的に応じてさまざまな呼ばれ方をしています。技術研究本部でも2008年から研究を開始し、この試作車を完成させました。今後2年間の運用試験を経て、2016年度には制式採用される予定です。
機動戦闘車 仕様
区分:機動戦闘車
乗員:4人
全備重量:約26t
全長:8.45m
全幅:2.98m
全高:2.87m
最高速度:100km/h
エンジン:水冷4サイクル4気筒ディーゼル機関570ps/2100rpm
武装:105mm施線砲、12.7mm重機関銃、74式7.62mm機関銃、各1
砲塔は10式戦車に似たシルエット。正面のくさび形装甲は中空式で取り外し可能な追加装甲。570馬力のエンジンは車体前方左側に配置。車体正面の装甲は一般的な携行式ロケット弾に、砲塔正面は105mm砲弾に耐える装甲が施されているようです。
105mm砲は74式戦車と同じライフリング砲。装填は手動。砲弾は同じものを使うことができて、威力は同等以上とのこと。砲口には新型のマズルブレーキを搭載し、高い制退効果が得られます。主砲の左右には同軸機銃が収まりそうな穴とレーザー測距機が、さらにその左右には、敵に狙われていることを察知するためのレーザー検知器が見えます。砲塔上部には風速・風圧などを計測する起倒式の環境センサーらしきものが。レーザー検知器と環境センサーは10式戦車にも搭載されています。射撃統制装置とセンサー類、C4I機能は、現在開発中の次世代のものを搭載し、10式戦車と同等以上の性能になるだろうとのことです。
後部には乗降用のハッチが。具体的な回答は避けられましたが、恐らく4人の乗員以外に、武装した兵士4~5人を運べる程度の余裕はあると思われます。
タイヤはミシュラン製。悪路の踏破性では無限軌道に劣りますが、機動力、燃費、整備性といった点で上回ります。そしてこの機動戦闘車の足回りで特筆すべき点は、アクティブ・サスペンションを搭載していること。発砲時の反動をかなり緩衝し、命中精度・連続射撃性能を高めています。公式動画で主砲を横に向けながら走行間射撃をしていることからもわかるように、従来の装輪戦車では考えられないほどの安定性を発揮します。
砲塔に乗ることができたので、あちこちをアップで撮ってきました。今回はM2用銃架でしたが、用途によっては96式40mm自動てき弾銃を搭載することもあるだろうとのこと。配備予定数は未定。普通科(歩兵部隊)と機甲科(戦車部隊)に配備され、強行偵察にも使われる見込みです。
動画:機動戦闘車(MCV:Maneuver Combat Vehicle)(YouTube)
http://www.youtube.com/watch?v=ZF7wjh_g83c
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