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日経平均1万5000円超え!大切なのは株価、コアCPIなんて誰も知らない

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今回は藤沢数希さんのブログ『金融日記』からご寄稿いただきました。

日経平均1万5000円超え!大切なのは株価、コアCPIなんて誰も知らない

僕が今週のメルマガ*1で予言していたように、本日、日経平均はあっさり1万5000円を超えてきた。アベノミクスで円安になり、日本株は大躍進である。量的緩和が効く、効かないという議論は以前からあったが、現在のところ、その結果は、為替と株には効いた、と言っていいと思う。

*1:「週刊金融日記 第56号 もうじき配信です!」 2013年05月13日 『金融日記』
http://blog.livedoor.jp/kazu_fujisawa/archives/51963995.html

日銀がお金を刷りまくる、あるいは刷りまくると約束すると、どういう経路を通って、それが資産価格を引き上げるのか、というのはじつはそれほど自明ではない。だって、量的緩和というのは、銀行が資金の貸し出し先がなくて、しょうがなく国債にして置いておいたものを、日銀が現金に置き換えていくだけで、結局は何も変わらないから。そういう記事は、僕も昔ずいぶん色々と書いてきた。

「量的緩和と株式投資家のバカの壁」 2013年03月01日 『アゴラ』
http://agora-web.jp/archives/1521896.html

「日銀のリフレ政策と国債バブル」 2013年04月05日 『アゴラ』
http://agora-web.jp/archives/1528314.html

それで、なぜ量的緩和が効いたかというと、為替市場の参加者の気分が変わったからだ。”黒田バズーカ”は、気分を変えるのに十分なインパクトがあった。これでみんな円安だと思った。円が安くなれば、ドルから見た株価は変わらなくても、円で見た日本株の値段は上がっていく。日経平均は実際に上がり続けた。

このように最初は円安、株高という、資産価格だけの話だったのだが、円安になると輸出企業を中心に業績が回復し始め、業績が株高に追いついてきた。そして、株高で日本国民が保有している投資信託などに含み益が生じてくると、気分が良くなるので、消費も増やす。こうして本当に景気が良くなってきて、先行した株高を正当化しはじめた。要するに、アベノミクスがバッチリ上手く行ったのだ。怖いぐらいに。

それでは、量的緩和の効果に懐疑的だった人たちは、間違っていたのか? じつはこちらも正しかったのだ。日銀の政策目標である、本来の消費者物価指数は、全く動いておらず、未だにデフレ気味だ。これだけ円安で輸入品の値段が上がって、原発が停止したままで電気代も上がっているにもかかわらず、消費者物価指数(CPI)総合は、4月には速報値で0.7%も前年同月比で下落している。


(画像が見られない方は下記URLからご覧ください)
http://px1img.getnews.jp/img/archives/2013/05/759c7a1f.jpg

出所:総務省

つまり、あれほどの規模の量的緩和を宣言したにもかかわらず、物価には全く影響を与えていない、という点で、量的緩和懐疑派の予想通りになっている。そしてデフレを脱却するために圧倒的な量的緩和が必要だと唱えていたリフレ派の学者も、資産インフレを起こしたいとは、少なくとも表向きには全くもって言っていない。こんなことは日銀は口が裂けても言えないことで、あくまで目標はコアCPIが年率2%ぐらい上昇して、デフレを脱却すること、である。

しかし、現実として、為替相場と株価に、心理的な多大なインパクトを与えて、それが結果的には上手くいって、人々の気分が良くなった。それで量的緩和で直接のインパクトを受けるはずの国債市場が、ほとんど動いていないこともとても興味深い。株価が上がって、人々の気分が良くなったので、安倍内閣の支持率は極めて高い。読売新聞が5月10日~12日に実施した全国世論調査では、なんと国民の72%が支持している。これは小泉内閣以来の、極めて高い数字である。

株価が人々の心理に与える影響は思いの他大きかった。やっぱり塩漬けしていた株とか投資信託が、含み益状態になるというのは実に気分がいいものだ。僕も、リーマン・ショックで半値になっていたMSCIコクサイのインデックス・ファンドが、毎日利益を上げているのを見るのは気分がいい。さらに、僕はMSCI新興国も2年ぐらいまえにけっこう買っていた*2ので、こっちも毎日値上がりしていて、こうなってくると、経済政策に対する個人の信条は別にして、安倍さんありがとう!という気持ちになってくるというものだ。

*2:「PERで見れば日本株はすでに割高!?【後編】」 2013年02月25日 『日刊SPA!』
http://nikkan-spa.jp/391081

それで思ったのだが、デフレとかリフレとか、ほとんどの人にとってはどうでもいいことなんだよね。多くの国民が思っていたのは、不景気なんとかしろってことで、コアCPIが年率で1%ぐらい下がってるから何とかしろってことじゃないんだよ。そもそも消費者物価指数なんて誰も知らないし、誰も関心がない。コアCPIが何かを知っている日本国民なんて1%もいない。0.5%いたらいいほうだ。僕は、PhDを持っていたし、外資系投資銀行に勤めて、社内では経済通で通っていたけど、CPIというのが消費者物価指数のことだと知ったのは、金融機関に入社して3年ぐらい経ってからのことだし、さらにCPIにコアとかコアコアがあると知ったのは、5年ぐらい経ってからだよ。プロ中のプロでもこんなもんだから、ほとんどの国民は物価なんてどうでもいいし、コアCPIが年率-0.5%ぐらいなのが、+1%ぐらいになっても誰も気づかないし、どうでもいいことなんだよね。

さて、安倍首相はこの調子で、アベノミクスの3本目の矢である、成長戦略をドカンと打ち上げてもらいたい。*3

*3:「アベノミクスの「成長戦略」は期待できる」 2013年05月13日 『日刊SPA!』
http://nikkan-spa.jp/435855

産業競争力会議には小泉内閣でブレインを務めた竹中平蔵氏も加わり、「アベノミクス戦略特区」(高度規制改革・税制改革特区)なるものを企んでいるらしいが、法人税特区で、香港みたいに外資系金融機関が東京に雪崩れ込んできたり、リゾート開発特区で、お台場がマカオみたいになるような、派手なのを希望します。

執筆: この記事は藤沢数希さんのブログ『金融日記』からご寄稿いただきました。

寄稿いただいた記事は2013年05月16日時点のものです。

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