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大人の発達障害『ADHD(注意欠陥・多動性障害)に苦しむ大人。

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みなさんの周りに、”落ち着きがない””失敗ばっかりする””衝動的行動をする”人はいないだろうか?もしかしたらそれは、“発達障害”『ADHD』(注意欠陥・多動性障害)かもしれない。

仁和医院 院長 竹川 敦先生によると、最近外来に随分と発達障害の患者が増えてきた印象である。昔目立たなかった人々が顕著になってきているだけなのか、実際に数が増えているのかは定かではないが、とにかく外来受診数は昔に比べると格段に多い。ここ一年の当院のデータでも、メンタル初診患者454人中77人に(約17%)何らかの発達障害を認めた。(H22年10月~H23年9月:18歳以下5%含む)
昔は「発達障害と言えば自閉症」という考えが主流であったが、1944年にオーストリアの小児科医であるアスペルガー医師が言語の発育や知能の遅れのない自閉症の一群を見つけ、「アスペルガー症候群」と名付けたが戦時中だった為あまり注目されず、WHOが正式に疾患として認めたのは1992年のことである。その後日本でも精神科医の司馬理英子医師が1997年に「のび太ジャイアン症候群」という書籍でADHDを紹介してから徐々に社会に浸透するようになったが、その歴史はまだまだ浅く、私が学生の頃には授業でほとんど習ったこともないし、精神科の教科書にも非常に少ない文章しか載っていなかった、という。そういう現状の中で、患者の口から『発達障害』という言葉が出たとたんに、“専門でないので診れない”“当院では扱っていない”“それは気にしなくていい”と患者を診ようともしない精神科医が多い。そもそも「成人の発達障害」を専門としている精神科医は、日本にほとんどおらず、恐らく全国でも専門の医療機関は10箇所くらいではないだろうか?との意見がありました。


そんな発達障害『ADHD』の当事者、さくらさん(36歳)を取材してきました。

 

ADHD当事者のお話。

さくらさん(36才)は、私立高校卒業後、仕事を転々としていたという。長く続いて2年。全て人間関係や、自分の衝動的行動が原因だという。『ADHD』の診断の際、IQを検査し75点で、LD(学習障害)も合併していたという。大人の平均IQは100。知的障害者のIQは概ね70。いわゆるグレーゾーンである。外見は、普通の36歳の女性です。

 

―どうして、自分が発達障害だと気がついたのですか?

学生の時は“個性的で活発な子”でした。しかし働き、結婚して“生き難い”と感じるようになりました。そしてある日、亡くなった父が私に対する愛情の注ぎ方が変だったのに気がつき、ノートに文章にしてまとめてみたら、父にとって私は『育てにくい子供』で、どう愛情を注いでいいか分からなかったんだ、と気がつきました。そして、小学校の通信簿の先生のコメントを見て確信しました。そして、発達障害センターに相談して、病院を教えて頂き、通信簿を持参して受診・検査しました。

診断が出たときは、ホッとしましたが、発達障害で36年間生きてきたことが怖くなり、これから生きて行く上で不安になりました。

 

―LD(学習障害)とは?

イロイロ種類はあるみたいですが、私の場合は『簡単な計算』ができないんです。2ケタの足したり引いたりができません。数字を見ただけで、頭が真っ白になってしまいます。最近は、ナンプレで大分改善されつつありますが、大事な計算は簡単でも計算機を使います。今は、エクセルとかありますし。あと、なぜか数字を“景色”で感じます。ちなみに、「4」は、私が保育園に入園した時の様子が浮かびます。

 

―ADHDで困っていることはなんですか?

私の場合、『忘れ物(事)が多い』『注意してるつもりでも注意してない』『多動なので、じっとしてない』『気分が高揚すると、落ち着いて行動できない』『言葉の間違った覚え』『空気が読めない』『整理してもすぐぐちゃぐちゃ』など、言ったらきりがありません。一番困ってるのは『不眠症』。寝ていても、多動なので、寝ていない状態なんです。大人の発達障害については、情報が少なくてどの様に生活したら良いとか情報がなくて困りました。子供の『ADHD』の対処法は沢山あるのに。ADHDの薬(ストラテラ)も飲みましたが、私には副作用が強くて中止しました。子供のADHDは何種類か薬があるのに、大人はストラテラの1種類だけです。今は、認知行動治療と、通院して処方された睡眠薬で工夫して生活してます。外見が、健常者と変らないから“天然”とか“ふざけてる”とか言われてしまいます。それがとても辛いです。

あと、『ADHD』とパソコンで調べると『アインシュタイン』『エジソン』『坂本竜馬』もそうだった、といわれているそうです。『トムクルーズ』もLD(学習障害)ですが、私が知りたいのは、それは成功した『ADHDやLD』の方々であって、そんなのどうでもいいから、これからどう生活していったらのかと、悩みました。

 

―今、生活して工夫してる事はありますか?


普通の人から見たら、異常な事かもしれませんが、洗濯機の洗剤と柔軟剤を入れる所にラベルで記載し、貼っています。不注意で逆に入れてしまいますから。

あと、鍵やケータイは探すと“パニック”になってしまうので、凄く大きいストラップをつけてます。あとは、気がついたらすぐ片付ける。しかも、持続性がないので『5分』だけと決めています。衝動的行動の対処は、一旦違うことを考えて忘れてしまう様にしてます。財布には、数千円しか入れません。入ってる分だけ使ってしまうので。あとは、規則正しい生活です。

ゴミは、捨てるのを忘れてしまうので、朝起きたら玄関にまとめます。嫌でも捨てなければいけませんから、わすれません。

タンスには、何処に何を収納するかラベルで張っています。これは、療法士さんのアドバイス。これでかなり部屋が整頓されました。

さくらさんの必需品、メモノート。とにかく大事な事は書きとめるそうです。付箋も大活躍しているそうです。

 

 

理解者が必要。

幼少の頃、両親の愛情を感じないで成長したと、さくらさんが言いました。両親も『発達障害』の特徴があるそうです。

さくらさんは、離婚を経験しています。離婚原因は元旦那さんと姑は、さくらさんの行動が理解できなかったのが大きな理由。そして、結婚生活時に“パニック症”を併発してしまいました。子供も出産しましたが、さくらさんの行動や言動が原因で、元旦那さんに親権を奪われてしまいました。さくらさんは、その件に関して『発達障害者』に子育てされるより、子供に元旦那さんに育てられた方が幸せかも知れないと今は思います。子供の学校の行事や提出物を忘れてしまって、部屋はぐちゃくちゃじゃ子育てはできない、と降り返って話す。

 

さくらさんは、現在パートナーと暮らしています。発達障害は遺伝の可能性もあるので、“結婚・出産はしない”と二人で話し合い決めたそうです。

最初パートナーに診断結果を話した所「ふーん」ってあまり気にしていなかったそうです。今は、さくらさんの生活を全面的にサポートしています。そのせいか、さくらさんはストレスもなくなり平穏に生活していると言う。

さくらさんは言う。診断され、ADHDの特徴を調べ理解して発達障害の自分を受け入れたら、目が悪かった人がメガネをかけた様な・・・そんな気分になりました。生きやすくなりました。今でも多少失敗しますが、今はパートナーがサポートしてくれるから心強い。本当に感謝しています。

そしてさくらさんの今の仕事は“事務”をやっているそうです。それはやはり、さくらさんを職場で理解してくれているから出来ていると、話していました。

 

何故成人期まで解らなかったのか?

仁和医院 院長 竹川 敦先生によると、患者が社会に出てからどのような職歴を持っているか聞き、長続きした仕事としなかった仕事の内容を詳しく聞き、彼らの周囲にどのような人間が居たのか聞くことは診断をする上で非常に大事なことだそうです。

発達障害の多くは就学し、勉強についていけない、社会性が乏しく孤立するなどで小学生の頃に発覚することが多い。しかし知能に問題がないADHDやASPの場合は勉強が出来る為、無事に進学し、大学まで進む人も少なくない。そのような場合は社会に出ると同時に症状が顕著になることが多いが、中には選んだ仕事によって問題なく社会に溶け込む人もいるそうです。

 

健常者にとっては、何てこともない事でも、当事者からすると深刻な問題であるようです。

 

(文・写真/Renka)

提供文:仁和医院HPより抜粋

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